■あ
アイシング
粉砂糖と卵白や水、場合によっては果汁などを練り混ぜて作った砂糖衣のこと。焼き上がった生地の表層に、このアイシングをかける、ぬる、しぼるなどして生地をデコレーションし、生地に甘みを加えたり、乾燥を防いだりする。
アイシングブレッド
英語では「Iced bun」「Iced finger」「swiss bun」。グラスブレッドとも訳せそう。ブリオッシュ生地に近いリッチな菓子パン生地にアイシングをかけて、ベリー系のジャムと生クリームをはさんで仕上げるイギリスのパン。イギリスでとても人気がある(らしい)。シンプルな白いアイシングの他には、ピンクのアイシングがかかったものをよく見かける。レモン風味のものもある。
「swiss bun」というと、こちらのアイシングブレッドの他に、丸パンに十字の切り込みを入れたパンなどスイスパン全般を指す。これらが合わさって、スペイン、マドリッドのswiss cafeから転じて広がり、アイシング部分をアイシングシュガーではなくグラニュー糖に置き換えて、シュガーバタートップのようなデコレーションをした丸パンを限定的に「swiss bun」とする場合もある(らしい)。
あし
製パン生地の伸展性のこと。
⇄こし
アスコルビン酸
ビタミンCとして機能する。製パンではグルテン結合を進め、生地の弾性を高める役割を担う。ppmという単位の超微量で充分に機能する。
後塩法
アトジオ法、コウエン法。ミキシングの際に、塩を後入れする製パン法。塩を加える前に小麦に水を充分に吸わせ、効率よく水和させることで、グルテン骨格の構築をより効率的に進める製法。ミキシングの時間を短縮することができる。
アドミ法
アメリカのミルク製造会社がつくり出したパンの製法。ミルクを多量に用いたパンの液種を使用する(らしい)。
アパレイユ
スフレやクレープ、キッシュ等を作る準備として粉、卵、牛乳などの複数の材料を混ぜ合わせたもの。
アニゼット / Anisette
アニス酒のこと。アニスシードを蒸留した地中海地方の酒。砂糖が含まれているので口当たりは甘い。
アミノ-カルボニル反応
メイラード反応とも。アミノ化合物と還元糖が加熱されることで相互に反応し、メラノイジンを合成し、褐色の色がつくこと。
アミラーゼ
デンプン分解酵素。小麦粉やライ麦粉に含まれている。小麦粉やライ麦粉の中のデンプンを麦芽糖に分解する。製パンでは、モルトを添加してこの働きを補うことも多い。
アミロース
デンプン分子のひとつ。デンプンのアルファ化(α化)の際は、このデンプン分子が水とともに熱されて崩壊することでもちもちになる。
アミロペクチン
デンプン分子のひとつ。デンプンのアルファ化(α化)の際は、このデンプン分子が水とともに熱されて崩壊することでもちもちになる。
アーモンドパウダー
アーモンドプードルとも。アーモンドを粉末状にしたもの。アーモンドの風味とコクを加えることができる。「皮なし」と「皮つき」がある。
アーモンドプードル
アーモンドパウダーとも。アーモンドを粉末状にしたもの。アーモンドの風味とコクを加えることができる。「皮なし」と「皮つき」がある。
粗熱をとる
加熱したものを40℃前後まで冷ますこと。室温に置いて自然と温度が下がるのをまつこと。
あられ糖
ワッフルシュガーとも。あられ状の大粒の砂糖。焼き込んでも溶け残りやすく、パンや焼菓子にカリッとした食感を加えることができる。
アルカリ性
塩基性とも。pHとして数値化することができる。pH7より高い数値を示すものがアルカリ性。アルカリ性の水溶液は苦味のあるものが多く、また触るとぬるぬるするという特徴がある。
製パンにおいては、酵母がもっとも働きやすいpH5.5-6.5に生地を保つことが望ましい。アルカリ性はpH7〜。
⇄酸性
アルコール発酵
酵母が糖(ブドウ糖や果糖)を取りこんで二酸化炭素とエタノールとエネルギーを発生させる反応。製パンにおいては、二酸化炭素が生地を膨らませ、エタノールが生地の伸びをよくしたり、独特の発酵風味や香りを添加する。
アルスター型
アルタイトに同じ。鉄にアルミメッキを施したアルミメッキ鋼板型。鉄の熱伝導率の良さとさびにくいアルミの性質を併せ持つ。焼きムラが起こりにくく、製パン業界から家庭まで広く使用されている。使い込むほど型離れが良くなり、耐久性も高い。特別な加工がされていない場合、使いはじめるときには空焼きの必要有り。
アルタイト型
アルスターに同じ。鉄にアルミメッキを施したアルミメッキ鋼板型。鉄の熱伝導率の良さとさびにくいアルミの性質を併せ持つ。焼きムラが起こりにくく、製パン業界から家庭まで広く使用されている。使い込むほど型離れが良くなり、耐久性も高い。特別な加工がされていない場合、使いはじめるときには空焼きの必要有り。
アルファ化(α化)
糊化とも。デンプンを水とともに加熱することで、デンプン分子が崩壊して規則性を失い、糊のような粘りが出ること。食感としてはもちもちする。
製パンではこのアルファ化を利用してパンを焼く。湯種製パン法やベーグルのケトリングは、この性質を焼成とは別のタイミングで利用したもの。
⇄ベータ化(β化)
アンザッツ / ansatz
小麦粉、水か牛乳、多めの酵母を混ぜて事前に発酵させた水種のこと。そのほかの水種と差別化する部分があるとすれば、多めの酵母を添加することと常温短時間で発酵させること。副材料の多いリッチな生地に用いられる。広義にはスターターの意。
アンダーミキシング
ミキシングが不足している状態。
⇄オーバーミキシング
■い
イギリスパン
食パン型に生地を入れて、蓋をせずに焼いた山食パンのこと。国際的には山食パンをイギリスパンと呼ぶことはない。国際的には「White bread」「white loaf」「Tin bread」「Sandwich bread」、あるいは「Shokupan」などと呼ばれることが多い。
角食パンに比べて気泡が縦に伸びるので、口当たりはより軽く、トースト性が良く、生地が引き伸ばされる分、味はタンパクになる。
イースト
英語ではyeast。そのまま和訳すると酵母。狭義には「サッカロマイセスセレビシエ / Saccharomyces cerevisiae」のこと。日本においては限定的に、パン用市販酵母を指す傾向がある。
微生物の一種で自然界に生息する天然の生物体。水より重く、液体の中では沈澱して自ら運動はしない。酸素のあるところでは増殖と呼吸を優先し、酸素のないところではアルコール発酵をする。発酵の最適温度は30℃前後。10℃以下では分裂増殖せず、4℃以下では休眠する。60℃以上で死滅する。
市販酵母は大きく分けて3種。生イースト、ドライイースト、インスタントドライイーストがある。また製品によっては、ビタミンCを添加したもの、ビタミンC無添加のもの、低糖生地用、高糖生地用などの種類がある。
詳しくはまたの機会に補足します
イーストフード
発酵を促し、生地を改良するための添加物。約16種類の添加物が指定されている。そのうちのどれが使用されているかは製品による。役割は大きく分けて3つ。❶水の硬度を変える、❷イーストの栄養になる、❸グルテンの安定と強化をはかる。
一次発酵
フロア、フロアタイムとも。製パン工程での一度目の発酵。温度、湿度、時間(場合によっては圧力や酸素の量など)をコントロールし、生地を目的の状態まで発酵させること。酵母が二酸化炭素とエタノールと熱を発生させて生地を膨らませる。その圧力で生地の伸展生が高まり、グルテンがより鍛えられる。生地は香味を蓄え、風味よく熟成される。
イングリッシュマフィン
パン生地をセルクルやマフィン型に入れ、天地を抑えて焼くのが特徴。厚いパンケーキの形に似た形状のパン。成形後にコーングリッツを纏わせることで、香ばしさと独特の食感が生まれる。19世紀のイギリス発祥、アメリカで広まる際、すでにポピュラーだったカップケーキ型に入れて焼くマフィンと区別するため、「イングリッシュマフィン」と呼ばれるようになった。
インスタントドライイースト
市販品の酵母。水分量4-5%。常温保存(←私は冷凍しています)。使用量は生イーストの1/3ほど。乾燥しても生き残る酵母を培養し、その後培養液から分離、低温乾燥させて顆粒状にして作る。
インベルターゼ
サッカロマイセスセレビシエ由来の酵素のひとつ。ショ糖をブドウ糖と果糖に分解する。
■う
ヴィエノワ
パンヴィエノワとも。フランス語で「ウィーン風のパン」という意。1840年、パリにやってきたオーストリアの大使館員が、街のパン屋に祖国のパンを再現させたことが始まりという説がある。もともとの長さは60cmもあり、生地は素朴で、バゲットの原型だとも言われている。今ではもっと小さいサイズで、パン・オ・レ(ミルクパン)のようなリッチな生地で作られることが多い。
細長い棒状に成形しヴィエノワクープ(ソシソンカット/ソシソンクープ)と呼ばれる細かいクープを沢山入れるのが特徴。この深いクープによって火通りが良くなり、クラストはサクッと歯切れよく、クラムはふんわり柔らかに焼き上がる。
ヴィエノワズリー / Viennoiserie
「ウィーン風」の意。副材料をたっぷりと使ったリッチな生地で作るパンの総称。オーストリアのウィーンの菓子職人がフランスに伝えたと言われている。クロワッサンやブリオッシュなど。
打ち粉
手粉とも。生地を扱う際に手やこね台、麺棒などの道具に生地がくっつかないように、生地を保護するために使用する粉。使用量によっては生地感が変わってしまうので可能な限り少なめが良い。特に表記がない場合は、主には粒子が粗い強力粉を使用する。
内割
パン作りにおいて、内割、外割は、レシピの粉の最終総量を100%とするか、しないかで区別される。内割は、製パンの一貫において加える全ての粉を総合して100%とするもの。
■え
液種法
粉1:水1以上、を合わせてあらかじめ発酵させた発酵種を使用してパンを焼く方法。アドミ法、ブリュー法、ポーリッシュ法、アンザッツ法などもこの一種(だと思う)。詳しくは各項目参照。
液種を使用することにより、発酵がより安定する。生地の伸展性、伸長性が高まる。ボリュームのあるパンを焼くことができる。発酵生成物や粉の旨味を色濃く反映したり、老化を遅らせることができる。
エヴァミルク
無糖の練乳。
エピ / épi
バゲット生地で作るフランスのパン。麦の穂の意。
塩化ナトリウム
大雑把には塩。細かく言及するなら、塩の主成分。塩は塩化ナトリウムとニガリ成分から成る。製パンにおいては塩化ナトリウムとニガリ成分(ミネラル分)のバランスが生地の仕上がりに影響力を持つ。
塩基性
アルカリ性とも。pHとして数値化することができる。pH7より高い数値を示すものがアルカリ性。アルカリ性の水溶液は苦味のあるものが多く、また触るとぬるぬるするという特徴がある。
⇄酸性
■お
オートリーズ
ミキシングの途中に生地を休ませ、二段階でミキシングを行う方法。もともとはフランスパンの製法。小麦粉、水(+モルト)を合わせてミキシングしてから、生地を20-30分休ませ、その後、酵母と塩を加えてミキシングを終える。生地中の酵素分解を促し、旨味と甘味を増強する。生地の緊張を和らげ、伸びのいい状態にして、ゆるやかにグルテンをつなげる。酵素の働きのおかげで、オートリーズ後に加える酵母の発酵がスムーズになる。
ここから派生して、今ではさまざまな方法でオートリーズに似た製法が取られている。糖分などの副材料や酵母を先に加える場合もある。ただ、本来のオートリーズの効果を最大限に利用するためには、小麦の水和を妨げたりグルテンを引き締めてしまうような材料は、オートリーズ後に加える方が良い。
オーバーナイト発酵
低温長時間発酵、冷蔵長時間発酵とも。生地を低温で発酵熟成させる製パン法。パン生地を低温、もしくは冷蔵庫に入れることでイーストの活動がゆるやかになり、ゆっくりと発酵、熟成する。生地の熟成が進むので、発酵生成物の蓄積が期待できるため、甘みや旨みののった生地になる。
発酵熟成の期間はある程度の長さを確保しないと期待するほどの効果は見込めない。仕込みの時間によってはひと晩寝かせることもできるので、オーバーナイト発酵と呼ばれる。もちろんひと晩、以上寝かせる場合もある。
低温の定義は曖昧。
今話題のレスペクチュスパニス法もここに分類されるのかな?
オーバーナイト中種法
中種をひと晩、発酵熟成させる中種法。
オーバーミキシング
ミキシング過剰の状態。
⇄アンダーミキシング
オーブンスプリング
窯伸びとも。焼成時にオーブンの中でパンがふくらむこと。発酵によってグルテン膜で包み込まれていた二酸化炭素や水分が加熱されて膨張する。二酸化炭素の膨張や水分の気化に伴ってグルテン膜も伸長し、パンが膨らむ。
折りこみ / 折りこみ作業
生地にバターシート、折りこみシート、クリームなどを包んで、「折る+伸ばす+たたむ」をくりかえして層のある生地を作る作業のこと。
折り込み生地
生地にバターシート、折りこみシート、クリームなどを包んで、「折る+伸ばす+たたむ」をくりかえして作られる層のある生地のこと。クロワッサンやデニッシュ、マーブルパンなど。
折りこみシート
マーブルパンのような層のある生地を作るときに、生地に折り込むシート状のペーストのこと。チョコレートやカスタードなどをそのまま折り込むことは難しいので、粘性と作業性を高めてシート状に加工する。
オールイン製法
一般的には後入れが好まれる材料(塩や油脂など)も、全てはじめに投入してミキシングを行う製パン法。
オレンジピール / candied orange peel
オレンジの外皮に甘味をつけ乾燥させたもの。
■か
カイザーゼンメル(カイザーセンメル) / Kaisersemmel
カイザーロールと呼ばれることも。オーストリア発祥のシンプルな膨らみの薄いパン。ドイツやスイスでも馴染み。上から見た形が、カイザー(皇帝)の王冠の形に見える。この模様は手成形で作ることもできるが、専用の押し型を使用すると簡単。最終発酵を裏でとることで、膨らみが抑えられる。水平にカットしてサンドイッチにすることが多い。
外麦(がいばく)
外国産小麦。
灰分
小麦を燃焼した時(灰になった時)に残る物質で、外皮・胚芽に含まれるミネラル分(カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン酸、など)のことをいう。小麦の中心に向かうほど少なくなり、外に向かうほど多くなる。
日本では白くふわっとしたパンが好まれるので、灰分の少ない小麦粉が人気だが、ヨーロッパでは、小麦の風味を味わえ、パンが少し茶色く色づく、灰分が多めの小麦が好まれる。
ガス
パン生地が発酵する過程で発生する二酸化炭素のこと。生地が蓄えた気泡のこと。
加水率
吸水率とも。パン生地の中の粉に対する水量の割合(%)。
カスクルート
カスクートとも。フランス語では「軽食」の意。バゲットに具材を挟んで食べるサンドイッチのこと。
ガス抜き / パンチ
発酵した生地の中のガスを抜く作業。生地を優しくプレスして生地の中からガスを出し、生地に更なる呼吸や発酵を促す行為。酵母を活性化させたり、生地温度を下げたり、気泡を均一に整える役割もある。また、発酵で緩んだ生地を引き伸ばしたり折りたたんだりすることで、再び緊張感を持たせたり、グルテン組織を更に複雑に絡めて強化する目的もある。
可塑性油脂
力によって形を自在に変え、その形を保持する性質を持つ油脂のこと。バター、マーガリン、ショートニングなど。
カソナッド
粗糖、未精製の甘藷糖(さとうきびの茎汁を搾り、不純物を除去したもの)の結晶。カソナード、ブラウンシュガーとも言う。
型比容積
比容積とも。型の容積に対しての生地量を出すための値のこと。
計算式
「パン型容積(cc)÷パン生地重量(g)」
近年の平均値はおおよそ3.8-4.0前後が適正生地量。やわらかなふわっとした口当たりが好まれる。(でも最近はもっぱら自由な感じがします)
カード
スケッパー、ドレッジとも。
加糖中種法
中種法の一種。砂糖の一部を中種に加えて発酵させる製法。砂糖の配合が多い日本の菓子パンに多く用いられる。使用する砂糖全量の約5%を中種に配合するのが一般的。砂糖の配合量が20~30%の比較的多めの菓子パン生地では、糖を2回に分けて加えて高ショ糖度と高浸透圧を回避することで、発酵がスムーズになる。
過発酵
発酵が進みすぎた状態。 おもに発酵の温度が高かったり時間が長すぎるのが原因。 生地がしぼんだり表面に気泡が出来たりする。
窯入れ
オーブンに生地を入れること。
窯伸び
オーブンスプリングとも。焼成時にオーブンの中でパンがふくらむこと。発酵によってグルテン膜で包み込まれていた二酸化炭素や水分が加熱されて膨張する。二酸化炭素の膨張や水分の気化に伴ってグルテン膜も伸長し、パンが膨らむ。
カラメル化
糖が高温下で熱分解されて茶色く色づき、甘く香ばしい香りを発生させること。
空焼き
金属製の型やフライパンなどを、使用前に熱すること。サビ止めになるだけでなく、焼きあがったパンやお菓子が型からはがれやすくなる。 また、お菓子作りにおいて、パイやタルトの生地を、フィリング等をのせる前の器状の状態で焼くことを指すこともある。
還元糖
ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖など。構造に、反応性の高い「還元性基」を持つ。この部分がアミノ酸やタンパク質と結びつき、アミノ-カルボニル反応を起こす。
カンパーニュ(パンドカンパーニュ) / Pain de campagne
昔からパリ近郊で作られていた田舎パンの総称。パングランメールとも。丸型や俵型など形はさまざまで、ライ麦を配合した素朴なものが基本。伝統的な製法ではルヴァン種を使用し、発酵種の独特の酸味や香りを楽しむ。
■き
キッシュ
卵とクリームを使って作るフランス、アルザス・ロレーヌ地方の郷土料理。 パイ生地・タルト生地で作った器の中に、卵、生クリーム、ひき肉やアスパラガスなど野菜を加えてチーズをたっぷりのせオーブンで焼き上げたもの。
キャンパス地
パンマットとも。無地で厚手の生地でできた布。ベンチタイムや発酵時の型崩れを防いだり、生地の乾燥を防いだりする。
吸水率
加水率とも。パン生地の中の粉に対する水量の割合(%)。
強力粉
タンパク質の多い硬質小麦から作られた小麦粉。製粉後の粒が薄力粉より大きいため、サラサラとしている。パンやピザなどに使われる。
■く
クグロフ / Kouglof
フランスのアルザス地方に古くから伝わる祭事用のイースト菓子。独特の陶器のクグロフ型に入れて焼くのが特徴。今では金型でもよく焼かれている。ドイツやスイスでは別の名で呼ばれている。
クッペ / Coupe
バゲット生地をラグビーボール状に成形し、一本の切り込みを中央に引いてから焼成するのが特徴。クッペとは「切られた」という意。クラムの割合が多く、日本人にも食べやすい。
クープ
生地の表面に入れる切りこみのこと。切り込み部分は温度上昇と乾燥速度がゆるやかになる性質を利用し、生地を均一に縦に膨らませたり、内部の水蒸気を意図的に縦に逃したりして、火通りをよくすることなどを目的とする。
クラスト
皮、表皮、耳とも。生地の外側の表層の部分。
グラハム粉
全粒粉のひとつで、小麦の皮から実まで丸ごと挽いたもの。表皮と胚芽部分を粗挽きにしているのでザラザラとした食感が特徴。
クラム
生地の内側の内相の部分。
グリッシーニ / Grissini
クラッカーのような食感のスティック状のパン。イタリアのピエモンテ州、トリノ発祥といわれている。そのまま食べたり、生ハムなどを巻いて食べることも。ワインのおつまみにするのが定番。食べ方は長いままかじるのではなく、手で適当な大きさに折っていただくのがマナー。
グルコース
ブドウ糖のこと。
グルテン
小麦粉に含まれる、グリアジンとグルテニンの総称。タンパク質に水を加えるとできる粘弾性のある物質。
グルテニン
小麦に含まれているタンパク質のひとつ。水と合わさることでグリアジンと結合してグルテンを形成する。グルテンに硬さを与える役割がある。結着剤としてのグリアジンがなければグルテンを形成することはできない。グリアジンと同じたんぱく質はライ麦粉にも含まれるがグルテニンがないので、ライ麦粉に水を加えてミキシングしてもグルテンは形成されない。
グリアジン
小麦に含まれているタンパク質のひとつ。水と合わさることでグルテニンと結合してグルテンを形成する。やわらかく、べたつく性質があり、グルテンに硬さを与えるグルテニンの結合剤として働く。
クリーミング
油脂、卵黄、砂糖などを泡立てる工程のこと。油脂に細かい気泡を含ませるとともに、それぞれの材料をあらかじめ乳化、結合させておくことで、仕上がりがソフトなパンになる。また、のちに本生地に混ぜ込む際、例え多量の油脂であっても、スムーズに生地に馴染ませることができる。
クレームダマンド
アーモンドプードルにバター・砂糖・卵を混ぜ合わせて作ったクリームのこと。
グロゼイユ
フランス語でフサスグリのこと。赤い果実と白い果実あるが主に赤い果実がよく使われる。
クロワッサン
バターと生地を折り込み層にした生地で「三日月」の形に焼き上げるパンのこと。「クロワッサン」とはフランス語で「三日月」の意。かつては使用する油脂によって形が違っていた。バターを使用する場合はサイドを真っ直ぐにした菱形に、マーガリンなどを使用する場合はサイドを丸めて三日月形に整えていた。今ではその区別も曖昧。
■け
結合水
生地の中で、塩や砂糖などの物質と結びついている水分のこと。結合水が多いほうが、しっとりとしたパンが出来上がる。
ケービング
腰折れとも。焼成後のパンの側面が内側に向かってへこむこと。型焼きパンにおこる現象で、パン生地の加水率、発酵状態、あるいは焼成温度・時間などさまざまな要因により引き起こされる。それらが適正であれば、焼成後、パンを型に入れたまま高い位置から落とすなどしてショックを与えることで、充満した蒸気を排出し、クラムの気泡膜を整え、ケービングを防ぐことができる。
■こ
後塩法
コウエン法、アトジオ法。ミキシングの際に、塩を後入れする製パン法。塩を加える前に小麦に水を充分に吸わせ、効率よく水和させることで、グルテン骨格の構築をより効率的に進める製法。ミキシングの時間を短縮することができる。
酵素
生物の細胞内で合成され,生体内で行われるほとんどすべての化学反応の触媒となる高分子化合物の総称。製パンにおいては、タンパク質分解酵素のプロテアーゼ、デンプン質分解酵素のアミラーゼなどが重要。
酵素活性
酵素の働きの有無や強さのこと。
酵母
単細胞の真核微生物。地中、水中、植物や有機物上に存在する。製パンで利用する代表的な酵母はサッカロマイセスセレビシエ。糖分をアルコールと二酸化炭素に分解する。製パンはこの発酵系代謝を利用してパンを焼くもの。
酵母起こし
種起こしとも。食材そのものに付着している微生物(酵母や細菌)、あるいは空気中に浮遊している微生物をキャッチして培養し、主に製パンなどに利用するもの。
酵母菓子
発酵菓子とも。酵母を使ったお菓子のこと。ドーナツやクグロフ、シュトレンやパンドーロ、パネットーネなど。
糊化
アルファ化(α化)とも。デンプンを水とともに加熱することで、デンプン分子が崩壊して規則性を失い、糊のような粘りが出ること。食感としてはもちもちする。製パンではこのアルファ化を利用してパンを焼く。湯種製パン法やベーグルのケトリングは、この性質を焼成とは別のタイミングで利用したもの。
⇄ベータ化(β化)
ココナッツミルク
熟したココナッツから作られる、ミルク状の液体のこと。 ココナッツの内側にある胚乳をすりおろし、水を加えて煮込んだ後、裏ごしをして作る。 料理・デザート・カクテルなど、幅広く用いられている。
こし
パン生地の弾力性のこと。
こねあげ温度
ミキシングを完了したときの温度のこと。
計算式
生地のこねあげ温度=(粉+水温+室温)÷3+摩擦による生地の温度上昇(5-7℃)
コールドスタート
オーブンを予熱せずに、あるいは焼成の適温に達しない状態の窯にパン生地を入れ、焼成をスタートすること。
コールドプルーフ / cold proof
最終発酵を冷蔵で取ること。また、生地が比較的冷えた状態のまま窯入れし、オーブンスプリングで大きな窯伸びを狙う製法として知られている。主に海外の火力の強いオーブンやデッキオーブンなどで有効な方法。日本の家電では火力が足りず、クラストが厚くなったり火通りが悪くクラムの水分の抜けが悪かったりするのであまり適さない。
コーンフラワー
とうもろこしの皮と胚芽を取り除き、胚乳のみを粉砕したもの。粉粒の大きいものから、コーングリッツ、コーンミール、コーンフラワーなどと区別される。
■さ
最終発酵 / final proof
二次発酵、ホイロを取る、とも。成形後、窯入れの前に行う発酵の工程。理想的な窯伸びと火通りを狙うためにコントロールする必要がある。一次発酵よりシビアな見極めが必要。
発酵が足りないと、窯での生地の伸びが足りなくなったり、発酵がいきすぎるとパンの表層、内相が乱れたり、ガスを保持できずにしぼんだりする。
酒種
木村屋總本店が考案した。日本酒を作る工程、生酛造りからヒントを得て作られた日本独自の酵母。4回にわたって種継ぎを行って酵母と乳酸菌、コウジカビ菌のバランスを整えていく。
サフ
フランス、ルサッフル社の酵母を指す。
サフ青
ビタミンC無添加のイースト。リーンな生地に向いている。糖分は粉に対して〜12%くらいまでの使用が良い。
サフ赤
低糖配合用のイースト。粉に対して糖分0-15%くらいの生地に使用すると良い。
サフ金
耐糖性のあるイースト。粉に対して糖分12%〜くらいの生地に使用すると良い。
サワー種
広義には、世界各国のあらゆる発酵種をすべてひっくるめて「サワー種」と呼ぶ。より限定的に使用する場合は、発酵種の微生物のバランスを乳酸菌優勢になるように育て、はっきりと鮮やかな酸味を感じられる発酵種のことを指す。ライサワー種やサンフランシスコサワー種、北欧のスアダイなどがある。前後の文脈で読み解く必要がある。
酸性
pHとして数値化することができる。pH7より低い数値を示すものが酸性。酸性の水溶液は酸っぱい。
製パンにおいては、酵母がもっとも働きやすいpH5.5-6.5に生地を保つことが望ましい。アルカリ性はpH7〜。
⇄アルカリ性
サンフランシスコサワー種
サンフランシスコサワードウブレッドで名が知られる、アメリカ西海岸発祥の小麦主体のサワー種。その土地特有の酵母やラクトバチルスサンフランシスエンシスという乳酸菌を有し、比較的強めの鮮やかな酸味を持つ。クラムチャウダーと合わせて食べるスタイルが有名。日本で起こすことは難しく、米Amazonなどで固有種のスターターを購入することができる。
■し
塩
塩化ナトリウムの含有量95%以上の精製塩を使用すると良い。パン生地を引き締め、また味わいも引き締めてくれる大切な縁の下の力持ち。発酵や酵素の働きを和らげたり、殺菌効果を発揮したりする役割もある。
直捏ね法
ストレート法とも。材料(フィリングなどは除く)を一度にミキシングし、パン作りの工程を分割することなく、発酵、成形、二次発酵、焼成までを滞りなくひとつの流れで行う製パン法。家庭製パンでもよく用いられている。
素材の風味がよく、発酵時間も短く済み、材料の個性が強めに出やすいという特徴がある反面、生地の老化が早くまたボリュームが出づらいという短所もある。
オールイン製法と区別する点は、油脂入れのタイミング。直捏ね法はミキシングの工程は分割しないが、油脂はミキシングの最後に加えることが多い。
自家製酵母
自家培養酵母とも。食材そのものに付着している微生物(酵母や細菌)、あるいは空気中に浮遊している微生物をキャッチして培養し、主に製パンなどに使用するもの。
自家製酵母であっても、主流となる酵母はサッカロマイセスセレビシエに分類されるものがほとんどなので、市販の酵母(イースト)とさほど変わらない。ただ、自家製酵母の場合は、酵母と共存している細菌類が豊かであったり、酵母そのものが培養をくり返されることで種内変異などにより少し性質が変わっていたりするようで、その分、作り手や環境による個性が強く表現され、より個性的で複雑な風味をパンに添加することができる。
仕込み水
パン生地を捏ねるとき、仕込みに使用する水分のこと。
シャンピニオン / Champignon
フランス語できのこの意。きのこ型のプチパン。バゲット生地で作られる。丸め生地に、円形に伸ばした生地を傘のように被せて焼くときのこの形に。傘はカリカリ、胴はもっちり、一つで二度美味しい食事パン。
自由水
遊離水とも。生地の中でどの材料とも結びついていない水分のこと。
主材料
小麦粉、酵母、水、塩の4つの材料を指す。
シュトレン
パンに洋酒漬けのフルーツをたっぷり入れた、ドイツのクリスマス菓子。 ドイツではイエス・キリストの誕生を祝うアドヴェントの期間(クリスマスまでの4週間)に、 シュトーレンを少しずつスライスして食べる習慣がある。 表面に粉砂糖をたっぷりとふりかけて、真っ白にし、赤ん坊を包むおくるみに見たてている。
シュトロイゼル
バター、砂糖、小麦などを合わせてそぼろ状にしたもの。
焼成
生地を窯に入れて焼くこと。釜伸び→デンプンのアルファ化→パンの骨格形成(タンパク質の凝固と余剰水分の蒸発)→着色(アミノカルボニル反応とカラメル化)などが起こる。この一連の流れのこと。
焼減率
ショウゲンリツ / ショウセイリツ。パン生地に含まれる水分が、焼成によって減少する割合を表す数値。単位は%で表される。
計算式
焼減率=(焼成前の生地重量-焼成後のパンの重量)÷焼成前の生地重量×100
理想的な焼減率はパンの種類によって変わる。
例
フランスパン・・・・22%
食パン・・・・・・・8~10%
菓子パン・・・・・・10%
ショソン・オ・ポム / Chausson aux pommes
折りパイ生地でリンゴを包んで、表面に模様をつけて焼いたフランスの菓子パン。
ショ糖
ブドウ糖(グルコース)と果糖(フラクトース)が1分子ずつ結合した二糖類のこと。
ショートニング
無味無臭の油脂。オーガニックのトランス脂肪酸フリーのココヤシの油脂が比較的手に入りやすい。生地が軽くさっくりした歯ざわりに仕上がるので、製菓や製パンに用いられる。パンに余分な香りや風味を与えたくない場合に向く。
シンペル
バヌトンとも。ブールやカンパーニュなど、大型のパンを焼く際に使用する発酵かご。生地を支え、形を整えると同時に、かごの模様を生地にうつして趣のあるパンを作るのに役立つ。フランスでは「バヌトン」ドイツでは「シンペル」と呼ばれる。
■す
水分含有量
自由水、結合水を問わず、その食品にどれ位水分が含まれるかを示す。 一般に、水分含有量が15%以下になると微生物の繁殖が阻止できると考えられるが、食塩や砂糖が多く含まれるもの(つまり結合水が多いもの)は、水分含有量が多くても繁殖がかなり阻止できる。
水和
小麦粉の粒一つ一つに水が浸透すること。しっとりした生地を作るためには、小麦粉と水をなるべく均一に水和させることが重要。
スクリーニング
リフレッシュ、フィード、種継ぎ。発酵種のより純度の高い部分のみを取り出し、新たに餌となる材料を与えて培養すること。発酵種の不安定な部分を捨て、発酵活動に有用な酵母や微生物の純度を高めて培養を継続することができる。
曖昧に使用されているが、このように捨て種が出る方法をスクリーニング、リフレッシュ、フィードと呼ぶことが多く、「種継ぎ」はもっと幅広く使用されている印象がある。
すだち
きめだち、グレインとも。クラムの気泡構造。
ストレート法
直捏ね法とも。材料(フィリングなどは除く)を一度にミキシングし、パン作りの工程を分割することなく、発酵、成形、二次発酵、焼成までを滞りなくひとつの流れで行う製パン法。家庭製パンでもよく用いられている。
素材の風味がよく、発酵時間も短く済み、材料の個性が強めに出やすいという特徴がある反面、生地の老化が早くまたボリュームが出づらいという短所もある。
オールイン製法と区別する点は、油脂入れのタイミング。ストレート法はミキシングの工程は分割しないが、油脂はミキシングの最後に加えることが多い。
スポンジ法 / Sponge and dough method
中種法とも。目的のパンを作るために、中種(材料の一部の粉50-100%、水、酵母をあらかじめ合わせて発酵させた発酵種)を作り、それを残りの材料と合わせて本生地を作る製パン法。
中種とは中間種のこと。中種作りと本生地作りと、工程がおよそ2倍になるので手間と時間がかかる。その分、生地はきめ細かくやわらかくなり、ボリュームが出て、ソフトな食感に仕上がる。生地種として発酵させているため、機械耐性があり、香り、風味が豊かになり、水分の抜け方も遅いので、老化しにくい。
工程
<中種>
中種のミキシング
↓
中種の発酵
<本ごね>
ミキシング
↓
一次発酵(フロアータイム)
↓
分割・丸め
↓
ベンチタイム
↓
成形
↓
最終発酵(ホイロまたは二次発酵)
↓
焼成
■せ
成形
生地を最終的に焼き上げたい形に整えること。形だけでなく、気泡の入り具合や流れ、生地の締まり具合、それによる食感の違いなどが大きく左右される重要な工程。
ゼスト
オレンジやレモンなど、主に柑橘系の果実の皮を薄く削ったり、すりおろしたもの。
セルクル
ケーキやクッキーなどを作る際に使う枠だけで底のない型。 全脂粉乳牛乳をそのまま濃縮、乾燥したもの。約10倍の水を加えることにより、栄養的に、元の牛乳によく似たものに復元する。
全粒粉
小麦の外皮や胚芽をそのまま丸ごと挽いた粉のこと。外皮や胚芽に含まれる食物繊維、ビタミン・ミネラルも含まれるので栄養価が高い。
■そ
外割
パン作りにおいて、内割、外割は、粉の最終総量を100%とするか、しないかで区別される。外割は、ある規定のレシピにおける粉量100%に対して、別個で材料(主に粉を含む)を追加するもの。結果、製パンの一貫において加える全ての粉の総量は、規定のレシピの100%を超える。
ソフトパン
口溶けが良く、ソフトな食感のパン。砂糖、バターなど副材料が多く配合されたリッチ系な生地のパン。
■た
タイガーブロート / Tijgerbrood
タイガーブレッド、タイガーロール、ダッチブレッド。パン生地の表層に、米粉、砂糖、油脂、パン酵母などを用いた上生地をぬって焼成することで、パンの表面が、まるでトラ柄のようにひび割れたパンになる。 形や粉の種類、フィリングのバリエーションも豊富なパン。
足し水
バシナージュとも。ミキシングの終盤、あるいは終了後に水を追って加えること。生地中の遊離水を増やしたり、ミキシングで繋がったグルテンを緩める(ある程度切る)ことにより、生地の柔軟性や伸展生を高める。
脱脂粉乳
牛乳からバターをとった残りを乾燥粉末にしたもの。
ダッチブレッド / Dutch Bread
タイガーブロート、タイガーブレッド、タイガーロール。パン生地の表層に、米粉、砂糖、油脂、パン酵母などを用いた上生地をぬって焼成することで、パンの表面が、まるでトラ柄のようにひび割れたパンになる。 形や粉の種類、フィリングのバリエーションも豊富なパン。
多糖類
加水分解によって2分子以上の単糖類を生じる糖類のこと。麦芽糖(マルトース)、ショ糖(砂糖)、デンプンなど。
タバティエール / Tabatière
タバチュール、タバチェ。嗅ぎ煙草入れの意。バゲットの成形違い。生地を丸め、うち3分の1を麺棒で薄く伸ばし、ふたのようにかぶせて焼成する。ふた部分のカリカリした食感と、内相のやわらかさのバランスを楽しむパン。
種起こし
酵母起こしとも。食材そのものに付着している微生物(酵母や細菌)、あるいは空気中に浮遊している微生物をキャッチして培養し、主に製パンなどに利用するもの。
種継ぎ
酵母に新たに餌となる材料を与えて酵母や微生物が継続的に働くことができるようにすること。この中でも特に捨て種が出る方法をスクリーニング、リフレッシュ、フィードと呼ぶ(ことが多いような気がする、曖昧ですみません)。
タンパク質分解酵素
プロテアーゼとも。タンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素の総称。
単糖類
加水分解によってそれ以上簡単な糖に分けられない糖類のこと。ブドウ糖・果糖など。
■ち
チャバッタ / Ciabatta
イタリア北部、ポレシーネ地方発祥。イタリア語で「スリッパ」という意味のパン。 手のひらサイズのチャバタはチャバッティーニと呼ばれる。パスタ用の硬質小麦で作られてきた歴史上がるが、今は小麦粉で作るレシピも多い。発酵時間が長く、少しの酸味と独特の風味がある。
調整水
生地の固さを調整するため、仕込み水からあらかじめ2~3%を取り分けたもの。
■つ
ツォップ / Zopf
15世紀のスイスで誕生した。編みこんだ髪の意。スイス、ドイツ、オーストリアでは有名な「編みパン」のこと。二つ編みから六つ編みまで様々な種類がある。ドイツやスイスのキリスト教徒の間では、これを安息日(一切の労働が禁じられている日)に食べる習慣がある。
■て
低温長時間発酵 / bulk retard
冷蔵長時間発酵、オーバーナイト発酵とも。生地を低温で発酵熟成させる製パン法。パン生地を低温、もしくは冷蔵庫に入れることでイーストの活動がゆるやかになり、ゆっくりと発酵、熟成する。生地の熟成が進むので、発酵生成物の蓄積が期待できるため、甘みや旨みののった生地になる。
発酵熟成の期間はある程度の長さを確保しないと期待するほどの効果は見込めない。仕込みの時間によってはひと晩寝かせることもできるので、その場合は、オーバーナイト発酵と呼ばれる。もちろんひと晩、以上寝かせる場合もある。
低温の定義は曖昧。
今話題のレスペクチュスパニス法もここに分類されるのかな?
手粉
打ち粉とも。生地を扱う際に手やこね台、麺棒などの道具に生地がくっつかないように、あるいは生地を保護するために使用する粉。使用量によっては生地感が変わってしまうので可能な限り少なめが良い。特に表記がない場合は、主には強力粉を使用する。
デニッシュ・ペイストリー
パン生地とバターを何層にも重ねて焼き上げるサクサクした食感のパン。 もとは、ウィーンから伝わったものだが、デンマークの製パン技術によって確立され、デンマークから世界各国に広がった。「デンマークの」という意味。
天然酵母
自家製酵母参照。酵母を人工的に生みだすことはできないので、酵母そのものに人口も天然もない。誤解を受けやすい表現なので、近年は、一部商品名をのぞき、「天然酵母」という表現の使用は控える傾向にある。
■と
綴じ目
生地を塞いだときの合わせ目のこと。
ドライイースト(市販品)
水分量7-8%。常温保存。要予備発酵。予備発酵は5-6倍量のぬるま湯(約40℃)に溶いて10-15分おく。乾燥しても生き残る酵母を培養し、その後培養液から分離、低温乾燥させて粒状にして作る。
ドラジェ
アーモンドやチョコレートを糖衣でコーティングしたもの。 ヨーロッパでは古くから結婚や誕生を祝う際に用いられてきた。 日本でも結婚式で「幸せのおすそ分け」として、ドラジェを5粒入れたものを来客に配ることがある。 この5粒には「幸福、健康、富、子孫繁栄、長寿」を願う意味が込められている。
ドリュール
ぬりたまごを塗ると表現することも。パンや焼き菓子の表面に光沢をつけるために、溶き卵(卵黄、卵黄を水で溶いたもの、卵白、牛乳、コーヒーなど場合によってさまざま)をぬること。
トルティーヤ / tortilla
トウモロコシの粉を使ったメキシコの薄焼きパン。 肉や野菜をはさみ、サルサソースをかけ、「タコス」にして食べる。本場では塩やレモンをかけてシンプルに食べたり、料理に添える主食として位置付けられる。小麦粉を使ったものはフラワートルティーヤと呼び、区別される。
■な
内麦(ないばく)
国産小麦。
中種 / sponge
スポンジとも。目的のパンを作るために、材料の一部の粉50-100%、水、酵母をあらかじめ合わせ、発酵させて作る中間種のこと。
中種法 / Sponge and dough method
スポンジ法とも。目的のパンを作るために、中種(材料の一部の粉50-100%、水、酵母をあらかじめ合わせて発酵させた発酵種)を作り、それを残りの材料と合わせて本生地を作る製パン法。
中種とは中間種のこと。中種作りと本生地作りと、工程がおよそ2倍になるので手間と時間がかかる。その分、生地はきめ細かくやわらかくなり、ボリュームが出て、ソフトな食感に仕上がる。生地種として発酵させているため、機械耐性があり、香り、風味が豊かになり、水分の抜け方も遅いので、老化しにくい。
工程
<中種>
中種のミキシング
↓
中種の発酵
<本ごね>
ミキシング
↓
一次発酵(フロアータイム)
↓
分割・丸め
↓
ベンチタイム
↓
成形
↓
最終発酵(ホイロまたは二次発酵)
↓
焼成
鍋炊き湯種
湯種のように、パンの材料の粉の一部を糊化させたもの。粉に対して3-5倍の水を使用し、撹拌しながら鍋でゆっくり加熱する。加熱の目安は、生地が満遍なく糊化されるまで。温度の目安は75-80℃。
大きくは湯種の一種。詳しくは「湯種製法」を参照のこと。
湯種、湯ゲル、鍋炊き湯種、いずれもパン生地に加える効果は大きくは変わりません。生地の水分値をあげることができるので、生地がしっとりします。パンの老化はアミロースが水分を手放すことから始まりますから、パン生地の中に水分が多ければ多いほど老化が遅くなります。保水性が高いとも表現できます。
また、糊化でんぷんが入るので、製パン中も糖化が進み、生地が甘くなる傾向があります。湯種や湯ゲルのように酵素が失活しない環境下で管理された湯種であれば、酵素の働きでさらに甘みが増します。
食感はもちもちしがち。日本人好みのパンになるんですね。さすが日本発祥の製パン法です。
鍋炊き湯種は一般的な湯種に比べると、生地に混ぜ込みやすいという利点がある。結果、ミキシング自体を控えるようなパンの場合に本領を発揮すると予測できる。
一方で、鍋炊き湯種でも湯ゲルでも、本来の湯種でも、しっかりミキシングしてグルテン構造を構築させるようなパンの場合は、一般的な製法に比べてミキシング時間が伸びることが示されているので、生地構築の面では、製パン性は低下すると言える。
配合量を調整した上で、長くしっかりミキシングすれば綺麗な生地ができ、さらに変性グルテンはパンの骨格を支えてくれるので、それなりに窯伸びしたパンも期待できる(と思っています)。
生イースト(市販品)
水分量70%。要冷蔵。保存は約一ヶ月。水に溶いて使用する。
パン酵母として最良の酵母を、糖蜜の中で、温度、pH、酸素をコントロールして純粋培養する。これを遠心分離機にかけ、洗浄、脱水、圧縮して作る。
汎用性の高いイーストで、浸透圧耐性が高く、リッチな菓子パン生地でも充分に効果を発揮する。ドライイーストよりも風味や生地の膨らみがよくなるともいわれる。ドライイーストの2〜3倍量を目安に使用。生イーストの5〜6倍のぬるま湯で溶かしてから他の材料と混ぜて使用する。
■に
二酸化炭素
化学式は CO2。無色・無臭の気体。
二次発酵
最終発酵、ホイロを取る、とも。成形後、窯入れの前に行う発酵の工程。理想的な窯伸びと火通りを狙うためにコントロールする必要がある。一次発酵よりシビアな見極めが必要。
発酵が足りないと、窯での生地の伸びが足りなくなったり、発酵がいきすぎるとパンの表層、内相が乱れたり、ガスを保持できずにしぼんだりする。
二番生地
型抜きや成形で使って余った生地のこと。 二番生地は一番生地よりも多少風味が落ちるので、形を変えたりして一番生地と区別しておくとよい。
乳化
水が油に溶けている、油が水に微粒子となって溶けている状態。
■ぬ
ぬりたまご
ドリュールとも。パンや焼き菓子の表面に光沢をつけるために、溶き卵をぬること。
■ね
練りこみパイ生地
小麦粉と小さくカットしたバターを加えて混ぜこんで作るパイ生地。
⇄折り込みパイ生地
■の
ノータイム法
ストレート法の一種。製パンにかける時間を大幅に減らすために考案された。酵母や酸化剤をふんだんに使用して、一次発酵を30分以内におさえる。ミキシングは最大限に行い、クラムのキメが細かく、ソフトな食感を目指す。
発酵生成物の蓄積があまり望めないので、風味や香りは劣るパンになる。
■は
パイル
窯伸びによって生地が裂ける、その亀裂のこと。
バゲット / Baguette
細長い棒や杖の意。「パン・トラディショネル」のうちの一つ。パンの主材料のみ(モルトなど一部使用が認められている材料もある)で作られる。60-70cmにクープは7本。今では世界各国でさまざまなサイズのバゲットが売られている。
麦芽糖
マルトースとも。二糖類のひとつ。麦芽やはちみつなどに含まれ、アミラーゼがデンプンを分解することで得られる。甘味は砂糖の1/3程度。
薄力粉
タンパク質の少ない軟質小麦から作られている。製粉後の粒は強力粉よりも小さいため、しっとりとしている。
バシナージュ
足し水とも。ミキシングの終盤、あるいは終了後に水を追って加えること。生地中の遊離水を増やしたり、ミキシングで繋がったグルテンを緩める(ある程度切る)ことにより、生地の柔軟性や伸展生を高める。
バタール / Bâtard
中間の意。「パン・トラディショネル」のうちの一つ。パンの主材料のみ(モルトなど一部使用が認められている材料もある)で作られる。バゲットの成形違い。40cmにクープは3本。今では生地量やクープの数は完全に自由化されている。
発酵
微生物が行う、人間に有用な代謝活動全般のこと。製パンにおいては、主に酵母が呼吸し、増殖すること、及び糖類を分解して、アルコール、二酸化炭素、エステル、有機酸、副産物としてビタミンBやアミノ酸を生成する行為を指す。これによってパン生地が膨らみ、また生地の香味も良くなる。
発酵菓子
酵母菓子とも。酵母を使ったお菓子のこと。ドーナツやクグロフ、シュトレンやパンドーロ、パネットーネなど。
発酵生成物
主にアルコール、二酸化炭素、エステル、有機酸、アミノ酸など。
発酵種
粉を酵母や乳酸菌によって発酵させたもの(サワー種やルヴァン種など)。また酵母や乳酸菌を培養した酵母液そのものを指す場合もある(レーズン種、ホップス種、酒種など)。
発酵バター / cultured butter
バターを作る際、原料のクリームに乳酸菌を加えて発酵させて作ったもの。 発酵によって生まれるわずかな酸味と独特の風味、コクがある。 日本では非発酵バターが多いが、ヨーロッパでは発酵バターが主流。
バッター
流動生が高くどろどろした生地のこと。粉を合わせる際に、粉の一部を加えてバッターを作っておくと、残りの粉もスムーズに混ざる。
初種
酵母起こしを経て、完成した発酵種のこと。あるいはこの状態をまだ未完と捉えて、このあと、二段階、三段階の培養を経て発酵種の完成とする場合もある。
ハードパン
クラストがバリバリとした硬い食感のあるパンの総称。リーンな配合の生地。
パートフェルメンテ
老麺法、古生地法とも。老麺(古生地)を使用して新しいパンを仕込む製パン法。前日にパンを焼き、そのあまり生地を老麺として使用していたことが始まり。一般的には粉に対して10~30%程度使用する。生地の一部が熟成されていることによって、発酵種特有の香味と酸味の添加が期待できる。
パネットーネ/ Panettone
パネトーネとも。イタリアのミラノが発祥のパン。ラクトバチルスコモエンシスという乳酸菌を有する種に卵やバター、砂糖を配合して、独特の香味を引き出す。パンドーロと共にクリスマスを代表するお菓子のひとつとして知られている。一般的には、レーズン、プラム、オレンジピールその他のドライフルーツを刻んだものを混ぜ込み、大小大きさは様々だがマフィンのような型にいれて焼き上げる。
パネトーネの名前の由来は諸説ある。もっとも有名なのは、15世紀にミラノで貧しいパン屋を営んでいたトニーの娘に恋した青年が「トニーのパン」として発案したという説。
バヌトン
シンペルとも。ブールやカンパーニュなど、大型のパンを焼く際に使用する発酵かご。生地を支え、形を整えると同時に、かごの模様を生地にうつして趣のあるパンを作るのに役立つ。フランスでは「バヌトン」ドイツでは「シンペル」と呼ばれる。
パリジャン / Parisien
パリっ子の意。「パン・トラディショネル」のうちの一つ。パンの主材料のみ(モルトなど一部使用が認められている材料もある)で作られる。バゲットの成形違い。68cmにクープは5本。今では生地量やクープの数は完全に自由化されている。
パン・オ・レ/ Pain au lait
水の代わりに牛乳をたっぷり入れたパンのこと。シンプルな配合の食事パンと、卵や砂糖を加えた菓子パンとがある。ハサミで切り込みを入れ、トゲのような形に焼き上げるため、パン・ピコ(トゲパン)と呼ばれることも。
パン・ド・カンパーニュ / Pain de campagne
昔からパリ近郊で作られていた田舎パンの総称。パングランメールとも。「パン・スペシオ」のうちの一つ。丸型や俵型など形はさまざまで、ライ麦を配合した素朴なものが基本。伝統的な製法ではルヴァン種を使用し、発酵種の独特の酸味や香りを楽しむ。
パン・トラディショネル
フランスパンは「パン・トラディショネル」「ヴィエノワズリー」「パン・スペシオ」の三つにカテゴリー分けされる。その一つ。パンの主材料のみで作られたシンプルなハードパン。シンプルな生地ゆえに、生地量や成形の仕方で食べ口が変わる。日本でもっともポピュラーなものはバゲット。
パンドーロ / pandoro
イタリア発祥のクリスマス用発酵菓子。黄金色のクラムが美しい。18世紀ごろに流行した星型のお菓子が元に生まれたという説がある。卵黄とフレッシュバターを贅沢に使い、ふんわりしっとりと焼き上げる。独特の星型のおかげで、内部の火通りが良い。カステラのような、スポンジケーキのようなやわらかさで、食感は程よくしっとり。酵母はパネトーネ種。パンドーロにはドライフルーツ等は入らず、生地の配合がかなりリッチな為、スポンジケーキのような甘く柔らかい食べ口になるのが特徴。
パン・ド・ロデヴ / pain de Lodeve
パン・パイヤスとも。ルヴァン種を使用した高加水生地を布張りの柳の籠(パイヤス)で発酵させ、計量も成形もしないで焼くパン。フランスの南部ラングドック・ルーション地方では、このパンはパン・パイヤスと呼ばれているのだそう。中身はしっとりとしてみずみずしく、皮は香ばしい食感。加水量が多いため家庭用の電気オーブンでは作ることが難しいとされている。
パンチ / ガス抜き
発酵した生地の中のガスを抜く作業。生地を優しくプレスして生地の中からガスを出し、生地に更なる呼吸や発酵を促す行為。酵母を活性化させたり、生地温度を下げたり、気泡を均一に整える役割もある。また、発酵で緩んだ生地を引き伸ばしたり折りたたんだりすることで、再び緊張感を持たせたり、グルテン組織を更に複雑に絡めて強化する目的もある。
パン・パイヤス / Le Pain Paillasse
ルヴァン種を使用した高加水生地を布張りの柳の籠(パイヤス)で発酵させ、計量も成形もしないで焼くパン。パン・ド・ロデヴ / pain de Lodeve の現地の通り名。フランスの南部ラングドック・ルーション地方では、このパンはパン・パイヤスと呼ばれているのだそう。中身はしっとりとしてみずみずしく、皮は香ばしい食感。加水量が多いため家庭用の電気オーブンでは作ることが難しいとされている。
■ひ
ビガ種
リエビト・ビガとも。イタリアのパンで使用する発酵種。中種法に近いイメージ。少量のイーストで低い温度にこねあげて、24時間ほどかけてゆっくりと種を発酵熟成させる。
ピタ / Pita
主に中近東で食べられているパン。数千年前から伝わり、現在ではギリシャやイスラエルなど各国で食べられている。 薄く延ばした生地を高温で焼くため中に空洞ができる。 半分にカットすると空洞がポケットのようになるので、 そこに野菜や肉を挟み、サンドイッチのようにして食べる。
ピロシキ / Pirozhki
酵母で発酵させた生地の中に、肉や野菜、きのこなどの具を詰めたパン。ロシアではもっとバラエティ豊か。オーブンで焼くものもあれば、油であげるものもある。惣菜ではなく、果物やジャムを入れたものもある。
比容積
型比容積とも。型の容積に対しての生地量を出すための値のこと。
計算式
「パン型容積(cc)÷パン生地重量(g)」
近年の平均値はおおよそ3.8-4.0前後が適正生地量。やわらかなふわっとした口当たりが好まれる。(でも最近はもっぱら自由な感じがします)
■ふ
フィッシュアイ
梨肌、ブリスタークラストとも。パン表面に気泡の膜が表れ、焼けて斑点のように見える現象。低温で長時間発酵させた生地、バゲットなどではクラムにもブリスターが見られる場合もある。
日本の菓子パン文化の下では、特にリッチな生地の場合は、冷凍障害、冷蔵障害と言われて嫌煙されるが、リーンな生地が主流の海外のサワードウベイカーの間では、美味しい生地の証として喜ばれる傾向にある。
はっきりとした原因は特定されていないが、酵母数が少なく、加水率が高く、遊離水が多かったり、生地の乾き具合にムラがある状況で起こりやすい(ような気がする)。
フィンガーチェック
フィンガーテスト、指穴テストとも。生地の発酵具合を確かめる方法。発酵で膨らんだ生地の中心に打ち粉をふり、指を突き刺す。発酵が適正な場合は、指を抜いたあとの形が残り、発酵が不足している場合は、指の跡の穴が押し戻ってきて縮む。発酵が過ぎている場合は、指を差し込んだとたんに生地全体がしぼむ。
フォカッチャ / Focaccia
イタリア語で「火で焼いたもの」の意。古代ローマ時代から伝わる食事パン。 生地にオリーブオイルが入っており、フレッシュな香りと風味がある。焼成前に生地全体に無数の穴をあけて、膨らみを抑える。肉や野菜と相性が良いので サンドイッチにして食べることが多い。 また、食事の付け合せとして、塩を入れたオリーブオイルをつけて食べることもある。砂糖とバターをのせた「フォカッチャ・ドルチェ」もある。
フォルサワー
粉末タイプのサワー種。予備発酵の必要がなく、そのまま生地に加えるだけでライ麦特有の酸味と風味が増し、生地のベタつきを抑える。粉の10%置き換えが目安。
副材料
パンの主材料以外の材料のこと。主に、砂糖、油脂(バター、ショートニング、オリーブオイルなど)、卵、乳製品(牛乳、スキムミルクなど)を指す。
ブドウ糖
グルコースとも。単糖類。自然界に最も多く存在する糖。
フラクトース
果糖のこと。
ブリオッシュ/ Brioshe
フランスのリッチな菓子パン。牛乳、バターと卵を多く使った口当たりの軽いパン。生クリームを使用する場合も。17世紀のノルマンディー地方で誕生し、その後、フランス各地でその土地ごとのレシピで作られるようになった。形によって「ブリオッシュ・ナンテール」「ブリオッシュ・ア・テート」「ブリオッシュ・ムースリーヌ」などの種類がある。
ブリオッシュ・ア・テート / Brioche à tête
ブリオッシュ生地で作られる小さな可愛らしいパン。僧侶の形をかたどっていると言われる。丸め生地の上、四分の一くらいのところにくびれを作って、頭を作るのが特徴。
ブリオッシュ・ド・ナンテール / Brioche de nanterre
ブリオッシュ生地で作られる。パリ郊外の都市、ナンテール市の名前を冠したパン。小さく丸めた生地を長方形の型に入れて焼く。大きな型で焼くため、水分を逃さず、しっとりとしたクラムになる。
ブリオッシュ・ムスリーヌ / Briodhe mousseline
ブリオッシュ生地で作られる。ムースリーヌはモスリンに由来する。円柱形の型で焼くので、生地が縦に伸びてふわっとなめらかな内相になる。これを薄切りにして、さっとシロップを染み込ませ、アーモンドクリームを塗って焼き、ボストックとして食べるのも人気の食べ方。
ブリュー法
水、酵母、砂糖をあらかじめ合わせて、液状の種を作り、これをノータイム法の生地に使用する方法。発酵の香りや風味を補う目的があるが、期待するほどの効果を得にくいため普及していない。
プルマン
角型食パンのこと。
フロアタイム
一次発酵とも。製パン工程での一度目の発酵。温度、湿度、時間(場合によっては圧力や酸素の量など)をコントロールし、生地を目的の状態まで発酵させること。
酵母が二酸化炭素とエタノールと熱を発生させて生地を膨らませる。その圧力で生地の伸展生が高まり、グルテンがより鍛えられる。生地は香味を蓄え、風味よく熟成される。
プロテアーゼ
タンパク質分解酵素。タンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素の総称。
分割
生地を必要な重量に切り分けること。
■へ
ベイカーズパーセント
小麦粉の分量を100として、小麦粉に対して他の材料が何%入っているのかをあらわした数字。
レシピ
粉 200g (100%)
水 140g(70%)
元種 40g(20%)
塩 4g(2%)
計算式
水=140g÷200g=0.7=70%
元種=40g÷200g=0.2=20%
塩=4g÷200g=0.02=2%
ベーグル
もとはユダヤ人が日曜日の朝食として食べていたパン。1900年前後にアメリカに持ち込まれた。ドーナツのように成形した生地を一度、茹でてから焼成するのが特徴。茹でてパンの表層を糊化させることでパンの膨らみが抑えられ、独特のみっちりと目の詰まった食感が得られる。
ベータ化(β化)
老化とも。アルファ化して粘りが出たデンプン分子が、冷やされて元の状態とは違う構造で再び結合し、硬くなったもの。食感としては硬くなりパサパサする。2-4℃が最も老化が進む。
⇄アルファ化(α化)
ベンチタイム
生地を休ませること。分割したり丸めたり(予備成形)した後の生地は、グルテンの絡み合いや緊張によって伸びが悪くなるので、再び成形しやすくするために、グルテンを緩める目的がある。よって丸めが強ければベンチタイムに時間がかかり、丸めが緩ければベンチタイムはより短くなる。
ペントザン
ライ麦に含まれている多糖類のこと。強い吸水力があり、焼き上がったライ麦パンがしっとりとした食感のまま長持ちするのは、このペントザンによる。ただ、この強い吸水力によって粉と結び付く水分が取られてしまうので、ライ麦粉中のグルテン形成を妨げるという側面も。pHの影響は受けない。
■ほ
ホエイ
乳清、ホエーとも。 牛乳から乳脂肪やカゼインなどを除いた液体のこと。 ヨーグルトの上部に溜まっている水分。
ホイロ
製パン工程で生地を発酵させるときに使う、保温・保湿ができる装置のこと。
ホイロを取る
最終発酵、二次発酵とも。成形後、窯入れの前に行う発酵の工程。理想的な窯伸びと火通りを狙うためにコントロールする必要がある。一次発酵よりシビアな見極めが必要。
発酵が足りないと、窯での生地の伸びが足りなくなったり、発酵がいきすぎるとパンの表層、内相が乱れたり、ガスを保持できずにしぼんだりする。
ホシノ天然酵母
酵母を小麦粉、米、麹をつかって時間をかけて育てあげ乾燥顆粒粉末状にした酵母。使うためには種起こしの作業が必要。水を加え28℃24時間醗酵させてから使用する。
ポーリッシュ種
水種とも。目的のパンを作るために、材料の粉の一部0-30%(場合によってはそれ以上の粉)、粉と同量の水、酵母をあらかじめ合わせ、発酵させて作る液状の発酵種のこと。
ポーリッシュ法
水種法とも。目的のパンを作るために、ポーリッシュ種(材料の粉の一部、粉と同量の水、酵母をあらかじめ合わせて発酵させた発酵種)と残りの材料を合わせて本生地を作る製パン法。
ポーリッシュ種作りと本生地作りと、工程がおよそ2倍になるので手間と時間がかかる。発酵をより安定させ、早める効果があり、その分、低負荷でゆっくり長くミキシングすることで伸びの良い生地ができ、パン生地の伸長性、伸展生を高める効果がある。窯伸びも期待できる。仕上がるパンは老化が遅くなり、発酵生成物や粉の旨味が反映されたパンになる。
工程
<ポーリッシュ種>
ポーリッシュ種のミキシング
↓
ポーリッシュ種の発酵
<本ごね>
ミキシング
↓
一次発酵(フロアータイム)
↓
分割・丸め
↓
ベンチタイム
↓
成形
↓
最終発酵(ホイロまたは二次発酵)
↓
焼成
→ポーリッシュ法
ホワイトライン
角食パンの上部の角に現れる白いラインのこと。パンの上の角が若干丸く、5mm程度のホワイトラインがある食パンが品質として良いと言われている。
■ま
マーブルパン
パン生地とフレーバーシート(チョコレートやあんこなど)が何層にも重なってマーブル模様を描いているパンのこと。
マルターゼ
サッカロマイセスセレビシエ由来の酵素のひとつ。麦芽糖をブドウ糖に分解する。生物界に広く分布している酵素で,最適温度30度、最適pH6.6~7.3で活性が強まる。
マルトース
麦芽糖のこと。
丸め / pre-shape
予備成形とも。生地を丸めること、成形を行うための下準備のこと。生地表面にハリを持たせたり、生地を次に行う成形の前段階の形に整えたりする。
■み
ミキシング
製パンにおける捏ねの工程のこと。
ミツトパンのミキシングの考察
①材料の混合、分散、均一化
↓
②小麦の水和とグルテン組織形成初期(伸展性と伸長性の強化)
↓
③グルテン組織形成中期(弾性の強化、気泡の混入と分散と均一化、グルテン網の強化)
↓
④グルテン組織形成後期(更なる気泡の混入と分散と均一化、更なるグルテン網の強化)
↓
生地の完成
水種
ポーリッシュ種とも。パンの材料の粉の一部0-30%(場合によってはそれ以上の粉)、粉と同量の水、酵母をあらかじめ合わせ、発酵させて作る液状の発酵種のこと。
あるいは粉に対して水分量が100%を超える発酵種全般のこと。
水種法
ポーリッシュ法とも。目的のパンを作るために、ポーリッシュ種(材料の粉の一部、粉と同量の水、酵母をあらかじめ合わせて発酵させた発酵種)と残りの材料を合わせて本生地を作る製パン法。
→ポーリッシュ法の項目参照
■め
メイラード反応
アミノ-カルボニル反応とも。アミノ化合物と還元糖が加熱されることで相互に反応し、メラノイジンを合成し、褐色の色がつくこと。
モルトエキス
モルトシロップとも。発芽した大麦を煮出して抽出したもの。デンプンを分解し麦芽糖を作り出す酵素、β-アミラーゼが含まれている。麦芽糖がリーンな配合のパンに良く使用される理由は、この酵素の添加が主な目的である。
■も
元種
食材から起こした自家製酵母を粉と合わせて培養し、より製パンに適したパン酵母として、あるいはまた発酵の香味の添加物として、パン生地に使用するもの。
粉の割合+水分の割合のバランスで呼び分けられ、「粉100%:水100%」をTA200、「粉100%:水110%」をTA210というように呼ぶ。
アトリエミツトパンでは、TA200(ルヴァンリキッド、サワードウスターター)、TA165-170(一般的な自家培養酵母の元種とアンシュテルグート)、TA150-165(リエビトマードレ、酒種のスティフスターター)を管理しています。
一概には言えませんが、発酵力はTA値が下がるほど上がり、TA値が上がるほど微生物の活性が上がる傾向にあります。
狙いに合わせて使い分けると良いと思います。
■ゆ
湯ゲル
湯種のように、パンの材料の粉の一部を糊化させたもの。粉に対して3-5倍の水を使用し、撹拌しながら鍋でゆっくり加熱する。加熱温度の目安は60-70℃手前とされることが多い。
狙いは、おそらく酵素を失活させない範囲で小麦でんぷんを糊化させること。
小麦でんぷんの糊化についてですが、吸水200%の場合で、60℃で84.2%, 60-65℃で90%, 75℃で100%という実験データが残っています。糖化の面でも65℃以上に加熱されたものから、パンの焼き色が濃くなったというデータがあります。
こちらと酵素の失活温度を踏まえると、湯ゲルの本来の狙いを活かすなら、加熱温度は60-65℃(限りなく65℃に近い温度)が最適と思われる。
大きくは湯種の一種。詳しくは「湯種製法」を参照のこと。
湯種、湯ゲル、鍋炊き湯種、いずれもパン生地に加える効果は大きくは変わりません。生地の水分値をあげることができるので、生地がしっとりします。パンの老化はアミロースが水分を手放すことから始まりますから、パン生地の中に水分が多ければ多いほど老化が遅くなります。保水性が高いとも表現できます。
また、糊化でんぷんが入るので、製パン中も糖化が進み、生地が甘くなる傾向があります。湯種や湯ゲルのように酵素が失活しない環境下で管理された湯種であれば、酵素の働きでさらに甘みが増します。
食感はもちもちしがち。日本人好みのパンになるんですね。さすが日本発祥の製パン法です。
湯ゲルは湯種に比べると、生地に混ぜ込みやすいという利点がある。結果、ミキシング自体を控えるようなパンの場合に本領を発揮すると予測できる。
一方で、湯ゲルでも鍋炊き湯種でも、本来の湯種でも、しっかりミキシングしてグルテン構造を構築させるようなパンの場合は、一般的な製法に比べてミキシング時間が伸びることが示されているので、生地構築の面では、製パン性は低下すると言える。
配合量を調整した上で、長くしっかりミキシングすれば綺麗な生地ができ、さらに変性グルテンはパンの骨格を支えてくれるので、それなりに窯伸びしたパンも期待できる(と思っています)。
油脂
バター、マーガリン、ショートニングに代表される固形油脂や、米油、オリーブオイルのような液体油脂のこと。
湯種 / Yudane, water roux
パンの材料の粉の一部を熱湯で捏ね、でんぷんを糊化させたもの。熱を加えるため、損傷でんぷんでなくても吸水する。
様々な吸水の湯種生地がある。吸水70-200%、鍋炊き湯種や湯ゲルのようなものも湯種のうちに含めるとすれば、吸水500-600%くらいのものも。
詳しくは「湯種製法」参照のこと。
こちらは完全にわたしの個人的な見解ですが……湯種の吸水は狙いによって使い分けるべきですが、鍋炊き湯種や湯ゲルを別物と考えると、湯種の理想的な吸水は80%前後なんじゃないかなあと思っています。
粉100gを湯種にするなら、熱湯は80g。ミルクで仕込むなら100g弱くらいです。粉の完璧な糊化を目指すには水分量が圧倒的に少ないですが、それが狙いです。この状態で仕込む湯種の捏ねあげ温度がだいたい65℃くらい。この温度を目指します。こちらの湯種を20%くらい生地に加えるのが正統派の湯種食パンのレシピのイメージです。
この湯種だと、小麦粉が糊化される割合と糊化されない割合とのバランスがちょうどいいので、粗熱を取ってから冷蔵庫でひと晩くらい寝かせると、いい具合に甘くなります。
湯種は、完全に熱を入れて完璧な糊化を目指してはダメですし、熱が足りないと粘性が出なかったりします。そこが面白いところですよね。粉に対して200%の吸水の湯種をよく見かけますが、この場合は、寝かせる工程は省いたほうがいいと思います。あまり意味ないと思うので……。
湯種製法 / Yudane Method, tanzhong method
湯種を使用してパンを焼く製法。
生地の水分値を無理なく上げることができるので、パンがしっとりする。保水性が高いので、老化が遅くなり、食感はもちもちする。また製パン中も糖化がが進み、パンが甘くなる。
作り方によっては、湯種そのものの糖化も狙うことができるので、仕上がったパンは焼き色が濃くなり、甘くなる傾向がある。
デメリットは変性グルテンや糊化でんぷんが生地作りを遅らせるので、捏ねに時間がかかること。また、糊化でんぷんがグルテンの伸びを阻害すること。結果として、湯種を仕込むという手数が増え、捏ね時間が伸び、パン生地の窯伸びが抑えられる。
湯種、湯ゲル、鍋炊き湯種、いずれもパン生地に加える効果は大きくは変わりません。生地の水分値をあげることができるので、生地がしっとりします。パンの老化はアミロースが水分を手放すことから始まりますから、パン生地の中に水分が多ければ多いほど老化が遅くなります。保水性が高いとも表現できます。
また、糊化でんぷんが入るので、製パン中も糖化が進み、生地が甘くなる傾向があります。湯種や湯ゲルのように酵素が失活しない環境下で管理された湯種であれば、酵素の働きでさらに甘みが増します。
食感はもちもちしがち。日本人好みのパンになるんですね。さすが日本発祥の製パン法です。
湯種製法は日本発祥だが、中国のパン職人が記した書籍から世界に広まったので、英名は中国語で伝わっている。現在はYudaneでも通じることがある。
■よ
予熱
焼く前に、予め設定した温度にオーブンを温めておくこと。
予備発酵
イーストを活性化させておくこと。ドライイーストの準備や、冷蔵発酵前に生地の発酵活性を高める際に行う。
■ら
ラフレイシ
かえり種、かえし種とも。酵母を起こしたままの状態から、より製パン性を高めるためにスクリーニングをくり返して酵母活性を高め、整えている段階の途中にある種。
ラミネーション
生地をラミネートするように薄く伸ばして、生地の伸展性、伸長性を強化する工程。グルテンの酸化促進の狙いもあると思われる。海外のサワードウベーカー(Sourdough bakers)、アルチザンブレッド系(Artisan Bread)のベーカーの間でよく行われている。高プロテイン、高加水の生地に施されることが多い。
■り
リエビト・マードレ / lievito madre
イタリアの自家培養酵母のこと。イタリアの家庭やパン屋で代々受け継がれている発酵種。
イタリアの伝統的なパネットーネを焼く発酵種ということで、近年、たいへんに注目されている。自家培養するとなるとおそろしく手間のかかる種で、1日に3回の種継ぎを7-10日(サイトによっては20日も!)繰り返す必要があるという、驚きの発酵種。
小麦から起こしたスターターを使用して、リエビトマードレと称することができる状態になるまで種継ぎを繰り返して仕上げる。例えば、ルヴァン種をTA135-150くらいで繰り返し継いで、水漬けしたりシュガーバスにつけたりして、発酵力や酸のコントロールしていくイメージ。
手間がかかる分、こちらで焼くパネットーネは、それ以外の種で焼くものとは全く違ったものになる。圧倒的においしいパネトーネになる。
リッチ
基本材料のほか、砂糖や油脂、卵乳製品などの副材料をふんだんに使ったパンのこと。クロワッサンやブリオッシュなど。
リーン
粉・パン酵母・水・塩の基本材料で作られ、副材料をほとんど含まないシンプルな生地のこと。バゲットやリュスティックなど。
■る
ルヴァン種 / levain
フランス語では発酵種の意。より限定的に「小麦かライ麦と水から起こした発酵種のこと」を指す。ルヴァンを使って焼いたパンを「パン・オ・ルヴァン」と呼ぶ。
ルヴァンシェフ / levain naturel chef
小麦やライ麦から起こし、スクリーニングを繰り返して作るルヴァン種のこと。ルヴァンリキッドのようにはじめは液状だが、段階を追って水分量を減らしながらパン生地と同じかたさに整えていく。その後もずっと小麦粉と水で継いでいく、親種のこと。
ルヴァンデュール / levain naturel dur
一般的なパン生地と同じくらいのかたさのルヴァン種、全般のこと。酵母の活性が高く、ルヴァンリキッドよりも製パン性に優れている。
ルヴァントゥポワン
仕上げ種とも。酵母を起こしたままの状態から、より製パン性を高めるためにフィードをくり返して酵母活性を高め、整えた種のこと。
ルヴァンリキッド / levain liquid
液状のゆるめのルヴァン種のこと。乳酸菌のような微生物が活発な発酵種で、初種はライ麦粉や小麦粉で起こし、小麦粉と水でスクリーニングしながら育てる。
ルセット
レシピのこと。(フランス語)
■れ
練乳
牛乳を2分の1から3分の1に濃縮したもの。加糖と無糖の2種類があり、加糖は「コンデンスミルク」、無糖は「エバミルク」と呼ばれる。
■ろ
老化
ベータ化(β化)とも。アルファ化して粘りが出たデンプン分子が、冷やされて元の状態とは違う構造で再び結合し、硬くなったもの。食感としては硬くなりパサパサする。2-4℃が最も老化が進む。
⇄アルファ化(α化)
老麺
古生地とも。事前に仕込んだパン生地の一部を取り分けて、冷蔵熟成させた生地のこと。あらかじめ十分に発酵させているので、発酵種の風味の添加や酵母の安定が期待できる。リーンな配合(主にバゲットのような生地)で仕込むことが多い。
老麺法
パートフェルメンテ、古生地法とも。老麺(古生地)を使用して新しいパンを仕込む製パン法。前日にパンを焼き、そのあまり生地を老麺として使用していたことが始まり。一般的には粉に対して10~30%程度使用する。生地の一部が熟成されていることによって、発酵種特有の香味と酸味の添加が期待できる。
ロデヴ
南フランスにある小さな街の名前。またパン・ド・ロデヴの呼称。ルヴァン種を使用した高加水生地を布張りの柳の籠(パイヤス)で発酵させ、計量も成形もしないで焼くパン。中身はしっとりとしてみずみずしく、皮は香ばしい食感。加水量が多いため家庭用の電気オーブンでは作ることが難しいとされている。
■わ
和三盆
独特の方法で精製した白砂糖。サトウキビからとった原料を何度も練ることで精製する。 上品な甘さが特徴でそのまま型抜きして茶菓として用い、また和菓子の原料として使われる。
ワッフルシュガー
あられ糖とも。あられ状の大粒の砂糖。焼き込んでも溶け残りやすく、パンや焼菓子にカリッとした食感を加えることができる。
ワンローフ
生地を分割せず広げて、折り返したり巻いたりして大きな棒状にし、型に入れて焼くことを「ワンローフ成形」という。
■
Iced bun / Iced finger
アイシングブレッド、グラスブレッドとも訳せそう。「Iced finger」「swiss bun」もこれに同じ。ブリオッシュ生地に近いリッチな菓子パン生地にアイシングをかけて、ベリー系のジャムと生クリームをはさんで仕上げるイギリスのパン。イギリスでとても人気がある(らしい)。シンプルな白いアイシングの他には、ピンクのアイシングがかかったものをよく見かける。レモン風味のものもある。
pH
ピーエッチ、ペーハー。水溶液の性質をあらわす単位。中性はpH7、これより低い方を酸性、高い方をアルカリ性と呼ぶ。
製パンにおける生地の最適なpHは5.5-6.5とされており、酵母の働きを活発にし、適度に生地をしめる。アルカリ性では酵母の活性が損なわれると言われる。酸性すぎる場合は、グルテンが溶け、生地が切れやすくなる。
ppm / parts per million
100万分の1のこと。製パンにおいては、ビタミンCなど使用量がごく微量なものに使われる。
1ppm = 0.0001%
swiss bun
アイシングブレッド、グラスブレッドとも訳せそう。「Iced finger」「Iced finger」もこれに同じ。ブリオッシュ生地に近いリッチな菓子パン生地にアイシングをかけて、ベリー系のジャムと生クリームをはさんで仕上げるイギリスのパン。イギリスでとても人気がある(らしい)。シンプルな白いアイシングの他には、ピンクのアイシングがかかったものをよく見かける。レモン風味のものもある。
「swiss bun」というと、こちらのアイシングブレッドの他に、丸パンに十字の切り込みを入れたパンなどスイスパン全般を指す。これらが合わさって、スペイン、マドリッドのswiss cafeから転じて広がり、アイシング部分をアイシングシュガーではなくグラニュー糖に置き換えて、シュガーバタートップのようなデコレーションをした丸パンを限定的に「swiss bun」とする場合もある(らしい)。