酒 種 の カ ン パ ー ニュ

酒種 で少しかためのスターターを作って、コールドプルーフカンパーニュ を焼きます。

#酒種のカンパーニュ
#カンパーニュ 
#酒種

酒 種 の 作 り 方

2021年5月14日

スティフスターター

TA値 の低い 発酵種 のスターターを スティフスターター といいます。SNSでよく見られるスティフスターターは砂糖も配合したTA150くらいのサワードウやルヴァンのスターターでしょうか。ソフトパンを焼くときなどに主に利用されることが多いようです。おそらくもとは リエビトマードレ の活用から幅が広がったのだと思います。
 
このTA150くらいがここ数年のトレンドになっていますよね。イタリアの方では ビガ種 もリエビトマードレもTA150くらい、サワードウベイカーの間でもリエビトマードレやらスイートスティフスターターやらが大人気。
 
TA値が下がると微生物の働きはちょっと緩慢になるので、本捏ね生地に配合したあとも生地管理はしやすくなると思います。発酵種法の内なので発酵は安定してスムーズになりますし、生地作りの面でも繋がるのが早いです。伸展性もアップして伸びもいい。ただ酒種の風味はちょっと落ちてしまいますけれど……。
 
そんなところを楽しみながら作ってもらえたら嬉しいです。

酒 種 の 作 り 方

2021年5月14日

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材料

1個分

分割 焼成 型比容積
なし / 400g 250℃ / 10分スチーム有
+
250℃ / 15-18分スチーム無
—-
TB% TH
177 71.7%

粉量230gでつくる

スティフスターター

マニトバ 23g
酒種 23g

本捏ね

マニトバ 184g
オーガニックスムレラT70 23g
149.5g
4.6g

材料について


材料の置き換えは自己責任でお願いします。

マニトバはタンパク質14.5%, 灰分0.6%の強力粉です。ハリやコシが出やすい製パン性の高い粉である一方で吸水はそれほど良くはありません。ただ粉の旨みもしっかり感じられる粉ので汎用性が高いです。

オーガニックスムレラT70はタンパク質9.1%, 灰分0.5%の石臼挽き全粒粉、準強力粉です。石臼挽きなので豊かな香りと甘みを感じられます。入れすぎ注意です。

ベイカーズパーセント

スティフスターター

マニトバ 10%
酒種 10%

本捏ね

マニトバ 80%
オーガニックスムレラT70 10%
65%
2%

作り方

フローを確認する

酒種のカンパーニュはスターターを準備することからはじまりますので、まずは簡単に流れを確認しましょう。

✦ スターターを作る

1

マニトバ、酒種を合わせて軽く練る

しっかり捏ねる必要はありません。かなりかためなのでそれなりにまとまればOK。

発酵をとる

スターターの発酵

冷蔵庫25-28℃ / 3倍
 
目安は1.5-2時間です
 
3時間かかる場合は発酵活性に少し不安が残るので、本捏ねで市販の酵母をひとつまみ入れてあげてください

このスターターを発酵させている間に本捏ね生地のオートリーズをするので、(2)と同時進行していきましょう。

2

水と粉類を合わせてざっくり混ぜる

スターターを発酵させている時間を利用してオートリーズをとります。乾燥させないこと。温度は室温23-25℃くらいで。

3

スターターが膨らんだら(2)に混ぜこむ

ちょっと生地がかためなの注意して。引き伸ばしながら折りこんでいくように混ぜていきます。

スターターが混ざったら塩を混ぜ込む

塩の粒がなくなるまで軽く混ぜてね。

軽く丸めて生地を40分間、休ませる

乾燥させないこと。

生地作り

ここから生地を休ませてはパンチ=S&F(引き伸ばしと折りたたみ)を4-5回くり返して生地を作っていきます。
 
環境温度は23-25℃くらい
途中、温度が上がりすぎるようなら冷蔵庫を活用してください

4

パンチを入れる

横に引き伸ばして中心に向かって両サイドを折りたたみます。

縦横の向きを変えて、再び引き伸ばして中心に向けて両サイドを折りたたみます。

生地を40分間休ませる

生地管理

生地管理の最適解は生地ごとに異なります。今回の生地の場合は、以下です。
 
▪︎生地温度は一貫して23℃付近で管理
▪︎スターターは1.5時間から2時間で3倍になる発酵活性
この条件下ではスターターを生地に加えてから4時間ほどで成形・型入れする。

厳密には粉の配合によっても変わってきますが、基本的にこのへんを気をつけてあげると、発酵と分解熟成のバランスがとりやすいと思います。

5

2回目のパンチを入れる
生地を40分間休ませる

6

3回目のパンチを入れる
生地を40分間休ませる

7

4回目のパンチを入れる
生地を40分間休ませる

8

5回目のパンチを入れる
生地を40-60分間休ませる

5回目のS&F

この時点でもし生地の発酵が進み生地が細かい気泡をたくさん蓄えているようであれば、引き伸ばしの工程を省きます。生地が傷んでしまうといけないので。
 
どんな状態かというと……生地がもったりと厚くなって、持ち上げたときに指先で気泡が潰れるような感触がある状態です。発酵し始めた生地のガスを必要以上に抜いてしまったり、繊細な生地を傷めてしまう可能性があるので、引き伸ばしはせずに軽く丸め直して最後のレストの工程にうつってください。

9

成形する

発酵かごに入れて、冷蔵発酵をとる

最終発酵 / コールドプルーフ

温度2-8℃ / 18-24時間
 
全体がぷっくり膨らんでいる
揺らすとフルフル揺れる
フォルムが丸くなって見える……など確認してください
 
復温は基本的には無しでOK
お好みで1時間くらいとってもいいと思います

10

クープを入れて焼成する

焼成

250℃ / 10分, スチーム有り
その後250℃ / 15-18スチーム無し

11

網の上で冷まして完成!

ノート

✤ スティフスターターって汎用性が高いです!

今回は酒種を事前に発酵種にして使用します。発酵種を使用することで発酵が安定しますし早くなります、生地作りの面でも製パン性が上がります。
 
コールドプルーフは、冷蔵発酵中、生地の管理ができない時間が長時間つづくので、できるだけ種の中の微生物のバランスを整えておいてあげた方がいいです。
 
分解熟成が優位に働いてしまうと、生地が長い発酵に耐えられない場合があります。生地の中はいつでも微生物同士の陣取り合戦中なので、発酵活性を上げてあげるだけで、その他の活性は少しおさえられます。そんなバランスを楽しんでみてください。

✤ コールドプルーフって?

この言葉、言葉自体は元々は海外のサワードウ文化から流入したものだと思います。成形後に冷蔵発酵をとる製法です。最終発酵を冷蔵庫で長時間にわたって取るために、一次発酵を100%取ることができないので、本来、適切なポイントで入れるパンチや成形といった重要な生地管理が、適切なタイミングで行えない製法だと思っています。さらに窯入れ時の生地温度が足りていないまま窯に入れることになるので、生地が窯の中で低温で蒸される時間が長くなります。
 
これだけ考えても結構難しい製法ですよね。
 
今回は、生地量を少し下げたり復温を1時間だけとったり、もっと掘り下げればスターターのハイドレーションを下げたり高タンパクの小麦粉を使用したりパンチの工程を増やしたり成形を強めにしたり……といろんなところで工夫しています。それでもやっぱり普段焼くハードパンのように薄くてパリパリのクラストという訳にはいかないので、クラストも味わい深くしてくれる「酒種」と「マニトバ」を使用しています。このカンパーニュのクラストは遠くでみりんのような香りが漂ってとってもおいしいです!
 
あとは慣れてきたら単純に水を増やして対応してみてください。生地の伸展性と伸長性が上がるので窯の中でも薄く伸びやすくなります。

✤ 酒種の起こし方はここをチェック!

酒 種 の 作 り 方

2021年5月14日

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アトリエミツトパンははちみつとパン(とトマト)をこよなく愛する晴が主宰するアトリエです。 はちみつの魅力や可能性、レシピの発信を行っています。 自家製のパンについても勉強してきたことをじゃんじゃんシェアしていきますね。 どうぞよろしくお願いします。