少しのイーストとはちみつで作るふわっふわの【ぶどうパン】の作り方。
中種法で作ります。
中種法とは?
発酵種を使用してパンを焼く製パン法のひとつです。こねの工程を二段階に分けて行います。こねの一段階目で、生地の材料の一部(粉、水、酵母)を事前にこねて発酵させ、中種を作ります。この中種を用いて二段階目の本ごねを行い、パンを焼き上げます。ふわふわで伸びの良い生地を作ることができます。発酵種特有の発酵の旨みやフレーバーを添加することもできます。
中種のかたさは標準のパン生地より少しかたいくらいが一般的です(ポーリッシュ法との差はここですね)。
今回はラムレーズンを70%加えて作るレーズン食パンです。このラムの濃厚な香りと発酵種の香りがとても良く合うので、中種をオーバーナイト発酵させて、長時間発酵の濃厚な香りをたっぷり添加しています。
中種法の効果で生地はふわふわ、レーズンたくさんでもそこそこ膨らみます。もっと高さを出したい場合はもう少しレーズンの配合割合を下げても良いかもしれません。お好みで工夫してみてください。
中種の強力粉→スーパーノヴァ
本ごねの強力粉→キタノカオリ
発酵バター→カルピス
木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。
■YouTube
■ぶどうパンの材料
—-1斤型 9×19.5×H9cm
中種
・強力粉 168g(70%)
・インスタントドライイースト 0.9g(–)
・水 108g(45%)
本ごね
・強力粉 72g(30%)
・牛乳 72g(30%)
・はちみつ 19g(8%)
・塩 4.3g(1.8%)
・発酵バター 24g(10%)
・レーズン 168g
・ラム酒 10g
焼成
予熱210℃
焼成210℃で10分、190℃で20分
インスタントドライイーストはサフ赤です。
焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。
■ぶどうパンの作り方
フローチャート
パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。
1日目
計量・下準備(5分)
↓
ミキシング(3分)
↓
予備発酵(1時間)
↓
オーバーナイト発酵(8時間以上)
2日目
計量・下準備(5分)
↓
ミキシング(1分)
↓
中種追加+ミキシング(10分)
↓
塩追加+ミキシング(5分)
↓
油脂追加+ミキシング(5分)
↓
レーズン追加+混ぜこみ(3分)
↓
一次発酵
↓
丸め直し(3分)
↓
ベンチタイム(30分)
↓
成形・型入れ(3分)
↓
最終発酵
↓
焼成(15分)
ぶどうパンの生地管理
中種生地
こねあげ温度
25℃前後
予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
25〜28℃前後、湿度70%以上、約1時間
本ごね生地
こねあげ温度
25〜27℃
一次発酵/フロアタイム
25〜28℃前後、湿度70%以上、30分〜1時間
最終発酵(二次発酵/ホイロ)
30℃、湿度70%以上、1〜2時間
あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。
中種の仕込み
中種を仕込みます
強力粉、水、インスタントドライイーストを加えて良く混ぜます。
水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。
こねあげ温度
25℃前後
材料が満遍なく混ざったら予備発酵させます。
温度25〜28℃前後/湿度70%以上
目安約1時間
生地が1.8倍くらいになったら、軽くガスを抜きます。
発酵容器に移しかえてオーバーナイト発酵に持ち込みます。
中種は、翌日、使用する際に復温させてから使用します。
オーバーナイト発酵中は密着ラップをおすすめしています。
オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。
野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。
発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探すトライアンドエラーが、オーバーナイト発酵と付き合っていくためには必要かもしれません。
本ごねの下準備
中種を復温させます
生地温度が15℃前後に戻り、発酵倍率が2倍になるまで復温させます。
レーズンの下処理をします
レーズンに熱湯を回しかけ、オイルコーティングを軽く落とします。しっかりと水分を拭き取ってから、ラム酒をふりかけて、香りづけします。
1
強力粉、はちみつ、牛乳を合わせて軽く混ぜます。そこに中種をちぎって加えます。中種と生地が均一に混ざるまでボウルの中で良く混ぜます。
2
全体が混ざったら、ボウルの中でこねます。生地をくりかえし引き伸ばしてグルテンを強化していきます。生地がひとまとまりになったらこね台に生地を出します。
少しべたつく生地なので、ボウルの中である程度こねておくと楽だと思います。叩き、引き伸ばし、折りたたみの3つの動作を心がけながらこねます。ボウルが綺麗になって、生地がまとまるまでこねます。
3
塩を加えてこねます。
4
発酵バターを加えてこねます。
5
ラムレーズンを混ぜこみます。
レーズンを加えてこねるというよりは、生地にレーズンを散らして、切って重ねることをくりかえして混ぜこみます。レーズンをあまり潰さないようにすると、三色のレーズンの色がくっきりと出て仕上がりが綺麗です。
こねあげ温度
25〜27℃
6
一次発酵させます。
25〜28℃前後/70%以上
目安30分〜1時間
7
丸め直して、ベンチタイムをとります。
8
成形して型に入れます。
9
最終発酵させます。
温度30℃/70%以上
1〜2時間
10
焼成します。
焼成
予熱210℃
焼成210℃で10分、190℃で20分
■中種法
中種法とは?
発酵種を使用してパンを焼く製パン法のひとつです。こねの工程を2段階に分けて行います。こねの1段階目で、生地の材料の一部(粉、水、酵母)を事前にこねて発酵させ、中種を作ります。この中種を用いて2段階目の本ごねを行い、パンを焼き上げます。
ふわふわで伸びの良い生地を作ることができます。発酵種特有の発酵の旨みやフレーバーを添加することもできます。
中種の加水は標準のパン生地より少なめ、生地は少しかたいくらいが一般的です。ポーリッシュ法と異なる点はここですね。生地の水分量が少ないものを中種、水分量が多いものをポーリッシュ種と区別します。
中種法のいろいろ
中種法にはいくつかの種類があります。今回のように、冷蔵庫で発酵熟成させる中種法は「冷蔵中種法」、「低温長時間発酵中種法」などと呼ばれ、一般的な中種法とは少し工程が異なります。
一般的な中種法は、中種を仕込んでから2〜4時間後(この時間にはばらつきがあるようですが)に本ごねに入る製法を指します。この場合は、生地温度の管理に慎重になる必要があります。本ごね時の中種の温度が上がりすぎないように、中種のこねあげ温度を調整する必要があるからです。今回は冷蔵庫で生地を休ませる工程が入るので、ここの部分で生地温度管理がたいへん楽です。中種法を取り入れる場合は、ぜひオーバーナイト発酵の工程を加えてください。中種の風味もグッと良くなります。
基本の中種法は、粉、水、酵母のみで仕込んだものです。他に、糖分の高いパンを仕込む場合はここに糖分を加えて中種を仕込む方法があります。酵母は糖分があまりに高い生地の中では元気がなくなってしまうので、段階をふんで酵母に糖を加える製法です。これを加糖中種法と呼んで一般的な中種法と区別します。パネトーネなどは加糖中種法で仕込むレシピが多くあります。日本で一般的な菓子パンや甘い食パンなども加糖中種法のレシピが多いと思います。
一方で、中種100%のレシピなどもあります。50%よりも少ないレシピもあるのかな? ちょっとぱっと見では確認できませんが、あるかもしれません。いろんなレシピを読んでみると様々な中種法があって面白いです。例えばチャバタは伝統的な製法だと100%の中種を使用して作られるみたいです。ただ、これは発酵条件にもう少し制約をつけて、ビガ種製法として独立させて考えられたりもするようなので、中種法とは区別されるべきものかもしれません。製パン法って難しいですねー。
中種の仕込み方と使い方
中種は材料の一部を事前にこねて発酵させて作ります。中種の一般的な割合は「粉量の50%〜70%の粉」と「それに見合う量の酵母」と「それに見合う量の水分」です。今回は粉量の70%の粉168gと、それに見合う酵母0.9g とそれに見合う水108gで仕込んでいます。糖分の多い生地ではないので、中種に糖は加えません。
使用する酵母ですが、私の場合は、パンを仕上げたい時間に合わせて量を加減しています。酵母の分量や種類はレシピ作りにおいてもっとも自由度の高い部分だと思います。今回はインスタントドライイーストを使用していますが、酒種やルヴァンなどの自家製酵母でも作ることができますよ。なんでもいけます。ご自身のパン作りの工程のイメージに沿う形で試行錯誤してみてください。
本ごねでさらに酵母を添加するレシピもたくさんあります。いろんなレシピに触れてみるとコツがわかってくると思います。私は混乱するので、酵母は全部中種に入れちゃいます。
中種の水分量は多くても70%までのようです。これ以上だと微生物の働きはより活発になりますが、酵母の安定が比較的悪くなるのだと思います。生地の状態がポーリッシュ種の特徴により近づくということですね。そうであれば(作るパンにもよりますが)、製法をポーリッシュ法に切り替えてしまう方がメリットも増えるでしょう。
中種法のメリットとデメリット
メリット
・粉の風味や発酵の風味が、比較的、良くなる
・こねる時間が短縮できる
・本ごねで生地を力強く扱うことができる
・発酵時間を短縮することができる
・ふわふわとしたよく伸びる生地を作ることができる
・比較的、日保ちが良い
デメリット
・2回に分けてこねるので手間と時間がかかる
・一般的なイーストの添加量の場合、イーストの香りが残りやすい(体感)
・中種の温度管理、本ごねの温度管理が少し難しい
時間さえあればふわふわのパンができるので、家庭でも積極的に取り入れていきたい製法だと思います。酵母の量についてはいつも少し迷うのですが、何回か作って見極めてください。私はいつもイーストは微量なので計量も面倒で中種に全量入れちゃいます。いろいろやってみてください。
木琴堂様
You tubeにアップロード後、こちらのサイトの更新を待ちきれずに、金曜に中種を仕込み、昨日焼いてみました!
一次発酵の目安時間など、細かなアドバイスやヒントがYou tubeにはないので手さぐりドキドキでしたが、なんとか上手に焼けました。
昨晩はこのブドウパンとビーフシチューで温かい夕食を楽しむことができました。
いつもありがとうございます。
我が家にあったのは、サンマスカットレーズン1色だったので、この3色のぶどうぱんのように華やかさには欠けたけれど、膨らみやお味は◎。
動画に膨らみをよくするには少しレーズンを減らしてもよい、あったので、20%ほど減らしましたが、やはりもともとの量があったほうがリッチな感じになったかもしれません。
中種法は実は初めてだったのすが、ボールの中で伸ばすことを意識しながら中種と本種を混ぜる工程、あれが意外に大変ですね。結構力がいって軽く汗ばむ良い運動、という感じでした。
今回の動画もとてもきれいで(さすが4Kの画像!)白を基調とした映像にリズムよくシャッ、シャッという生地を集めてはこねる音が重なって、スキーで長いスロープを気持ちよく滑り降りた時が頭に浮かびました。
気づけば間もなく10月。今年は絶対に、真っ黒と真っ白のポコポコパンを焼きます。みんなが歓声を上げる姿が予想されます。
あと、一つ質問ですが、米サワー酵母動画の最後に、マーブル食パン?が出てきますが、あちらのレシピはアップロードされるご予定はおありですか?動画がなくても分量やアドバイスなどご教示いただけると嬉しいです。
お返事急ぎません。よろしくお願いします。
こんばんは〜♡
更新が遅くなってすみません。
ぶどうパンとビーフシチューって理想の夕食ですねー。
食べたいものです!!
そうです、この生地もまたベタつくのです。
まとまるまでちょっと時間かかりますよね。
作っていただいてありがとうございます!
ぽこぽこパン作ります宣言も大変うれしく思っております。
マーブル食パン、そうですね、あれはいつも成り行きで作っているので、レシピを書き出していないのですが、今度ご紹介できるときに動画にしたいと思います。ただ、少し後になってしまいそう。一応、ご参考までに、今思いつくアドバイスをさせてください。
①生地はカルピス食パンの生地くらいリッチなものが合うと思います。少し甘味がある生地の方がチョコレートシートと合います。②生地量は特に加減せず、型に合わせて食パンの生地量を計算してそのまま使ってください③チョコシートは市販のものでももちろんOK、私は自分で作っています。あの時はチョコを溶かして作ったんですが、分量のなぐり書きが残っていました。
■チョコシート
・強力粉15g
・コーンスターチ10g
・ココア10g
・はちみつ30g
・牛乳50g
・チョコレート50g
・バター10g
これは最終的にこの分量にしたのかどうか覚えがないので曖昧ですが、こんな感じでチョコシートが再現できると思います。どこかおかしかったらセンスで補ってください!!すみません!!
■作り方
牛乳までの材料を混ぜて加熱します。コーンスターチのトロミがついたらチョコとバターを加えて手早く攪拌。トロミが少しゆるまってしまうんですが、どうせ冷やすのであまりに液状でなければ気にせずGO!です。あんまりゆるゆるだったら再加熱。パン生地に吸収されてしまうほどにゆるいと折り込みができないので。でもここで安易に高温で加熱すると分離しますので、気をつけてください。あとはチョコレートシート液をラップやオーブンシートに流して、適当なサイズに伸ばして冷蔵します。←伝わりますかね?(汗。
折り込みについてですが、私は食パン生地の加水によって折り込みの手順を変えています。加水が多い生地の場合はラミネーションの工程をとってそこで三つ折り2回で折り込み、その後の一次発酵中、追加で折り込み2回ほど入れています。これはワンローフリッチチョコのパンのチョコチップ折り込みと同じような折り込みですね。加水が少ない生地の場合は、一次発酵終了後に、デニッシュ生地の折り込みをする時のように折り込みします。3+3+3か3+3+4か3+3+2(折りたたみの回数です)くらいが一般的かな?
成形は、あの時はワンローフで一方行からの巻き込みです。渦巻きっぽい模様になります。もっとくしゃくしゃにするときは3分割ないし6分割して三つ編みします。
↑
なんともわかりにくいですね(汗。
本当に申し訳ありません。
言葉にするのって難しい〜。やっぱり動画がいいですね。いくつかあとの動画の更新では折り込み生地のレシピをご紹介する予定なので(でもチョコじゃないんですが)、そちらもよろしければご参考になさってください。そしてチョコシートのマーブル食パンもきっと動画にしますね!少しお待ちを!!
いつもありがとうございます!!