ミツトパンの元種の作り方をご紹介します。
作りやすい分量
240g分
■元種の作り方
1
Step1.の材料を合わせて、よく撹拌します。
混ぜあげ温度
28℃
発酵膨倍率が確認しやすい容器に移し替え、印をつけて、培養します。
培養
28-30℃ / 1-2時間
2
前種全量とStep2.の材料を合わせて、よく撹拌します。
混ぜあげ温度
28℃
発酵膨倍率が確認しやすい容器に移し替え、印をつけて、培養します。
培養
28-30℃ / 1時間
3
前種全量とStep3.の材料を合わせて、よく撹拌します。
混ぜあげ温度
28℃
発酵膨倍率が確認しやすい容器に移し替え、印をつけて、培養します。
培養
28-30℃ / 3-4時間
4
元種のガスを抜き、落としラップをしたり、ポリシートなどで包んだりして、生地を熟成させます。
熟成
冷蔵庫の温度帯で / 1-3日
5
完成!
仕上がったら3日ほどで使い切っています。ピークはそのくらいですが、少し発酵力が落ちても5日間くらいは使用できる印象です。種継ぎはしません。種継ぎをして長く育てたい場合は、ルヴァンシェフのようにスクリーニングをしていく必要があります。
■元種作りのポイント
元種とは?
元種とは?
食材から起こした自家製酵母を粉と合わせて培養し、より製パンに適したパン酵母として、あるいはまた発酵の香味の添加物として、パン生地に使用するものです。粉の割合+水分の割合のバランスで呼び分けられ、「粉100%:水100%」をTA200、「粉100%:水110%」をTA210というように呼びます。
ミツトパンで使用している元種はTA170です。このTA値、意外とこの先もかなりお世話になる数値なのでしっかりとマスターしておきましょう。
ミツトパンの元種作りの特徴
TA170という一般的なパン生地くらいのかたさであること、短時間でひといきに培養することが大きな特徴です。結果、よく膨らみ、酸味などのクセはかなり抑えられた力強い元種になります。
TA170にこだわる理由は、微生物の働きを抑制した中で、酵母を優先的に鍛えたいからです。また、水種の状態ではなく、生地の状態で元種を管理し、どんなパンにも応用しやすい微生物バランスにしています。
短時間培養を採用する理由は、酵母を徹底的に増やしたいからです。デメリットである生地の香味の物足りなさについては、最終段階で、酸素をできるだけ遮断してパン生地をじっくり長めに(1-3日)熟成させることで、補っていきます。この熟成期間内に元種を使い切っていただくことをおすすめします。
元種の使い方
元種の使い方を、ミツトパンの「少しのイーストとはちみつで作る山食パン」というごく基本的な配合の食パンで確認します。
・強力粉 250g (100%)
・スキムミルク 17g (7%)
・水 175g (70%)
・はちみつ 20g(8%)
・インスタントドライイースト 0.9g
・塩 4.5g (1.8%)
・発酵バター 20g (8%)
外割の具体例
ミツトパンの元種を、一般的なパン生地の粉量100%に対して外割で使用する場合、だいたい10-30%の使用をおすすめします。あまり思い切った量を加えてしまうと、全体の塩分や糖分のバランスが大きく崩れてしまうためです。
最大値の30%の元種を外割で使用すると以下のようになります。
変わるのは一部だけ。トータルの生地量は元種を追加する分、増えますので、副材料の割合が全体的に下がるのが少しネック。なので30%が限界かな、と思っています。家庭製パンは、そのあたりにあまり神経質にならなくてもいいと思いますので、これでも充分に楽しめると思います。おそらくこちらが元種を利用する際の最も一般的な置き換え方法だと思います。
私は塩だけは(必要であれば糖も)レシピ通りに手直しすることが多いです。計算はTA値を使用するとわかりやすいですよ。
過去のレシピでは「マーブルベーグル・サワーチェリー」がこれですね。……というわけで、ちょっとややこしいかもしれませんが、数式と格闘してみてください。
内割の具体例
ミツトパンの元種を内割で使用する場合は、粉の総量に対して、10-40%の粉量分の元種を使用します。ここでは中種法に準ずる計算式を使用していますので、ご注意ください。完成から間もない元種であれば、70%入れることも可能です。ただ本捏ねで加える副材料の量によってはかなりミキシングが難しくなりますので、おすすめは40%まででしょうか。
内割で30%使用する場合の変更点は以下です。
粉量と水分量の計算が必要になります。なかなか内割で計算される方はいないかもしれないですが、知っておくと、どんなレシピも読み解くことができるので、レシピを読むのが楽しくなりますよ!
元種応用のポイント
元種のTA値を知っておくことが大切です。レシピで使用されている元種のTA値がいくつなのかわかれば、その粉量と水分量が明確になります。そこから計算するのは、慣れてしまえば意外と簡単なので、普段からTA値を気にする感覚を身につけておきましょう!
■元種を使用したレシピ
■このページで確認しておきたい製パン用語
自家製酵母とは?
自家培養酵母とも。食材そのものに付着している微生物(酵母や細菌)、あるいは空気中に浮遊している微生物をキャッチして培養し、主に製パンなどに使用するものです。
自家製酵母であっても、主流となる酵母はサッカロマイセスセレビシエに分類されるものがほとんどなので、市販の酵母(イースト)とさほど変わりません。ただ、自家製酵母の場合は、酵母と共存している細菌類が豊かであったり、酵母そのものが培養をくり返されることで種内変異などにより少し性質が変わっていたりするようで、その分、作り手や環境による個性が強く表現され、より個性的で複雑な風味をパンに添加することができます。これが自家製酵母が支持される主な理由です。
元種とは?
食材から起こした自家製酵母を粉と合わせて培養し、より製パンに適したパン酵母として、あるいはまた発酵の香味の添加物として、パン生地に使用するもの。
粉の割合+水分の割合のバランスで呼び分けられ、「粉100%:水100%」をTA200、「粉100%:水110%」をTA210というように呼びます。
外割とは?
パン作りにおいて、内割、外割は、粉の最終総量を100%とするか、しないかで区別される。外割は、ある規定のレシピにおける粉量100%に対して、別個で材料(主に粉を含む)を追加するもの。結果、製パンの一貫において加える全ての粉の総量は、規定のレシピの100%を超える。
内割とは?
パン作りにおいて、内割、外割は、粉の最終総量を100%とするか、しないかで区別される。内割は、製パンの一貫において加える全ての粉を総合して100%とするもの。