●工程写真は後日追加します(2020.11.27)。
オーバーナイト法で焼こう!
はちみつとライ麦たっぷり、ココロもカラダも喜ぶライ麦パンをご紹介します。……と言っても混ぜて寝かせて焼くだけなのでとても簡単です。外はカリッと、中はもちっと。ライ麦はもともと保水性が高いのですが、はちみつのおかげでよりしっとり食べやすいクラムに仕上がります。そしてほんのりと甘いです。優しい甘さですごく美味しいです!
「パン・オ・セーグル」と呼ぶのかな。
セーグルとは?
ライ麦を配合したパンをフランスではセーグルと呼びます。ライ麦粉の配合率によって「パン・オ・セーグル」「パン・ド・メテイユ」「パン・ド・セーグル」の3つで呼び分けるようです。ライ麦粉の配合率10〜65%未満(40%という場合もあります)を「パン・オ・セーグル」、65%〜(60%という場合もあります)のものを「パン・ド・セーグル」、その中でもライ麦粉と小麦粉の配合割合が半々のものを「パン・ド・メテイユ」と呼ぶのだそうです。
今回は40%以下なので「パン・オ・セーグル」ですね。私はこれ以上の配合でライ麦パンを作ったことがないので、ここから少しずつライ麦パンの幅を広げていきたいです。
発酵は基本的な冷蔵発酵を含むオーバーナイト発酵(低温長時間発酵)の工程と同じです。もちろん夜間の室温が低い冬場は、そのまま室温ほったらかしでも作れます。ご自身の酵母の活性度ともご相談のうえ、工夫してみてください。
今回の成形はなかなか男前に焼けるのでおすすめ。見た目がすごくかっこ良く仕上がります。綴じ目クープはコム・シノワさんの書籍を参考にしています。気になる方は読んでみてください。
参考
西川功晃著(2006)『バラエティーパンの教科書』株式会社旭屋出版
強力粉→キタノカオリ
ライ麦全粒粉→北海道産ライ麦全粒粉
元種→水分量50%のルヴァンの元種
インスタントドライイーストとルヴァンリキッドでも作ることができます。そちらもお試しください。
木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。
■YouTube
■ライ麦パン40%の分量
—-4個分
・強力粉 120g(60%)
・ライ麦全粒粉 80g(40%)
・元種 60g(30%)
・はちみつ 24g(12%)
・水 144g(72%)
・塩 4g(2%)
・オリーブオイル
焼成
予熱250℃
焼成250℃で5分スチーム有り、230℃15〜20分
元種は水分量50%のルヴァンを使用しています。
焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。
ご参考までに、水分量70%のルヴァンシェフの作り方もご紹介しておきますね。
インスタントドライイーストとルヴァンリキッドで作る場合
・強力粉 120g(60%)
・ライ麦全粒粉 80g(40%)
・元種 60g(30%)ルヴァンリキッド 40g(20%)
・インスタントドライイースト 0.5g(–)
・はちみつ 24g(12%)
・水 144g(72%)130g(65%)
・塩 4g(2%)
・オリーブオイル
インスタントドライイーストはサフ赤です。
ルヴァンリキッドの起こし方はこちらを参考になさってください。
■はちみつのライ麦パン40%の作り方
フロー
パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。
計量・下準備(5分)
↓
材料混合+ミキシング(3分)
↓
レスト(30分)
↓
折りたたみ①(1分)
↓
レスト(30分)
↓
折りたたみ②(1分)
↓
予備発酵
↓
オーバーナイト発酵
↓
分割+プレシェイプ(1分)
↓
ベンチタイム(10〜15分)
↓
オリーブオイル・成形(1分)
↓
最終発酵(40分)
↓
焼成(20分)
ライ麦パンの生地管理
こねあげ温度
21〜23℃
予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
23〜25℃、湿度70%以上、2〜3時間
最終発酵(二次発酵/ホイロ)
23〜25℃、湿度70%以上、約40分
あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めて進めてください。
下準備
酵母混合液の準備をします
水、はちみつ、元種を合わせてよく混ぜます。
元種はルヴァンシェフの水分量50%のもの(1:0.5)を、外割で計算して使用しています。この場合、粉の量は40g、水の量は20gです。
粉類の準備をします
強力粉とライ麦全粒粉と塩を合わせてよく混ぜます。
1
酵母の混合液に粉類を加えて混合します。粉や塩の溶け残りがないように1〜2分ほどこねます。こねあがったら生地を30分ほど休ませます。
2
生地を折りたたみます。生地の一端を持って引き伸ばし、対角に折りたたみます。そのままボウルを2〜3周します。
初めの折りたたみはまだ生地がもろもろしています。ライ麦の配合割合が高いのでそれほど綺麗に伸びる生地ではありません。何度か引き伸ばしと折りたたみをくりかえし、生地がプリッとして伸びなくなるまで行います。
生地を軽くまとめて30分ほど休ませます。
3
生地を折りたたみます。生地の一端を持って引き伸ばし、対角に折りたたみます。そのままボウルを約1周します。
2回目の折りたたみは少し生地の伸びがよくなります。何度か引き伸ばしと折りたたみをくりかえし、生地がプリッとして伸びなくなるまで行います。気泡をたくさん入れられるような生地にはならないので、グルテンの繋がりはそれほど気にしなくても大丈夫です。もっちりどしっとした食感と穀物の風味を楽しむパンなので、あまり捏ねすぎて香りを飛ばさないように気をつけます。
こねあげ温度
21〜23℃
4
生地がおおよそ1.8倍になるまで予備発酵させます。
温度23〜25℃/湿度70%以上
2〜3時間
予備発酵(一次発酵)
オーバーナイト発酵の前に、酵母を活性化させてあげるイメージです。冷蔵庫に入れる前に、しっかりと生地を育てておきます。
5
生地を平たい容器に広げてラップを密着させて、冷蔵庫に入れてオーバーナイト発酵させます。
あるいは、生地がおおよそ2倍になるまで室温で発酵させて作ることもできます。こねあがったら室温でゆっくりじっくり発酵をとってください。その場合は冷蔵庫より早く発酵が進みますので、生地が2倍になるタイミングで発酵を切り上げてください。目安をのせておきます。
温度17〜20℃/湿度70%以上
6時間〜
オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。
野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。
発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探してみてください。ご自身の生活リズムに合った方法を探っていくことができるのがオーバーナイト発酵の最大のメリットです。
6
生地を復温させます。生地温度が戻り、サイズもおよそ2倍になるまで室温で様子をみます。
室温で発酵をとった場合は、復温は特に必要ありません。慣れていらっしゃる方は、生地をこね台に出して復温させてあげてください。この場合は乾燥に気をつけてください。復温生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。
生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍を超えて膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。このとき特に加水が低い生地の場合は生地が傷んで切れやすいので、発酵の具合と生地のゆるみ具合のバランスをとりながら次の作業を行ってください。
7
生地を4分割します。丸め直し(プレシェイプ)をして、10〜15分ほどベンチタイムをとります。
今回の生地は綴じ目を上にして管理します。ここがいつもと違うところです。ベンチタイムが短いのは、綴じ目を上にして生地玉を管理するからです。普段よりも生地の緩みが早いので、見極めに気をつけます。緩んだら成形に入ります。
8
成形します。生地の表面(綴じ目部分)にごく薄くオリーブオイルを塗ります。その部分を覆って包むようにして側面の生地をトップによせて軽く閉じます。綴じ目を下にしてパンマットに置きます。
9
最終発酵させます。最終発酵は綴じ目は下です。
温度23〜25℃/湿度70%以上
目安40分
10
焼成します。綴じ目を上にしてオーブンに入れます。
焼成
予熱250℃
焼成250℃で5分スチーム有り、230℃15〜20分
はちみつの配合割合が高いので焦げやすいですが、エッジの部分に焦げ目がしっかりつくくらいが格好いいですし、ガリガリして美味しいのでおすすめです。
11
完成!