多加水生地で焼くもちっとしたフォカッチャを作ります。ちょっと時間はかかるけど捏ねないので楽ちんです。
#高加水フォカッチャ
#型焼きフォカッチャ
#フォカッチャ
イタリア語で「火で焼いたもの」という意味の食事パン。焼成前に生地全体に無数の穴をあけることで膨らみを抑え、香ばしく、歯切れよく、また全体を平均的な厚さに整えて焼き上げます。
生地にオリーブオイルが入っており、フレッシュな香りと風味があります。肉や野菜と相性が良いので サンドイッチにして食べることが多いです。また、食事の付け合せとして塩を入れたオリーブオイルをつけて食べることも。
こちらの生地でこんなパンも焼けますよ!
YouTube
久しぶりに確認したらしどろもどろ、暗い声で話しておりとても恥ずかしい思いをしている晴です。こんな状態で27分の動画なんてよく作ったなと思います。みなさん倍速で見てくださいね。
こちらを訂正させてください。
・気泡、気泡と言っていますが、空気です!
「生地のミキシングで入れた気泡が焼成後の気泡になるんですか?」というご質問をよくいただきます。いいえ、なりません。わたしが言葉選びを間違って気泡と言っているだけで、これは空気のことです。厳密には気泡でも間違いじゃないですが……つまりミキシングで生地を空気にさらしたり、生地に空気を取りこんだりすることがグルテン形成の面でも一次発酵中の酵母のガス生成の働きの面でも重要なんだよってことです。これはミキシングの三つの目的のひとつで、教科書なんかにも書いてある基礎知識です。確かに焼成後のスダチに影響のあることですが、ポコポコクラムとは関係ありません。紛らわしくてすみません。
材料
21枚取りのバット1枚分
21枚取りのバット1枚分 | 粉量200g
✦ 生地
✦ 具材
ガーリックオイル | |
岩塩 | |
黒胡椒 |
✤
材料の置き換えは自己責任でお願いします。
✤
イタリアカプート社から販売されている強力粉。タンパク質14.5%、灰分0.6%。ハリやコシが出やすい製パン性の高い粉である一方で、吸水はそれほど良くはないです。仕上がった製品は粉の旨みがしっかり出るので生地を味わうレシピによく使用されます。
✤
ルサッフル社が販売している低糖配合用のイースト。粉に対して糖分0-15%くらいの生地に使用すると良いと言われます。
✤
ルヴァンリキッドは最近はTA200で管理しています。ただこちらはオプションです。なければ省いてね。添加量も少量なので水分調整など特に必要はありません。
✦ ルヴァンリキッドの作り方はこちらをチェック
ベイカーズパーセント
✦ 生地
マニトバオーロ | 100% |
水 | 79% |
ルヴァンリキッドTA200 | 12% |
サフ赤 | 0.1% |
塩 | 1.8% |
オリーブオイル | 4% |
✦ 具材
ガーリックオイル | |
岩塩 | |
黒胡椒 |
作り方
フローを確認する
工程が2日に分かれているので、まずはどのような流れで作るのかを確認しましょう。
✦ 1日目
1
マニトバオーロ、水を合わせてよく混ぜる
混ざったらオートリーズをとる
10℃-25℃ / 30-60分
10-15分寝かせることで生地がある程度勝手に繋がってくれます。酵素の分解も進むので生地がとろんと伸びるようになります。今回はオートリーズを長めにとっています。
温度は基本的には5℃以上であればいいと思いますが、ここではもう少し活性を求めたいので10℃以上を提案します。25℃以下と言っているんですが……生地が緩みすぎるようであれば23℃以下をキープした方がいいかもしれません。
何度か作って調整してください。
空気を遮断するかしないかもお好みで。わたしも最近はいい加減になってきました……。
オートリーズ30分後の生地
オートリーズ60分後の生地
あまりわからないかも……しれませんが、お好みで加減してください。
2
ルヴァンリキッド、インスタントドライイーストを加えて混ぜる
今回はインスタントドライイーストがサフ赤です。こちらは15℃以上の水分に溶かすことが推奨されているので、ルヴァンリキッドは室温に置いて温度を15℃付近に戻してから使用しています。
混ざったら塩を加えて混ぜる
塩が混ざったら3分ほど手混ぜする
ボウルの底に手を入れて生地を引き伸ばして戻す……このくり返しです。
生地を10分ほど休ませる
25℃以下 / 10分
生地が緩みすぎるようであれば23℃以下をキープしてください。必要であれば冷蔵庫を使ってね。
3
オリーブオイルを加える
オリーブオイルを回しかけたら、生地の端を持ち上げて薄く引き伸ばして中心に折りこんでいきます。何周かするうちに生地にオリーブオイルが馴染んでいきます。
生地を15-20分休ませる
25℃以下 / 15-20分
生地が緩みすぎるようであれば23℃以下をキープしてください。必要であれば冷蔵庫を使ってね。
4
パンチを入れる
折りたたみと引き伸ばしを縦横それぞれ1回ずつ行います。
生地を15-20分休ませる
25℃以下 / 15-20分
生地が緩みすぎるようであれば23℃以下をキープしてください。必要であれば冷蔵庫を使ってね。
5
パンチを入れる
折りたたみと引き伸ばしを縦横それぞれ1回ずつ行います。
6
予備発酵をとる
冷蔵発酵の前に生地を育てておきます。酵母量がかなり低いのでこである程度、発酵させておかないと冷蔵中に生地が持ち上がってくれません。しっかり酵母を働かせてあげましょう。
保形性のないたゆたゆした生地は丸めて発酵が取れません。なので生地の重さが全体に均一にかかるような容器を選らんであげます。
具体的には、生地を容器に平たく入れたときに生地の厚さが2-3cmになるもので、側面が垂直に立ち上がっているものです。
もうひとつ、熱伝導率のいい容器をおすすめします。発酵ムラを防ぐためです。ゆるゆる時間をかけて冷やせばその分、内と外の発酵ムラが大きくなります。急冷できる容器を選んでね。
予備発酵後の生地です。
7
冷蔵発酵をとる
空気を遮断して生地を冷蔵庫で休ませます。
基本的には冷蔵時間は自由ですが、ある程度の長さを確保しないと低温長時間発酵の恩恵を受けられないです。いつもご案内している時間をご紹介します。だいたいパターンはこの4つ。
・最短は8時間
・無難でとり入れやすいのは12-18時間
・理想的なのは18-24時間
・こだわりがあるなら24時間以上も(長熟だとチルド室使ったりします)
わたしはだいたい18時間は寝かせます。
今回も18時間で2倍になることを確認していますが、もし冷蔵発酵が思う通りに進まなかった場合は、復温をとって生地が2倍になるまで育ててね。
✦ 2日目
8
軽く成形して型に入れる
発酵後は2倍になっています。2倍になっていれば特に復温は必要ないです。
1回だけ折りたたみをして型に入れていきます。
1. 発酵した生地にオリーブオイルを散らす
2. 容器を裏返して、捏ね台に生地を出す
3. 上下、左右どちらでもいいので1辺だけ3つ折りする
4. 表裏を返して角バットに入れる
詳しくは動画を観てください
9
最終発酵をとる
生地が窯入れに最適の状態で焼成に入れるよう、オーブンを予熱しておきます。
このとき、天板を一緒に温めておいてね。焼成ではこの熱々の天板の上に角バットをのせて焼いていきます。
温度25-28℃ / 湿度85% / 生地が緩むまで
目安は30-40分くらい。
さっきの折りたたみで弾性がついた生地をしっかり緩めてから焼成したいのです。
最終発酵の時間は生地の様子に合わせて加減します。
・生地の透明度(今回は目視しにくいです)
・生地の膨らみ
・生地の緩み
・気泡の入り方……
教わる先生によって確認のポイントは変わってくると思いますが、一番大切なのは窯に入ったときに生地がストレスなく縦に伸びる準備ができていることです(生地によっても多少違いますけれど)。なので発酵後の生地の取扱いによって、最終発酵の時間も変わります。
型入れ時に生地に強くストレスを与えた場合、三つ折りの重なりが深かった場合
→発酵時間は長くなります
型入れ時の生地ストレスを最小限にとどめた場合、三つ折りの重なりが浅かった場合
→発酵時間は短くなります
発酵後の生地の取扱いの全ての工程が複雑に絡んでパンの仕上がりに影響するので、ご自身の大切にしたいことを明確にして、ひとつひとつ加減しながら仕上がりの確認をすると良いと思います。
発酵後の生地はデリケートです。ここで発酵容器やポリシートに油脂を塗っておくことの効果が発揮されます。
ベテランさんは生地の取扱いや生地の損傷修復の見極めなどが上手なので、特に必要ではありません。初心者さんはここで助けられますので、抵抗がなければ、油脂を塗っておいてくださいね。
ここでグルテンを必要以上に引っ張って一部分だけ鍛えてしまったり、損傷させてしまった場合、生地の締まりや緩み、整い方にムラが出ます。生地の一部は充分に整っているのに、一部は弾性が抜けきらない……というような状況が出てくるわけです。
もちろん生地は自分自身である程度は均一化する特徴があるので、そのムラがそのままの差で焼成工程まで持ち越されることはありません。……が、丸めも成形も優しくすることが求められ、最終発酵も短いバゲットのような生地の場合は大問題です。慣れるまでは、油脂でコートすることをおすすめします。
発酵後の生地です。
10
仕上げをする
ガーリックオイルをふりかけて、生地全体に穴をあけます。岩塩、ブラックペッパーを散らします。
せっかく膨らんだ生地に穴をあけるなんて抵抗がありますよね。
フォカッチャのをどのようなフォルムに、どのような食感に焼き上げたいかによって、仕上げの穴あけの加減が変わってきます。
中心をふっくらと立ち上げたい
→全体に満遍なく軽く穴を開ける
平べったく、満遍なく気泡が入るように焼きたい
→中心から外周に向かって穴をあけ、特に中心を念入りに穴あけする
発酵後の生地の取扱いの全ての工程が複雑に絡んでパンの仕上がりに影響するので、ご自身の大切にしたいことを明確にして、ひとつひとつ加減しながら仕上がりの確認をすると良いと思います。
11
焼成する
下火で天板からの熱伝導で素早く火を通していくので、熱自体は手早く通ります。長さで10-13分くらい。
もっと水が飛んでいる仕上がりがお好みでしたら15-20分焼いていただけますが、この場合は温度を下げてください。最高温度ではなく210-230℃くらいで焼きましょう。
最高温度(300℃) / 10-13分
熱々に予熱した天板に熱伝導率の高い琺瑯バットを直接置いて焼きます。下火で気泡を縦に立ち上げることで、高温短時間焼成でも火通り良く、軽く焼き上げます。
ご参考までにミツトパンのオーブンの実測値をお伝えしておきますね。
予熱完了時
庫内手前230℃ / 奥250℃
10分間空焚き後
庫内手前250℃ / 奥250−270℃
私はここで窯入れしています。
12
完成!
ノート
✤ 酒種の配合例
・マニトバオーロ 100%
・水 72%
・酒種 12%
・インスタントドライイースト 0.1%
・塩 1.8%
・オリーブオイル 4%
こんな感じです。酒種の直焼きフォカッチャの動画を別で出していますのでそちらをご覧ください。
✤ イーストだけの配合例
・マニトバオーロ 100%
・水 79-80%
・インスタントドライイースト 0.1%
・塩 1.8%
・オリーブオイル 4%
ルヴァンリキッドは元々オプションなので、ただ引き算するだけで大丈夫です。給水は80%くらいで調整してください。
✤ フォカッチャ
本場ではデュラムセモリナ粉を配合したレシピもあるようです。日本では丸く小さく成形するフォカッチャも多いですが、イタリアでは大きなスクエア型に焼き上げ、切り分けて食べたりするのだそう。
オリーブやローズマリー、ドライトマトなどをトッピングする食事系レシピが主流ですよね。でも砂糖やバターを散らして焼いた「フォカッチャ・ドルチェ」と呼ばれるものもあるみたい。面白いですね。それならばオイルは溶かしバターに変換して、バターの香りたっぷりで作ってみたらおいしそうじゃないですか?
いつかやってみたいですね!
✤ フォカッチャに穴をあける?
穴を開けないフォカッチャもあるようです。火通りを良くするためと言う方もいらっしゃいますが、いちばんは「膨らませたくないからなのかなあ」と思いながらいつも焼いています。
食事のはじめ、まず表面をはがしながら食べて、内側のモチモチした部分はメインのお料理と共に食べるのがイタリア流だそうです。だから表に具をのせて飾るんですね。なるほど。こちらの情報は又聞きなので、知識として使用される場合はご自身でもお調べください。
もちろん具をたっぷりはさんでサンドイッチにして食べるのもよくみかけますね。今回はクリームチーズ、ルッコラ、生ハム、ブラックペッパーでサンドイッチにしました。とーってもおいしかったです!
Q&A
Q.
晴がお答えします
Q.
晴がお答えします