オーバーナイト法で作る昔ながらのクリームパンのを作ります。伝統的な菓子パンの配合と製パンの基礎を確認しましょう!
#クリームパン
#昔ながらのクリームパン
#菓子パン生地
日本生まれの菓子パンです。パン生地は甘くてやわらか、カスタードをつめて焼くので独特のしっとり感があります。家庭で再現するとパサついたり生地がごわっとしたりしがちで、よくある菓子パン生地では物足りない仕上がりになることが多いです。
こちらでは配合もしっかりパン屋さんによせて、伝統的なクリームパンを作りますよ。
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材料
5個分
5個つくる
クリームパンの生地
カスタードクリーム
卵黄 | 2個 |
グラニュー糖 | 40g |
牛乳 | 240g |
バニラポッド | 1/2本 |
米粉 | 20g |
バター | 10g |
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動画では倍量で仕込んでいます。
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材料の置き換えは自己責任でお願いします。
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マニトバはタンパク質14.5%, 灰分0.6%の強力粉です。ハリやコシが出やすい製パン性の高い粉である一方で吸水はそれほど良くはありません。ただ粉の旨みもしっかり感じられる粉ので汎用性が高いです。
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ポラリスはタンパク値5.8%、灰分0.35%の薄力粉です。抜けるような白さの粉で驚きの低タンパク値です。わたしはこちらがお気に入り、何にでも入れちゃいます。使い勝手が良くて大好きな薄力粉です。
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リロンデルはセミドライタイプの市販酵母です。低温長時間発酵に特化した酵母。
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ルヴァンリキッドは最近はTA200で管理しています。
ベイカーズパーセント
マニトバ | 80% |
ポラリス | 16% |
スキムミルク | 8% |
グラニュー糖 | 22% |
水 | 46% |
たまご | 10% |
リロンデル | 1-1.4% |
ルヴァンリキッドTA200 | 8% |
塩 | 1% |
バター | 12% |
4個つくる | 粉量80g
マニトバ | 64g |
ポラリス | 16g |
スキムミルク | 6.4g |
グラニュー糖 | 17.6g |
水 | 36.8g |
たまご | 8g |
リロンデル | 0.8-1.1g |
ルヴァンリキッドTA200 | 6.4g |
塩 | 0.8g |
バター | 9.6g |
焼成は温度・時間ともに5個ずつ焼くときとさほど変えなくて大丈夫。色づきが甘いなど気になるようなら気持ち温度を持ち上げてあげると良いです。
6個つくる | 粉量120g
マニトバ | 96g |
ポラリス | 24g |
スキムミルク | 9.6g |
グラニュー糖 | 26.4g |
水 | 55.2g |
たまご | 12g |
リロンデル | 1.2-1.7g |
ルヴァンリキッドTA200 | 9.6g |
塩 | 1.2g |
バター | 14.4g |
焼成は温度・時間ともに5個ずつ焼くときとさほど変えなくて大丈夫。色づきが甘いなど気になるようなら気持ち温度を持ち上げてあげると良いです。
菓子パン生地は昨今の健康志向で少し肩身が狭いジャンルになってしまっています。でも伝統に倣って糖もバターもしっかり使っていきたいです。海外のディナーロールとは違う配合で、よりやわらかくしっとり甘く……と何も惜しまずに配合して組み立てていくと懐かしい香りと食感の元祖クリームパンの風味に近づきます。
副材料も酵母も多いので、一見するとグルテンがつながったように感じるポイントが多いのですが、しつこく捏ねて、ほんとうにちゃんと薄膜を作ってあげてください。そうでないとびっくりするくらいに食感もボリュームも変わってしまいます。
捏ね機をお持ちの場合はぜひ捏ね機で。私も普段はスタンドミキサーを使います。多量酵母のオーバーナイト法なので、生地温度の上がりすぎに気をつけてね。
作り方
フローを確認する
クリームパンは工程が2日に分かれているので、まずはどのような流れで作るのかを確認しましょう。
✦ カスタードを作る
1
卵黄、グラニュー糖を合わせてよく混ぜ、卵黄が空気を含んで白っぽくなったら米粉を加えてなめらかになるまで混ぜる
2
牛乳、バター、バニラの鞘半分(種はこそぎ落として、鞘と種を一緒に加える)を合わせて小鍋で加熱する
沸騰する手前まで温めたら(1)のボウルにゆっくりと、3-4回に分けて加え、混ぜる
3
(2)の液をストレーナーで濾しながら鍋に戻し入れて火にかけ、生地がふつふつとして全体的にもったりと艶のある状態になったら火を止める
バットに移して密着ラップをし、上から保冷剤を当てて冷蔵庫などで急冷する
✦ 生地を作る
1
水、たまご、ルヴァンリキッドTA200、リロンデルを合わせてよく溶かす
一応ルサッフル社のイーストなので、液温は低くても15℃以上に。環境温度が高すぎる場合はワークボウルや捏ね台を冷やしながら作業してね。
2
マニトバ、ポラリス、スキムミルク、グラニュー糖、塩を合わせてよく混ぜる
ここでスキムミルクを粉類の中にしっかり馴染ませておくこと。家庭で仕込むくらいの量であればスキムミルクがダマになって残ることはまずないけれど、気になる場合はお湯に溶かして冷ましてから使います。
3
液体類(1)に粉類(2)をふりいれて切り混ぜる
全体に水分がまわったら、生地を捏ね台に出してひきつづき切り混ぜる
粉っぽくなくなったら、本格的に捏ねはじめる
生地を引き伸ばして折りたたむ、目安として時間は5分間ほど、回数は300回ほど行うと良い生地感になってきます。
今回のミキシングははじめからある程度の力をかけてしっかりと引き伸ばしと折りたたみをくり返します。手を1往復動かすごとに1回として、だいたい300回くらいしっかり捏ねてください。
たまご入りの生地なので、粘り気があり、手にも捏ね台にもくっつきます。5分ほど捏ねると、少しまとまってきます。
生地温度が上がりやすいので、ちょっと注意です。
4
生地を10分、休ませる
生地は乾燥させないように容器に入れてラップや蓋をしてください。生地温度の上がりすぎが心配なので冷蔵庫を活用してもOKです◎。
少し休んで、この後ふたたびミキシングしますよ。
5
引きつづきミキシングする
生地を引き伸ばして折りたたむ、目安として時間は5分間ほど、回数は300回ほど行うと良い生地感になってきます。
バターを入れる前なので生地はまだ少しかため。でもグルテンチェックをした膜にはムラがなく、指紋が透ける程度には薄く伸びます。そのくらいまでしっかり捏ねましょう。
生地温度が高すぎると、酵母が活性化しすぎます。そうなると捏ねが甘い状態でもなんとなくグルテンがつながったような状態に見えてきます。注意です。
生地温度は25℃を超えないようにしてください。
6
バターを加える
手早く生地に吸収させたら、仕上げに少し空気にあてながらリズミカルに叩いて捏ね上げます。
冷たいバターを捏ね台で練ってから加えます。バターの可塑性は溶けると失われ、生地の中で液体油脂と同じ効果しか発揮できなくなってしまうので、決して溶かさないことが大事です。
ここで、冷たいバターによって生地が少し冷やされます。これもひとつの狙いです。
叩きごねは力を加えるのではなくリズムよく軽やかに行います。生地に空気をあてて冷やしたり、リズムよく空気をとりこんでそれを散らしたりしてグルテンを満遍なく酸化させるなどして生地を仕上げるのが狙いです。
やりすぎると乾燥してくるので気をつけてね。
捏ね上がりはムラのない綺麗な生地になります。
8
冷蔵発酵をとる
2-8℃ / 8-24時間
目安は復温も含めて生地が2.5倍くらいになればOKです
基本的には冷蔵時間は自由ですが、ある程度の長さを確保しないと低温長時間発酵の恩恵を受けられないです。いつもご案内している時間をご紹介します。だいたいパターンはこの4つ。
・最短は8時間
・無難でとり入れやすいのは12-18時間
・理想的なのは18-24時間
・こだわりがあるなら24時間以上も(長熟だとチルド室使ったりします)
でも副材料も入りますしクリームもつめるのでそこまでこだわらなくても十分かと思います。
翌日の発酵具合を見て復温をとり、生地をコントロールする
20-25℃ / 2.5倍くらい
生地温度が10-15℃以上だと作業性がよくなりおすすめ。冷蔵発酵中にすでに2.5倍に達しているようであれば省いてもいい工程です。
生地の表層に水泡ができる現象があります。梨肌、フィッシュアイ、冷蔵障害、冷凍障害……いずれもネガティブワードとして使用されますが、一部ではブリスターと言われて好まれる傾向もあるおもしろ現象です。
冷蔵でオーバーナイト発酵させている以上、こちらのクリームパンでもこのブリスターが出る場合があります。酵母が少なく、復温時に急激に温度を上げて生地の中でスポットスポットで水分量のムラが出たりして、生地にごくごく小さな単位で発酵ムラが出る場合などに見られるような気がします。
しっかり酵母を入れてあげること、復温を急がないことなどに注意すれば簡単に防げますので、復温時に高温環境に置かないことなどに気をつけてみてください。
今回のクリームパンではほぼほぼ出ないと思います。
9
分割する
予備成形をする
ベンチタイムをとる
5分割、ひとつ40g。20分くらい休ませます。
10
成形する
40gの生地に40gのカスタードを包んでいきますよ。
生地をたまご型に伸ばして……
クリームをのせて……
半分におる。
クリームパンの成形は上生地はただふわっと被せるだけ。綴じたりつまんだりしません。焼成時に生地が端まで綺麗に立ち上がることができなくなってしまうからです。
ポイントは、裏返したときに、少しだけ上生地が下生地より広くはみ出ること。
ここだけおさえておくと、仕上がりが美しくなりますよ!
11
最終発酵をとる
35℃ / 湿度80% / 45-60分
発酵前と発酵後、生地を見比べてみてください。全体がふっくら2倍くらいになって、フォルムが溶けるようにとろっとして、綴じ目は生地の重さで見えなくなっているはずです。
もうひとつ、蔑ろにされがちですが生地温度がしっかりあがっていることも重要です。生地温度が低いと窯の中で綺麗に立ち上がってくれません。発酵熱でパンの表層がちゃんと乾いていることを確認してね。
↑発酵前
↑発酵後
12
ぬりたまごをしてカットを入れる
焼成する
210℃ / 10分くらい
全体に綺麗な焼き色がついてふっくら立ち上がっていればOK。調整する場合は時間はそのままで温度を上げ下げします。
何度か焼いてみてオーブンと仲良くなってください。
13
完成!
ノート
✤ ノート