昔ながらのクリームパン | オーバーナイト法

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 クリームパン🐈の作り方

 配合

10個分

▶︎生地

強力粉マニトバ(80%) 160g
薄力粉ポラリス(16%) 32g
スキムミルク(8%) 16g
グラニュー糖(22%) 44g
水(46%) 92g
たまご(10%) 20g
ルヴァンTA200(8%) 16g
インスタントドライイーストリロンデル(1-1.4%)2-2.8g
塩(1%) 2g
バター(12%) 24g

▶︎米粉のカスタード

卵黄 2個
牛乳 240ml
グラニュー糖 40g
米粉 20g
バター 10g
バニラ 鞘半分くらい

ポイント

菓子パン生地は、昨今の健康志向で少し肩身が狭いジャンルになってしまっていますが、伝統に倣って、糖もバターもしっかり使っていきたいです。海外のディナーロールとは違う配合で、個人的にはよりふわふわ、しっとり、より甘め、でいきたくてこんな配合にしました

副材料も酵母も多いので、一見するとグルテンがつながったように感じるポイントが多いのですが、しつこく捏ねて、ほんとうにちゃんとグルテンを繋げてあげてください。そうでないとびっくりするくらいに食感もボリュームも変わってしまいます。捏ね機をお持ちの場合はぜひ捏ね機で。私も普段はスタンドミキサーを使います。多量酵母のオーバーナイト法なので、生地温度の上がりすぎに気をつけてね。

マニトバは高タンパク高灰分の外麦です。ただ今回は副材料もたっぷり入りますし、小麦の香りというよりは、甘味と副材料の旨みを楽しむための生地なので、あまり神経質にならずに、何にでも置き換えてみてください。水分量だけ調整してね

ポラリスについても考え方は同様です。ドルチェなど、お手持ちの粉を使用してください。

リロンデルは低温発酵に適した市販酵母です。インスタントドライイーストと同量でおきかえ可能ですが、厳密には少し違って、セミドライイーストのくくりに入ります。サフ金やサフ赤におきかえる場合、少し発酵速度が変わる可能性がありますので、ご自身で調整してください

 🐈フロー

■米粉のカスタードを作る

■生地を作る

捏ねあげ温度
23-25℃

フロアタイム
25℃ / 20分

冷蔵発酵
2-8℃ / 6-24時間

復温
18℃ / 90-120分

分割
10分割 / ひとつ40g

最終発酵
35℃ / 80%くらい / 45-60分くらい

■焼成

予熱 230℃
焼成 210℃ / 10分くらい

ポイント

フローは目安です。生地の状態を見極めながら、各工程を調整してください。焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。

家庭用オーブンの場合、焼成は二段焼きではなく、5個づつ、2ターンでの焼成を推奨します。

 米粉のカスタードを作る

1

卵黄、グラニュー糖を合わせて、よく混ぜる。卵黄が空気を含んで白っぽくなったら、米粉を加えてなめらかになるまで混ぜる。

2

牛乳、バター、バニラの鞘半分(種はこそぎ落として、鞘と種を一緒に加える)を合わせて小鍋で加熱する。沸騰する手前まで温めたら、1のボウルにゆっくりと、3-4回に分けて加え、混ぜる。

3

2の液をストレーナーで濾しながら鍋に戻し入れて、火にかける。生地がふつふつとして、全体的にもったりと艶のある状態になったら火を止める。バットに移して密着ラップをし、上から保冷剤を当てて、冷蔵庫などで急冷する。

クリームパンひとつに40gづつ使用する。

 生地を作る

1

水、たまご、ルヴァンTA200、リロンデルを合わせてよく溶かす。

2

マニトバ、ポラリス、スキムミルク、グラニュー糖、塩を合わせてよく混ぜる。

3

液体類(1)に粉類(2)をふりいれて、切り混ぜる。全体に水分がまわったら、生地を捏ね台に出して、ひきつづき切り混ぜる。粉っぽくなくなったら、本格的に捏ねはじめる。

4

生地を引き伸ばして、戻して折りたたむ。目安として、時間は5分間ほど。回数は、引き伸ばし1回として300回ほど行う。

ミキシングについて

今回のミキシングははじめからある程度の力をかけてしっかりと引き伸ばしと折りたたみをくり返します。手を1往復、動かすごとに1回として、だいたい300回くらいしっかり捏ねてください。たまご入りの生地なので、粘り気があり、手にも捏ね台にもくっつきます。5分ほど捏ねると、少しまとまってきます。

生地温度が上がりやすいので、ちょっと注意です。

5

生地を10分間、休ませる。

レスト
25℃ / 10分

6

生地を引き伸ばして、戻して折りたたむ。目安として、時間は5分間ほど。回数は、引き伸ばし1回として300回ほど行う。

ミキシングについて

バターを入れる前なので、まだ生地は少しかため。でもグルテンチェックをした膜にはムラがなく、指紋が透ける程度には薄く伸びます。そのくらいまでしっかり捏ねましょう。

生地温度が高すぎると、酵母が活性化しすぎます。そうなると、捏ねが甘い状態でも、なんとなくグルテンがつながったような状態に見えてきます。注意です。生地温度は25℃を超えないようにしてください。

7

バターを加える。手早く生地に吸収させたら、仕上げに少し空気にあてながら、リズミカルに叩いて捏ね上げる。

バターの入れ方とミキシングのこつ

冷たいバターを、捏ね台で練ってから加えます。バターの可塑性は溶けると失われ、生地の中で液体油脂と同じ効果しか発揮できなくなってしまうので、決して溶かさないことが大事です。ここで、冷たいバターによって生地が少し冷やされます。これもひとつの狙いです。

叩きごねは力を加えるのではなく、リズムよく、軽やかに行います。生地に空気をあてて冷やしたり、リズムよく空気をとりこんでそれを散らしたりして、生地を仕上げるのが狙いです。やりすぎると乾燥してくるので気をつけてね。

捏ねあげ温度
23-25℃

8

2分割して、フロアタイムをとる。

フロアタイム
25℃ / 20分

9

冷蔵発酵でオーバーナイトさせる。

冷蔵庫
2-8℃ / 6-24時間

冷蔵発酵 / オーバーナイト発酵 について

今回は200gに生地を分けることもポイントになります。小さい生地量の方が、生地の中心まで手早く冷えやすいからです。大きな生地で冷蔵する場合は、発酵が進みやすいので注意してね。

基本的には、冷蔵時間は自由です。ただある程度の時間を確保しないと、低温長時間発酵の恩恵を受けられないと思います。クリームパンに限らず、私がいつもご案内している時間をご紹介します。だいたいパターンはこの4つ。

最短は8時間。

無難でとり入れやすいのは12-18時間。

理想的なのは18-24時間。

こだわりがあるなら24時間以上も(長熟だとチルド室使ったりします)。

なんかいろいろ考えて、なんとなくこの4パターンでイメージしています。もちろんこのままではないです。配合なんかでも多少、増減します。

今回は復温時間が2時間近くあるので、その分を差し引いて、最短を6時間でご案内します。ただおすすめは18時間以上です。

頭の中がまとまっていないので、言葉にしにくいですが……多分、考えなきゃいけないことは、酵母量や酵母の性質、酵素の働き、生地のつながり、最も大切なのはこれらによる生地の香味と旨みの増加具合、あとは目指す食感、それから小麦の水和……などなど、山ほどあります。

そのあたりをふまえて、ご自身でお好みの発酵時間を見つけてみてください。

10

復温させる。

復温
18℃ / 90-120分 / 3倍くらい

復温のこと

生地の表層に水泡ができる現象があります。梨肌、フィッシュアイ、冷蔵障害、冷凍障害……いずれもネガティブワードとして使用されますが、一部ではブリスターと言われて好まれる傾向もあるおもしろ現象です。

冷蔵でオーバーナイト発酵させている以上、こちらのクリームパンでも、このブリスターが出る場合があります。酵母が少なく、復温時に急激に温度を上げて生地の中でスポットスポットで水分量のムラが出たりして、生地にごくごく小さな単位で発酵ムラが出る場合などに見られるような気がします。

しっかり酵母を入れてあげること、復温を急がないことなどに注意すれば簡単に防げますので、復温に時間をたっぷりとることを心がけてみてください。

今回のクリームパンではほぼほぼ出ないと思います。

11

生地を分割する。

分割
200gを5分割 / 各40g

12

ベンチタイムをとる。

ベンチタイム
25℃ / 20分

13

成形する。

40gの生地に40gのカスタードを包む。

成形のポイント

クリームパンの成形は、上生地はただふわっと被せるだけ。綴じたりつまんだりしません。焼成時に生地が端まで綺麗に立ち上がることができなくなってしまうからです。

ポイントは、裏返したときに、少しだけ上生地が下生地より広くはみ出ること。

こんなふうに。ここだけおさえておくと、仕上がりが美しくなりますよ!

14

最終発酵をとる。

最終発酵
35℃ / 80%くらい / 45-60分

発酵前↓

発酵後↓

15

ドリュールをして、切りこみを入れる。

16

焼成する。

予熱 230℃
焼成 210℃ / 10分くらい

17

完成!

 酵母と製法🐈

 ルヴァンリキッドTA200

今回使用しているのはルヴァンリキッドTA200、前種1:E65 2:水2 で継いでいるルヴァンです。それだけでは発酵と分解のバランスがよくないので、市販の酵母リロンデルを加えています。サフ金、サフ赤での置き換えも可能です。発酵速度が少し変わると思います。

 ストレート法

直捏ね法とも。材料(フィリングなどは除く)を一度にミキシングし、パン作りの工程を分割することなく、発酵、成形、二次発酵、焼成までを滞りなくひとつの流れで行う製パン法のこと。家庭製パンでもよく用いられている。素材の風味がよく活き、発酵時間も短く済み、材料の個性が出やすいという特徴がある反面、生地の老化が早くまたボリュームが出づらいという短所もある。

オールイン製法と区別する点は、油脂入れのタイミング。ストレート法はミキシングの工程は分割しないが、油脂はミキシングの最後に加えることが多い。

今回の生地は、ミキシングだけはストレート法。発酵工程が二日にわたることもあり、厳密にはストレート法と言い切れない。

 オーバーナイト法 / 低温長時間発酵

生地を低温で発酵熟成させる製パン法。パン生地を低温、もしくは冷蔵庫に入れることでイーストの活動がゆるやかになり、ゆっくりと発酵する。発酵熟成の期間はある程度の長さを確保しないと期待するほどの効果は見込めない。仕込みの時間によってはひと晩寝かせることもできるので、オーバーナイト発酵と呼ばれる。もちろんひと晩、以上寝かせる場合もある。