自家製酵母の【パン・デピス】

ホリデーシーズンはシュトレンやパネトーネ、クグロフなどの酵母菓子で盛り上がりますが、パン・デピスもどうか忘れずに。日本ではジンジャーブレッドという呼び名の方が馴染み深いかもしれません。ジンジャーブレッドというのはパンデピスをジンジャーを多めにして仕上げたケーキのイギリス流の呼び名なんですね。

パン・デピスとは?

フランスで愛されるスパイス菓子。「スパイスを使ったパン」という意味からきた呼び名ですが、ケーキっぽいものもクッキーっぽいものもあります。多くのパン・デピスは「ライ麦粉、はちみつ、スパイス」を配合して作られます。油脂は加えずにライ麦とはちみつの力で生地をしっとりさせているのです。スパイスはお好みのものを。今回は私のいつものスパイス、シナモン、クローブ、ナツメグで仕上げました。ジンジャーやアニスを加えたり、簡単にキャトルエピスやシュトレンスパイスなどで仕上げたりしてもいいと思います。起源は中国とも言われています。昔の人々の栄養の源として愛されたようですよ。

私はこのスパイスケーキが大好きで、シーズンなど気にせずよく焼きます。ちょっとハッとしてしまうくらいもっちりしっとりしているので、バターが入っていないだなんて信じられないくらい。はちみつとライ麦たっぷり、ココロもカラダもじわじわ元気になっていくような美味しさのケーキです。いつもはドライフルーツなどは入れずに焼くのですが、今回はちょっとだけ贅沢に杏とオレンジを入れてみました。

シュトレンやパネトーネなどのお砂糖とバターたっぷりの生地も美味しいけれど、油脂を加えず、はちみつとライ麦で仕上げるスパイスブレッドはまた別の次元でリッチです。今回は隠し味に少しだけ黒糖をプラスしてみました。ぜひ作ってみてね!

強力粉→キタノカオリ
ライ麦全粒粉→北海道産ライ麦全粒粉
ルヴァンリキッド→水分量100%のルヴァンリキッド

酵母はご自宅にあるもので置き換えてください。水分量の調整だけ忘れずに。生地の糖度が高いので、酵母だけで生地を持ち上げるのはちょっと難しいと思います。本来のパン・デピスも、酵母は使用せずにベーキングパウダーで仕上げるものですので、こちらもベーキングパウダーを配合しています。

木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。

■YouTube

■パン・デピスの分量
—-スリム食パン型1本分(6×25×H6cm)

・ライ麦全粒粉 80g(50%)
・強力粉 80g(50%)
・ベーキングパウダー8g (5%)
・シナモン 2g(1.2%)
・クローブ 1g(0.6%)
・ナツメグ 1g(0.6%)
2g(1.2%)
・たまご 80g(50%)
・黒糖 16g(10%)
・牛乳 80g(50%)
・はちみつ 160g(100%)
・ルヴァンリキッド 100g(62%)
・杏 40g(25%)
・砂糖漬けオレンジピール 80g(50%)

・はちみつ 30g
・水 10g
・アマレット 10g
・杏 2個
・シナモンスティック 2本
・スターアニス 4個

焼成
予熱200℃
焼成170℃/20分、150℃/30〜40分

発酵種は水分量100%(粉:水=1:1)のルヴァンリキッドを使用しています。
焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。

ご参考までに、ルヴァンリキッドの作り方もご紹介しておきます。

■パン・デピスの作り方

 フロー

パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。

計量・下準備(5分)

材料混合+ミキシング(5分)

型入れ(1分)

焼成(60分)

レスト(冷めるまで)

仕上げ(10分)

完成!

パン・デピスの生地管理

生地温度
あまり気に留めていませんが、冷えすぎないようにします。生地が冷たすぎると膨らみが悪いようです。

あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めて進めてください。

 下準備

酵母混合液の準備をします

卵と黒糖を合わせてよく混ぜます。黒糖が溶けたら、人肌に温めた牛乳、はちみつ、ルヴァンリキッド(酵母)を加えて溶かします。

酵母はルヴァンリキッドを使用しています。水分量100%のもの(粉:水=1:1)です。この場合、粉の量は50g、水の量は50gです。

粉類の準備をします

強力粉、ライ麦全粒粉、ベーキングパウダー、塩、スパイスを合わせてふるう準備をします。

フィリングの準備をします

杏をお好みのサイズ(小さめがおすすめ)に刻んでおきます。

液状の生地なのでフィリングが沈みやすいです。細かく刻むことと、入れすぎないことがポイントです。はちみつとライ麦の独特の香味と食感がパン・デピスの美味しさの肝なので、フィリングでうち消してしまわないようにしたいです。

型の準備をします

型にオーブンペーパーを敷きます。

オーブンを予熱します

焼成に間に合うようにオーブンを予熱します。

 1

酵母の混合液に粉類を加えてホイッパーで混合します。練らずに、手早く混ぜます。

 2

フィリングを加えてざっくりと混ぜます。

 3

型に流し入れます。

 4

焼成します。

焼成
予熱200℃
焼成170℃/20分、150℃/30〜40分

今回はクープは入れませんでした。生地の盛り上がり方にムラが出たりしますが、切り落としてしまうのであまり気にしなくて大丈夫だと思います。

 5

パン・デピスが完全に冷めたら、盛り上がっている上部を切り取ります。はちみつ、水、アマレットリキュールをよく溶かし、シロップを作ります。ケーキの上下を返して、生地の表面にシロップを打ちます。その上にドライフルーツやスパイスを飾ります。

シロップは乾燥防止とちょっとした保存性向上のために打っています。お好みで省いていただいても大丈夫だと思います。

 6

完成!

■ポイントとコツ

パン・デピスに酵母を入れてみる本来はベーキングパウダーだけで膨らませるケーキなので、酵母は入れないんです。でも入れるともっちり感やしっとり感が増して、また香りもすごく深まっておすすめ。酵母や乳酸菌は体にもいいですし。12月は何かと体を酷使しがちなので、美味しくて健康的なパン・デピスを食べて、心も身体も健やかに過ごしてください。

■パン・デピスの食べ方

本当におすすめしたいのは、フルーツなど入れずに焼くパン・デピスです。甘いものが嫌いな友人も食べてくれます。お酒好きの友人も。しっかりと糖分があるのでちゃんと甘いのですが、不思議なことにプレーンのパン・デピスは塩味ともよく合います。おすすめはブルーチーズや山羊のチーズを乗せて食べたり、発酵バターをドカンと乗せて食べたりすること。ワインにも合います。トーストする食べ方もあるみたいですが、香りが変わってしまうので私はあまりおすすめしません。逆に穀物の濃い香りやライの特有の香りが好きな方は温めるといいかもしれません。

パン・デピスは独特のもっちり感で、日本人好みだと思います。ちょっとお米みたいで美味しいです!

ABOUTこの記事をかいた人

アトリエミツトパンははちみつとパン(とトマト)をこよなく愛する晴が主宰するアトリエです。 はちみつの魅力や可能性、レシピの発信を行っています。 自家製のパンについても勉強してきたことをじゃんじゃんシェアしていきますね。 どうぞよろしくお願いします。