少しのイーストとはちみつで作る【ラウゲン・プレッツェル】の作り方。

ラウゲン・プレッツェルとは?

アルカリ性の水溶液、ラウゲン液に浸してから焼き上げるドイツの食事パンです。ハートみたいな独特の形と艶のある焼き色に特徴があります。語源はラテン語の「腕」。この独特の形は愛を表しているというロマンチックな説もあるのですが、はっきりとした謂れはわかっていません。今日のドイツではパン屋さんのシンボルマークにもなっています。ドイツを代表するパンなんですね。

今回、こちらでご紹介するのは一次発酵なしのお手軽プレッツェル。本場でも発酵は短めで、その代わり酵母を少し多めに配合するのが一般的みたいです。今回、私も普段、使用するよりは少し多めのイーストを使用しています。これは加水が少ない分、イーストの働きが悪くなるのを補うためで、本場のようにふんわりさせるためではありません。ふんわりもちっとしたプレッツェルはもう少し配合を変えて、また次回に。

プレッツェルと言ったらこの独特の成形とラウゲン液に浸すことで得られる色と艶です。この形は一見、複雑に見えるけれど、作ってみると意外とそうでもなくて楽しいです。アルカリ性の溶液(ラウゲン液)は、本場では水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を溶かしたものを使用するのだそうですが、劇薬なので、家庭にある重曹で代用します。色は少し薄くなるような気もしますが、重曹でも充分です。艶っぽくてきれいな色が出ますよ。

本場ドイツでは、もっとふわっとした食感のものなど、いろんなプレッツェルがあるようです。でも日本ではこのカリカリが定番のような気がするので、第一弾はカリカリプレッツェルをご紹介します。第二弾は配合を少し変えて、プレッツェルドックを作ります。しっかり発酵をとって、もちもちムギュッとした食感を目指しますよ。お楽しみに!!

ちなみにドイツ語の綴りは「Brezel」ブレゼルですね。「Pretzel」は英語圏から来たの呼び名なんでしょうか。プレッツェルか、ブレゼルか。どちらで呼ぶかまだ答えが出ないので、馴染みのある「プレッツェル」と呼ばせてもらっています。

木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。

■YouTube

■材料
—-4個分

パン生地

・強力粉 105g(70%)
・薄力粉 45g(30%)
・水 45g(30%)
・牛乳 45g(30%)
・練乳 7.5g(5%)
・はちみつ 3g(2%)
・インスタントドライイースト 0.6g(–)
・塩 2.7g(1.8%)
・ラード(ショートニング) 15g(10%)

ラウゲン液

・お湯 1500ml
・重曹 50g


焼成
予熱250℃
焼成230℃で12〜15分

インスタントドライイーストはサフ赤です。

オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

■作り方

フローチャート

パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。

計量・下準備(5分)

ミキシング(3分)

オートリーズ(30分)

ミキシング(10分)

油脂追加+ミキシング(8分)

分割・丸め直し(3分)

ベンチタイム(15分)

成形①(5分)

成形②(5分)

成形③(5分)

最終発酵(40分)

ケトリング(2分)

仕上げクープ・岩塩(1分)

焼成(15分)

ラウゲン・プレッツェルの生地管理

こねあげ温度
25〜27℃

一次発酵(フロアタイム)
なし

最終発酵(二次発酵/ホイロ)
28〜30℃、湿度70%以上、40分

あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。

■工程

上記のフローチャートに沿って、具体的な工程やポイントを確認しながらパンを焼いていきます。

下準備

イースト液の準備をします

水、牛乳、はちみつ、インスタントドライイーストを合わせてよく混ぜます。

水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。

粉類の準備をします

強力粉と薄力粉、塩を合わせておきます。

今回、塩は先に入れてしまいます。塩は必要以上に水分を吸ってしまうので本来はあとで入れたいのですが、今回の生地は加水が少ない上に牛乳が入るので、生地がかなりひきしまってしまうのです。たいへんこねにくく、塩の粒も消えにくいので、先に入れてしまってください。

1

粉類にイースト液を加え、ひとかたまりになるまで混ぜます。

粉っぽさがなくなるまで混ぜたら、生地を30分ほど休ませます。

2

こね台に出してこねます。

加水が少ないのでとてもこねにくい生地です。体重を乗せるようにしてこねてください。こねの後半になったら、生地の表面を荒らさないように気をつけます。生地を何度も畳むようにしてこねると荒れにくいと思います。緩やかに生地の表面がつるんと整ってきます。

3

ラードを加えてこねます。

油脂をグルテンの隙間に均等に入れこむのには少し時間がかかります。繋がってきたグルテンはちぎると傷んでしまうので、無理に伸ばしすぎてちぎったりしないように心がけます。その際、生地をある程度細かく切って揉み込むと油脂が入りやすいです。可塑性のある油脂も、液体油脂も同様です。液体油脂の方が少し入りにくいですが、10%未満の配合量で手ごねの場合はきちんと入りますので(今回はギリギリ10%ですが)、丁寧に揉みこんで吸収させてあげてください。

生地が油脂を満遍なく吸って、はじめツルツルして台離れの良かった状態から、再びしっとりと手のひらやこね台にはりつくような感触になったら、こねあがりです。

ここでしっかりとこねてあげると、この後の成形でも生地の伸びが良くなり、切れにくいです。今回の生地はグルテン膜を確認しにくいので、生地の感触や表面のキメの細かさでこねあがりを確認してください。

こねあげ温度
25〜27℃

本場のレシピはラードを使用するようです。バターでない理由はおそらくさっくりとした口当たりの軽さとか成形後の生地の保形性のためだと思うのですが(ちょっとこの辺りが曖昧ですが)、なければショートニング、それもなければバターをご使用ください。

4

4分割して、丸め直します。その後、生地を15分、休ませます(ベンチタイム)。

次の工程で成形を3段階に分けて行うので、ここでのベンチタイムは短くて大丈夫です。

5

成形します。

65〜70gの生地を、真ん中だけ膨らんだ棒状に伸ばします。

今回は70〜80cmに伸ばしています。動画では尺の関係でノンストップで撮っていますが、一度に行うと生地に負荷がかかってちぎれやすくなったりするので、3段階に分けて行ってあげるといいと思います。

1段階目

生地は4つあるので、4つの生地を一通り1段階目まで伸ばしたら2段階目へ、4つの生地を一通り2段階目まで伸ばしたら3段階目へ、というように進めていくと、生地の傷みも癒されて伸ばしやすくなると思うので、やってみてください。

2段階目

3段階目

3段階目まで伸ばしたら、プレッツェルの形に成形していきます。

時間がかかる成形なので、生地の表面が乾き切ってしまわないように注意してください。硬く絞った濡れ布巾などで覆っておくといいかと思います。

6

最終発酵させます。ひと回りふっくらする程度で大丈夫です。

温度28〜30℃/湿度70%以上
目安40分

7

ひとつひとつ、ラウゲン液にくぐらせます。15〜30秒を目安に引き上げます。

ラウゲン液は水1500mlと重曹50gで作ります。水を軽くグラグラする程度に沸かしたら、重曹を静かにいれます。良く溶かして、生地をくぐらせます。重曹を溶かす際には火傷や吹きこぼれにご注意ください。動画の通りです。もっと静かにやりましょう!

8

仕上げに、クープを引いて、岩塩を散らします。

9

焼成します。

■ラウゲン・プレッツェル

ラウゲン・プレッツェルとは?

アルカリ性の水溶液、ラウゲン液に浸してから焼き上げるドイツの食事パンです。ハート型みたいな独特の形と艶のある焼き色に特徴があります。語源はラテン語の「腕」。

この独特の形が何を指すのか、謂れは山ほどあってはっきりとしていません。例えば、罪を犯したパン職人が恩赦のために作ったとか、パン屋さんの腕組みの形だとか、修道士が祈りを捧げる際の腕の形だとか、あるいは「ハート型は愛を表しているのだ!」というかなりロマンチックな説もあるみたい。

そもそも起源についても謎なのですって。プレッツェルはドイツではなくフランスのアルザス地方の生まれだという説もあるみたいです。またまたアルザスか、という感じですね。アルザス地方は本当においしいものの宝庫です。

ただ、プレッツェルはドイツのパン屋さんのシンボルマークにもなっています。発祥がどうであれ、今ではドイツを代表するパンになっていることは間違いないですね。

もうひとつの特徴、ラウゲン液ですが、ご家庭では重曹で充分だと思います。色も艶もきれいに出ます。ちょっとだけ薄めですが。

このラウゲン液の発想が生まれた説はかなり可愛くて気に入っています。パン屋さんで、猫がパン生地にぶつかって、いくつかの生地を苛性ソーダ液の中に落としてしまったのだそうです。もったいないのでそのまま焼いたら美味しかった、という笑。思えばパンはいくつもの偶然に誘われて今日まで進化してきたのですねー。宇宙を感じます。

この苛性ソーダのコーティングはパンを日保ちさせることにも役立っています。でもいつまでもずっとカリカリというわけではないので、せっかくご家庭で焼くなら、焼き立て(冷めたてのことです)を食べて欲しいです。本当に!おいしいです。

ラウゲン液のケトリング(そもそもケトリングではないんですが)の温度についてはいろんな見解があって、私はベーグルのように(軽く沸いたお湯で)行っていますが、本来は煮る必要がないみたい。ただ、完全に冷めた重曹液でやってみたら、うまく色づきませんでした。ご参考までに。

食べ方

本場ドイツでは、ふりかけられた岩塩を好みの塩分になるように落として食べるのだそうです。あとは無塩バターやヌテラなんかをサンドして食べるのもおいしいみたい。

「え、サンド?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。プレッツェルは水平にスライスしてサンドイッチにもできるんですよ。

ドイツの方に「そんな食べ方がおすすめだよ」と言われることから分かる通り、ドイツでは(様々なプレッツェルがあるようですが)全体的にもっとふっくらしてソフトなものが主流みたいですね。

一方、アメリカではプレッツェルと言えばカリカリ固いもので、ドイツのプレッツェルは「Soft Pretzel」と呼ばれています。

私は、焼き立てには無塩バターを挟んでそのままもりもり食べるのをおすすめします。リベイクするなら、無塩バターとカリカリベーコンがおすすめ!!おいしいです!!

成形

今回ご紹介しているのは、カリカリとさっくりを両方楽しめるレシピです。腕の部分の細いところはカリカリ、太い部分はさっくりを目指します。

今回は70〜80cmに伸ばしましたが、もう少し伸ばしてあげるともっとメリハリがついておいしいです。こね台と撮影範囲(と技術)の関係でこれ以上は伸ばせないのですが、もし広いキッチン台をお持ちの場合はぜひトライしてみてください!

生地作り

牛乳を入れるかどうかはかなり迷ったのですが、クラムの少ない生地だからこそ、ミルク風味とか香りって大事かもしれないな、と思って配合しています。バターを入れないのでなおのこと。

あとは細かいことなんですが、色づきの良さやネジネジの形がきれいにくっきりと出て残ることにも一役買っています。一方で伸びにくい生地になるので、加水全量を牛乳に置き換えるのは難しいです。加水量を増やしてもだめでした。牛乳の分量を加水の半分の量におさえるこのレシピでも生地の伸びが物足りないので、練乳を入れています。油脂も多めに入れています。

油脂については、伝統的なプレッツェルではラードを使用するようです。ドイツはラードを使うお菓子も有名ですよね。おそらく旨味というよりは食感のショートニング性を狙っているんだと思うので、ショートニングでも大丈夫だと思います。もっと言えば、バターでもおいしいです。香りがよくなるので。ご家庭にあるものをご使用ください。配合量は試行錯誤してくださいね。

■食材

強力粉

スーパーノヴァを使用しています。一般的な最強力粉のように添加物も入っていませんし、非常に使いやすいです。国産はよくキタノカオリを使用していますが、吸水の感じも似ているので、私はこの二種をよく使用します。


薄力粉

ドルチェを使用しています。いつでも安定的に手に入り、普通においしいです。


インスタントドライイースト

サフ赤です。いつもこれ。

冷凍できます。凍ったりしないので、冷凍の状態のまますくいだして使用しています。


ラード

ラードはリンクが見つからないので、愛用しているショートニングを載せておきますね。トランス脂肪酸フリーのものです。

■道具

ボウル

パン作りはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。


すくいざる

ベーグルはあく取りでもすくえるのですが、プレッツェルはもっと大きくて繊細なのでこちらのサイズが便利です。


クープ

クープは最近はこのカミソリをこのまま持って使用しています。プレッツェルはハサミで切るのもいいですね。


スケール

パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。

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