オーバーナイト発酵で焼く基本の食パン。
ワンローフの【山食パン】の作り方。

山食パンとは?

お馴染みの食パンを、パン型の蓋を開放して焼き上げたものです。対して蓋を閉めたまま焼き上げるものを角食パン(プルマンブレッド)と呼んで区別します。

もともとは生地の配合にも明確な違いがありました。山食パンとはシンプルな材料で縦の伸びを意識して作り、少し塩味が効いていて、トースト性が良くさっくりしているものを指していたようです。

今回ご紹介する山食パンはごく基本的な配合の食パンです。シンプルな材料でも「こんなにおいしいんだ!」と感動してもらえたら嬉しいです。

初心者さんは、ひとつ、ひとつ、ポイントを押さえながら作ってみてください。

ベテランさんには、近日中にイーストなしでルヴァンだけで発酵をとるレシピを公開します。お楽しみに!

■山食パンの作り方 | YouTube

■材料
—-1斤

・強力粉 250g(100)
・スキムミルク 17g(7)
・水 175g(70)
・はちみつ 20g(8)
・インスタントドライイースト 0.9g(–)
・塩 4.5g(1.8)
・発酵バター 20g(8)


*焼成
予熱 200℃
焼成 180℃で10分、160℃で15〜18分

インスタントドライイーストはサフ赤です。

オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

型容積 1,700g
型比容積 3.5

最近、水を入れてはかり直してみたら1,700g入ることがわかりました……。以前のレシピを参考にしてくださっていた方、ありがとうございます。今回から新しいレシピで作ってみてください。

■作り方

タイムテーブル

パン作りの流れをざっとさらいます。手順とおおよその時間割を確認してください。


計量・下準備(5分)

ミキシング(1分)

オートリーズ(30分)

塩入れ・ニーディング(10分)

油脂入れ・ニーディング(8分)

予備発酵 / 一次発酵(20分)

折りたたみ(1分)

予備発酵 / 一次発酵

オーバーナイト発酵

復温

丸め直し(1分)

ベンチタイム(20分)

成形(5分)

最終発酵 / 2次発酵

焼成(25分)

時間はあくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。生地の様子を見極めるポイントは、下記で示していますので、ご参考になさってください。

下準備

パン作りのための下準備をします。


イースト液の準備をします

水、インスタントドライイーストを合わせてよく混ぜます。

水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。

この生地の目標となる「こねあげ温度」は25〜27℃です。手ごねする場合は生地の温度が上がりやすいので、室温と水温を足して2で割って25℃弱になるくらいにしてみてください。

生地の温度変化
生地温度は、オートリーズで少し下がり(加温した場合は別ですが)、手ごねで少し上がり、油脂を加える前のグルテンチェックでまた少し下がり、油脂を加えた後の手ごねでまた少し上がります。これだけは一応、頭の片隅に入れておくといいと思います。こねあげ温度は25〜27℃を目指します。

機械ごねの場合
モーターの温度が伝わる機械の場合は水温を低めに、スタンドミキサーの場合は水温を高めに(ボウルを湯煎するなども可)して調整します。

粉類の準備をします

強力粉、スキムミルクを合わせてよく混ぜます。

スキムミルクはダマになりやすいので、必ずしっかりと混ぜてください。

工程

上記のタイムテーブルに沿って、具体的な工程やポイントを確認しながらパンを焼いていきます。


1

粉類が入ったボウルにはちみつを入れます。

はちみつめがけてイースト液を注ぎ、混ぜ合わせます。

粉気がなくなったら、30分ほど生地を休ませます。

オートリーズ
粉に水分を十分に吸わせ、小麦粉の中のグルテンをある程度育てて、生地の伸びをよくするのに役立ちます。こねの時間を短縮できたり、生地への負荷を減らすことにもなります。乾燥は厳禁です。生地温度が下がりやすいので、温度管理に気を配ってください。理想は25℃〜28℃くらい。はじめの15分だけオーブンの発酵機能を使用したり、濡れ布巾を温かめのお湯にくぐらせてから絞ってかけておいてあげると調整しやすいかと思います。

はちみつ
はちみつはあらかじめイースト液に溶かしておいても大丈夫です。このとき、イーストがはちみつに直接触れないようにしてください。浸透圧で壊れて働かなくなってしまうので。

2

塩を加えてこねます。


本来は少しこねたのちに塩を加えるのが理想です。塩を加えると生地が締まりますし、粉の水和やグルテンの形成を邪魔するようです。その前にしっかりとこねて生地を育てておきたいものです。ただ、ここではオートリーズを充分にとっていますし、家庭製パンではそこまでデリケートに考える必要はないと思うので、手順を1つ減らすつもりで、ここで塩を加えています。

こね
山食パンは縦にしっかりと伸ばしたい生地なので、しっかりとグルテンを強化します。はじめは生地を縦に伸ばすようにしてこねますが、オートリーズのあとなので、充分に生地につながりができていれば、生地は千切れるのを嫌がり、手の動きにそって丸まろうとすると思います。生地がしっかりとつながりを持つようになるまで縦にこね、つながってきたら、生地を決して千切らずに、体重をかけながら、こね台にこすりつけるようにしてこねます。

はちみつの水分も含めると少しだけ加水が多めの生地なので、叩きごねをするとまとまりが良くなり、扱いやすくなります。

①肘の高さくらいから重力に逆らわずに生地をこね台に落とします②生地の手前両端を引っ張って、奥の生地にかぶせます③再び生地の手前と奥をつかんで持ち上げ、生地の向きを90℃回転させて、表だった面をこね台に落とします④生地の手前両端を引っ張って、奥の生地にかぶせます。この繰り返しです。4回1セットで生地の表面がきれいに張るはずです。動画で確認してみてください。

生地の見極め
生地の表面がつるりとしてキメが整います。とろとろと手のひらにそって自在に変化するくらいにやわらかくなっているはずです。手のひらの温度と摩擦で、生地はほんのりと温かくなっていると思います。この状態の生地の感覚を掴むまでは、ここで5〜10分、生地を休ませてからグルテンチェックをします。指紋が透けてみえるくらいに薄く伸びるようになっていれば、準備は整っています。慣れたらこの作業は省いてください。

3

油脂を加えてこねます。

タイミング
油脂を入れるタイミングにはいろんな考え方があります。初心者さんは、まずはこのタイミング(こねあがりの一歩手前)で油脂を入れる、ということだけ経験として覚えておいてください。

油脂の混ぜ込み
油脂をグルテンの隙間に均等に入れこむのには少し時間がかかります。繋がってきたグルテンはちぎると傷んでしまうので、無理に伸ばしすぎてちぎったりしないように心がけます。その際、生地をある程度細かく切って揉み込むと油脂が入りやすいです。可塑性のある油脂も、液体油脂も同様です。液体油脂の方が少し入りにくいですが、10%未満の配合量で手ごねの場合はきちんと入りますので、丁寧に揉みこんで吸収させてあげてください。

生地が油脂を満遍なく吸って、はじめツルツルして台離れの良かった状態から、再びしっとりと手のひらやこね台にはりつくような感触になったら、こねあがりです。山食パンの場合は、この後、生地の仕上げに入ります。

生地の仕上げの叩きごね
生地をきらないようにしながら、叩いて伸ばして、折りたたみます。力を入れる必要はないです。①肘の高さくらいから重力に逆らわずに生地をこね台に落とします②生地の手前両端を引っ張って、奥の生地にかぶせます③再び生地の手前と奥をつかんで持ち上げ、生地の向きを90℃回転させて、表だった面をこね台に落とします④生地の手前両端を引っ張って、奥の生地にかぶせます。この繰り返しです。4回1セットで生地の表面がきれいに張るはずです。動画で確認してみてください。

引っ張りすぎると生地の表面が荒れます。引っ張りすぎず、生地の伸びしろ分だけ伸ばしてたたむ、この繰り返しで生地は大理石のように滑らかになります。生地を切らない、これだけ気をつけてやってみてください。これを何度かやってあげると、さらに生地のつながりが強固なものになって、ぷるんと張りが出て、力がつきます。

こねあげ温度
25〜27℃

4

20分、予備発酵(1次発酵)させます。

5

生地をこね台に出します。

生地の伸びとコシを鍛えます。上下に三つ折り、左右に三つ折り、その後、再び上下を下に折りたたむようにして生地の表面を丸く張らせて整えます。

再び発酵容器に入れます。

6

生地が1.5倍になるまで予備発酵(1次発酵)させます。

予備発酵(1次発酵)オーバーナイト発酵の前に、イーストを活性化させてあげるイメージです。冷蔵庫に入れる前に、しっかりと生地を育てておきます。

7

平たい容器に広げてラップを密着させて、生地が1.5〜2倍に膨らむまでオーバーナイト発酵させます。

オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。

野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。

発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探すトライアンドエラーが、オーバーナイト発酵と付き合っていくためには必要かもしれません。

8

生地をこね台に出して、やさしく薄く広げ、復温させます。乾燥厳禁です。必ず固く絞った濡れ布巾などで覆って休ませてください。

復温
生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。

生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍を超えて膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。

9

生地を上下左右から折りたたみ、底面を張らせるようにして丸め直します。綴じ目を下にして、乾燥を防ぐために濡れ布巾などで覆って、20分〜30分のベンチタイムをとります。

ベンチタイム
生地は力を加えると締まります。締まった生地を無理に成形すると傷んでしまうので、生地を休めて緩めてあげるためにベンチタイムをとります。成形が簡単な場合は20分ほどでも充分ですし、成形が複雑で生地に負担をかけやすい場合は30分しっかりと休めてください。

10

生地を成形します。

満遍なく油脂を塗った型に入れます。生地が型の8分目までふくらむまで発酵させます。

11

焼成します。

焼き上がったら、腰折れを防ぐため、すぐに型を外側からがんがんとたたき、刺激を加えます。熱いうちに型から外し、ケーキクーラーなどの上で冷ましてください。粗熱が取れたらビニール袋などに入れて保存します。

■山食パンとは

山食パンてなに?

お馴染みの食パンを、パン型の蓋を開放して焼き上げたものです。対して蓋を閉めたまま焼き上げるものを角食パン(プルマンブレッド)と呼んで区別します。

食パンの発祥はイギリス。フランスのパンドミもアメリカのプルマンブレッドももともとはイギリスから伝わったパンが原型なのだそうです。日本ではこちらの山型の食パンをイギリスパンと呼ぶこともあります。

もともとは生地の配合にも明確な違いがありました。山食パンはシンプルな材料で縦の伸びを意識して作り、少し塩味が効いていて、トースト性が良くさっくりしているもの。対して角食パンはリッチな配合で甘味と内層のしっとりした食感を楽しむもの。現代ではその線引きは曖昧になっているみたい。リッチな配合の山食パンも結構ありますよね。

それぞれの歴史をたどって、今ではどちらも日本の食卓に欠かすことのできないパンになりました。

山食パンはこねて叩いて高さを出そう

こねると生地の中のグルテンは強くなります。こね過ぎには弊害もありますが(小麦や素材の個性が死んでしまって味わいが淡白になりやすいなど)、山食パンの味わいはトースト性の良さでもあるので、まずはこの配合でしっかりとこねてみることをおすすめします。スキムミルクとはちみつが淡白さを補ってくれます。

生地のまとまりを良くするために、また生地をさらに鍛えるために、叩きごねを入れています。手ごねでは、手のひらが生地に直接に触れることによって、あるいは生地がこね台と擦れる摩擦によって、生地温度があがっていきます。途中、叩きごねを入れてあげることで、生地は程よく冷やされるので、生地温度のコントロールができます。また4回1セット叩きごねをすることで、生地がこね台の上で一周し、生地の表になる面が整うので、ベタつきが軽減されます。

逆に、冬場は生地温度を下げすぎないように気をつけます。生地の伸びが悪くなると生地が傷みやすくなります。

加水を増やしてみると新しい発見が

シンプルな材料ながら甘味もあっておいしい山食パンですが、さらに欲張って、トースト性をもっと高めてあげるといっそう美味しいです。加水を88%くらいまであげてみてください。私の手ごねでは88%が限界ですが、もっと入れてみたらおいしかったよ、など、試していただいた声を聞かせていただけると嬉しいです!

■ポイントとコツ

手ごねは生地のロスに気をつける

オートリーズ後に塩をふり入れてからの本ごねですが、はじめは生地がベタついても、油脂入れ後には必ずツルツルの綺麗な生地になります。だから途中で手を洗ったりせずに、信じてこねてみてください。

手のひらやこね台にくっついてしまった生地はスケッパーで削ぎ落としながらこねます。手を洗い流して生地をたくさんロスしてしまうと、もったいないだけでなく、分量そのものが変わってしまいます。型に対する分量が変わってしまうと、パンがレシピ通りの大きさで膨らんでくれません。型入れして焼くパンの場合は、特に分量に気をつけます。

オーバーナイト法の生地

冷蔵庫から出したての生地はきちんと発酵していても冷たいままです。そのまま乾燥を防ぎながら、10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、さらに生地が期待する大きさに膨らんでくるのを待ちます。これが復温です。

このとき、発酵に利用した容器のまま復温させる場合は、生地の見極めがしやすいです。温度は測ってチェックできますし、大きさは膨らみを目視できます。ただ、この場合、容器が冷たいままですし、生地も広がっていないので復温に時間がかかるとともに、生地の発酵状態にムラが出やすいです。

慣れてきたら、生地をこね台に出して復温させてみてください。優しくパンチを入れて新しい呼吸を促してあげるとともに、そのまま乾燥を防ぎながら10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、また全体的にふっくらとしてくるのを待ちます。発酵倍率を確認しにくいんですが、何度か作って慣れてみてください。

オーバーナイト発酵で生地がうまく膨らまない場合

冷蔵庫内の温度が低すぎたり、予備発酵(一次発酵・フロアタイム)が短すぎたりして、生地が充分に膨らんでいなかった場合は、この復温の工程で発酵具合を調節します。

復温時間は室温にもよりますが、1〜2時間ほどかかることもあります。だから早めに生地を冷蔵庫から出して、その間は別の家事を……というように、ご自身の日常生活のもろもろのお仕事と平行でパン作りを行うのがベストです。

オーバーナイト法の利点は、ある程度の「ほったらかし」が許されるところです。

■材料

強力粉とスキムミルク

よく使う国産小麦は「キタノカオリ」。カナダ産は「スーパーノヴァ」。強力粉はほとんどこのうちのどちらかです。特にキタノカオリは大好きな小麦です。

強力粉 | キタノカオリ2.5kg

強力粉 | スーパーノヴァ(1CW) 2.5kg

スキムミルクはいつも変わらずこれです。

よつ葉 | スキムミルク1kg

インスタントドライイーストと発酵バター

インスタントドライイーストは、サフ赤を使用しています。

サフ | インスタントドライイースト500g

こちらは冷凍して保存しています。特に凍って固まったりしないので、そのまま必要量だけすくいだして使います。


発酵バターはカルピスのものです。高千穂の発酵バターもよく使用します。

高千穂 | 発酵バター(無塩)450g

■道具

ボウルと計量カップ

こねるときはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。

iwaki | ベーシックボウル3点セット

こんなのもあるようで、次はこちらが欲しいです。

本当はHarioも気になっているけど……。


計量カップは無印良品。こちらもガラス製です。品の良い感じでメモリが付いているのでお気に入り。それにやっぱりガラスの手触りが好きです。その前はHarioを使用していました。

HARIO | ビーカー500ml

HARIO | トールビーカー300ml

野田琺瑯のバット

オーバーナイト発酵で使用しているのは野田琺瑯のバット(アイボリー)です。ホワイトシリーズよりも好きです。温かみがありますよ。

よく使用しているサイズは21枚取りです。他にキャビネサイズと15枚取りを愛用しています。キャビネサイズのリンクが見つかりません。探しておきますね。


スケール

パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。

タニタ | デジタルスケール【RCP】TANITA KD-320-WH

焼き型

アルスター(アルタイト)食パン型1斤です。お好みのものでいいと思います。

浅井商店オリジナル | アルタイト新食パン型 1斤

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