はちみつバターちぎりパン

少しのイーストとはちみつで作る【はちみつバターちぎりパン】の作り方。

ずっとはちみつたっぷりのパンを作りたいと思っていました。いつものように砂糖をはちみつに変換するレシピも木琴堂のこだわりではあるのですが、もっとダイレクトに、大胆にはちみつの美味しさを感じられるようなレシピで。なので今回ははちみつフィリングを包んでみました。

「家庭でも食べやすい気軽なパンにしたいな」ということで、ベースはおなじみのちぎりパンです。普段は真白に焼くパンですが、今回はアルミホイルなどもかぶせずにそのままこんがり焼いています。

このはちみつバターパンは、はちみつの美味しさがバターの香りとともにダイレクトに感じられます。ぜひ、美味しいはちみつを使ってください。

生地はふわふわ、割ってみると中からはちみつバターがとろりと出てきます。これはみんな大好きになること間違いなし!です。とっても美味しいはちみつバターパンなので、ぜひ作ってみてね!

木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。

■YouTube

■材料
—-18cm角ガラス型

パン生地

・強力粉 232g(80%)
・薄力粉 58g(20%)
・スキムミルク 35g(12%)
・水 203g(70%)
・はちみつ 20g(7%)
・インスタントドライイースト 1.1g(–)
・塩 5g(1.7%)
・ショートニング 17g(6%)

はちみつバターフィリング

・はちみつ 150g
・バター 15g
・コーンスターチ 11g

仕上げの溶かしバター

・バター 適宜


焼成
予熱200℃
焼成180℃で10分、160℃で25〜30分

インスタントドライイーストはサフ赤です。

焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。ご使用の型がガラス型でない場合は、焼成時間についても短めに設定してください。

■作り方

フローチャート

パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。

計量・下準備(10分)

ミキシング(3分)

オートリーズ(30分)

塩追加+ミキシング(15分)

油脂追加+ミキシング(8分)

予備発酵

オーバーナイト発酵

復温

分割・丸め直し(5分)

成形(8分)

最終発酵

焼成(40分)

仕上げ(1分)


はちみつバターちぎりパンの生地管理

こねあげ温度
25〜27℃

予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
28〜30℃、湿度70%以上、1時間前後

最終発酵(二次発酵/ホイロ)
28℃、湿度70%以上、2時間前後

あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。

■工程

上記のフローチャートに沿って、具体的な工程やポイントを確認しながらパンを焼いていきます。

下準備

はちみつバターフィリングを作ります

はちみつとコーンスターチを合わせて、電子レンジ600wで1分ほど加熱し、加熱後によく攪拌します。

その後、30秒加熱するごとに攪拌し、とろみがつくまでくりかえします。

大きめの容器のご使用をおすすめします。加熱中は電子レンジから目を離さないようにしてください。加熱中、はちみつが膨らんで軽く沸騰します。ふきこぼれや火傷に注意してください。

コーンスターチは加熱が甘いとザラザラとした舌触りが残ります。ここでしっかりと加熱しておくことがなめらかなフィリングを作るコツです。

とろみがついたら、バターを加えて乳化するまでしっかりと混ぜます。

使用する直前まで冷蔵庫で冷やしておきます。

イースト液を作ります

水、はちみつ、インスタントドライイーストを合わせてよく混ぜます。

水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。

粉類の準備をします

強力粉と薄力粉、スキムミルクを合わせておきます。

スキムミルクはダマになりやすいので、粉類に加えてしっかりと馴染ませておきます。

1

粉類にイースト液を加え、ひとかたまりになるまで混ぜます。粉っぽさがなくなるまで混ぜたら、生地を30分ほど休ませます。

オートリーズ
オートリーズ中は乾燥厳禁です。濡れ布巾をかぶせたり、ポリシートやポリ袋で覆って乾燥を防いでください。

2

こね台に出して、塩を加えてこねます。

はじめはベタつきます。こね台に擦り付けながら、生地を縦に伸ばしてこねます。スケッパーで生地をかきあつめながら、根気よくこねてください。

少しずつ生地がまとまってきます。

まとまってきたら生地の伸び代に合わせて、叩いたり転がしたりしてこねます。生地の表面を千切らない(荒れさせない)ことを心がけるといいと思います。

グルテンチェックはここのこねあがりで行います。5分ほど休ませてから、生地を静かに引っ張って薄く伸ばします。指紋が透けるくらいに薄く伸びるようになったらこねあがりです。

3

ショートニングを加えてこねます。

油脂をグルテンの隙間に均等に入れこむのには少し時間がかかります。繋がってきたグルテンはちぎると傷んでしまうので、無理に伸ばしすぎてちぎったりしないように心がけます。その際、生地をある程度細かく切って揉み込むと油脂が入りやすいです。

可塑性のある油脂も、液体油脂も同様です。液体油脂の方が少し入りにくいですが、10%未満の配合量で手ごねの場合はきちんと入りますので、丁寧に揉みこんで吸収させてあげてください。

生地が油脂を満遍なく吸って、はじめツルツルして台離れの良かった状態から、再びしっとりと手のひらやこね台にはりつくような感触になったら、こねあがりです。

こねあげ温度
25〜27℃

4

生地がおおよそ1.5倍になるまで予備発酵(1次発酵)させます。

温度25〜28℃/湿度70%以上
1時間前後

予備発酵(一次発酵)
オーバーナイト発酵の前に、酵母を活性化させてあげるイメージです。冷蔵庫に入れる前に、しっかりと生地を育てておきます。

5

平たい容器に広げてラップを密着させて、オーバーナイト発酵させます。

オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。

野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。

発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探すトライアンドエラーが、オーバーナイト発酵と付き合っていくためには必要かもしれません。

6

生地を復温させます。生地温度が戻り、サイズもおよそ2〜2.5倍になるまで室温で様子をみます。慣れていらっしゃる方は、生地をこね台に出して復温させてあげてください。この場合は乾燥に気をつけてください。

復温
生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。

生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍強まで膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。

7

16分割して、軽く丸め直します。丸め直した生地は、乾燥を防ぐために濡れ布巾などで覆っておきます。

このレシピでは丸め直しは軽く行います。あまり張らせなくて大丈夫です。

分割量が多いのでベンチタイムはとりません。丸め直した順に生地を成形していきます。

8

成形します。

1つ35g前後の生地に10gのフィリングを包みます。分量としてはかなり少ないので、やさしい包餡です。気をつけたいのは、綴じ目をしっかり綴じることとあまり生地を張らせすぎないこと。綴じ目はしっかり、でも生地をつまみすぎて裂かないようにします。また生地の表面を張らせすぎて、焼成中に裂けることも避けたいです(言葉遊びのようですが真面目です!)。餡の糖度が高いので生地にはかなり負担がかかっていると思います。生地に痛みがあるとフィリングが漏れやすいのでここだけ気をつけてください。

9

最終発酵させます。生地が型の8割に届くまで発酵させます。

温度28℃/湿度70%以上
目安2時間前後

10

焼成します。

焼成
予熱200℃
焼成180℃で10分、160℃で25〜30分

11

仕上げに溶かしバターを塗ります。

焼成後、すぐに溶かしバターを塗ります。艶出しと風味づけです。

■いつもの決まりごと

オーバーナイト法の生地

冷蔵庫から出したての生地はきちんと発酵していても冷たいままです。そのまま乾燥を防ぎながら、10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、さらに生地が期待する大きさに膨らんでくるのを待ちます。これが復温です。

このとき、発酵に利用した容器のまま復温させる場合は、生地の見極めがしやすいです。温度は測ってチェックできますし、大きさは膨らみを目視できます。ただ、この場合、容器が冷たいままですし、生地も広がっていないので復温に時間がかかるとともに、生地の発酵状態にムラが出やすいです。

慣れてきたら、生地をこね台に出して復温させてみてください。優しくパンチを入れて新しい呼吸を促してあげるとともに、そのまま乾燥を防ぎながら10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、また全体的にふっくらとしてくるのを待ちます。発酵倍率を確認しにくいんですが、何度か作って慣れてみてください。

オーバーナイト発酵で生地がうまく膨らまない場合

冷蔵庫内の温度が低すぎたり、予備発酵(一次発酵・フロアタイム)が短すぎたりして、生地が充分に膨らんでいなかった場合は、この復温の工程で発酵具合を調節します。

復温時間は室温にもよりますが、1〜2時間ほどかかることもあります。だから早めに生地を冷蔵庫から出して、その間は別の家事を……というように、ご自身の日常生活のもろもろのお仕事と平行でパン作りを行うのがベストです。

オーバーナイト法の利点は、ある程度の「ほったらかし」が許されるところです。

■食材

強力粉

小麦は「キタノカオリ」です。大好きな小麦です。クラムがほんのり卵色になっているのはこの小麦の特徴です。このパンはぜひキタノカオリで作ってもらいたいです。

薄力粉

パンに使用する場合はだいたいこれです。

スキムミルク

スキムミルクもいつもこれです。

インスタントドライイースト

こちらは冷凍して保存しています。特に凍って固まったりしないので、そのまま必要量だけすくいだして使います。

ショートニング

定期便で購入しているくらいショートニングはいつもこれ。型の下処理にもおすすめです。型離れいいですよ。

バター

今回のバターはよつばバターです。なんとなく。

■道具

18cm角ガラス型

iwakiの型です。本当に出番の多い型です。ショートケーキも焼けます。ラザニアとかグラタンとかもこれで作ってます。ちょっと大きいですけど。ただガラス型なので、金型に比べて側面に焼き色が付きにくいです。そこだけ気をつけてみてください。

ボウル

こねるときはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。

野田琺瑯のバット

オーバーナイト発酵で使用しているのは野田琺瑯のバット(アイボリー)です。温かみがあって好き。ホワイトシリーズの方だと在庫があるみたいなのでホワイトシリーズのリンクを載せておきます。アイボリーは在庫があるタイミングに出会うのが難しいんですよね。悲しいな。

小さい方からキャビネサイズ、21枚取り、少しとんで15枚取りをよく使用しています。今回使用しているのは21枚取り。粉量290gの発酵容器としてはもう少し底面が小さいものでもいいかもしれないです。素敵な代用品があったら教えてください。

スケール

パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。