少しのイーストとはちみつで作る【ラウゲン・シュタンゲ】の作り方。
ラウゲン・シュタンゲとは?
アルカリ性の水溶液、ラウゲン液に浸してから焼き上げるドイツの食事パンです。プレッツェルの生地を細長い棒状にして焼き上げます。「stange / シュタンゲ」には「棒」という意味があるようです。シュタンゲは棒状のパンですが、成形の仕方は色々あるみたい。艶のある焼き色とクープのコントラストが綺麗なパンです。
プレッツェルの成形違いのパンなんですが、前回とは配合を少し変えています。しっかり発酵をとって、クラムはもちもちムギュッとした食感を目指します。
ちなみにラウゲンはアルカリ水溶液のことです。「Laugenstange / ラウゲン・シュタンゲ」はプレッツェルの棒状のパン。「Laugenbrötchen / ラウゲン・ブロートヒェン」はプレッツェルの小さめのパン。つまり今回のはラウゲンシュタンゲですが、成形を変えればラウゲンブロートヒェンになります。
本当は名前はなんでも良くて、小さいパンの方がもちもちむぎゅっとなりますし、大きい方がふわっとなりやすいような気がします。お好みで大きさを変えてみてください。
私はラウゲン・プレッツェルよりも、実はこっちの方が好き。カスクルートのように水平に切ってサンドイッチとして食べられることが多いみたいですが、私は断然ホットドッグ派です!
木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。
■YouTube
■材料
—-4個分
パン生地
・強力粉 158g(70%)
・薄力粉 67g(30%)
・スキムミルク 23g(10%)
・水 130g(58%)
・はちみつ 11g(5%)
・インスタントドライイースト 0.9g(–)
・塩 4g(1.8%)
・ラード(ショートニング) 16g(7%)
ラウゲン液
・お湯 1500ml
・重曹 50g
焼成
予熱230℃
焼成190℃で15〜18分
インスタントドライイーストはサフ赤です。
オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。
米サワー(酒種)酵母液を使用するレシピ
・強力粉 158g(70%)
・薄力粉 67g(30%)
・スキムミルク 23g(10%)
・水 130g(58%) 105g(47%)
・酵母液 34g(15%)
・はちみつ 11g(5%)・インスタントドライイースト 0.9g(–)
・塩 4g(1.8%)
・ラード(ショートニング) 16g(7%)
元のレシピも少なめのイーストでオーバーナイト発酵をとるレシピなので、自家製酵母で作る工程とほぼ同じ工程で作ることができます。
麹の酵母を使用する場合は、生地がゆるんだり溶けたりしやすいので、室温、発酵温度は28〜30℃以下で作ってください。
■作り方
フローチャート
パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。
計量・下準備(5分)
↓
ミキシング(3分)
↓
オートリーズ(30分)
↓
塩追加+ミキシング(8分)
↓
油脂追加+ミキシング(8分)
↓
予備発酵(フロアタイム/一次発酵)
↓
オーバーナイト発酵
↓
復温
↓
分割・丸め直し(1分)
↓
ベンチタイム(20分)
↓
成形(5分)
↓
最終発酵(ホイロ/二次発酵)(30分)
↓
ケトリング(2分)
↓
仕上げクープ・岩塩(1分)
↓
焼成(15分)
ラウゲン・シュタンゲの生地管理
こねあげ温度
25〜27℃
予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
25〜28℃、湿度70%以上、40分前後
最終発酵(二次発酵/ホイロ)
28℃前後、乾燥させすぎないようにして、30分以内
あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。
■工程
上記のフローチャートに沿って、具体的な工程やポイントを確認しながらパンを焼いていきます。
下準備
イースト液の準備をします

水、はちみつ、インスタントドライイーストを合わせてよく混ぜます。
水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。
粉類の準備をします

強力粉と薄力粉、スキムミルクを合わせてよく混ぜます。
スキムミルクはたいへんダマになりやすいので、必ずよく混ぜてください。
1

粉類にイースト液を加え、ひとかたまりになるまで混ぜます。粉っぽさがなくなるまで混ぜたら、生地を30分ほど休ませます。(オートリーズ)
オートリーズ
粉に水分を十分に吸わせ、小麦粉の中のグルテンをある程度育てて、生地の伸びをよくするのに役立ちます。こねの時間を短縮できたり、生地への負荷を減らすことにもなります。

2

塩を加えてこねます。
塩
本来は少しこねたのちに塩を加えるのが理想です。塩を加えると生地が締まりますし、粉の水和やグルテンの形成を邪魔するようです。その前にしっかりとこねて生地を育てておきたいものです。ただ、ここではオートリーズを充分にとっていますし、家庭製パンではそこまでデリケートに考える必要はないと思うので、手順を1つ減らすつもりで、ここで塩を加えています。
ここで塩の粒が消えるまで丁寧にこねてください。

加水が70%以下なので少しこねにくい生地です。体重を乗せるようにしてこねてください。こねの後半になったら、生地の表面を荒らさないように気をつけます。生地を何度も畳むようにしてこねると荒れにくいと思います。緩やかに生地の表面がつるんと整ってきます。
3

ラードを加えてこねます。
本場のレシピはラードを使用するようです。バターでない理由はおそらくさっくりとした口当たりの軽さのためだと思うのですが(ちょっとこの辺りが曖昧ですが)、なければショートニング、それもなければバターをご使用ください。
油脂をグルテンの隙間に均等に入れこむのには少し時間がかかります。繋がってきたグルテンはちぎると傷んでしまうので、無理に伸ばしすぎてちぎったりしないように心がけます。その際、生地をある程度細かく切って揉み込むと油脂が入りやすいです。
可塑性のある油脂も、液体油脂も同様です。液体油脂の方が少し入りにくいですが、10%未満の配合量で手ごねの場合はきちんと入りますので、丁寧に揉みこんで吸収させてあげてください。

生地が油脂を満遍なく吸って、はじめツルツルして台離れの良かった状態から、再びしっとりと手のひらやこね台にはりつくような感触になったら、こねあがりです。
こねあげ温度
25〜27℃
4

生地がおおよそ1.8倍になるまで予備発酵(1次発酵)させます。
温度25〜28℃/湿度70%以上
40分前後
予備発酵(一次発酵)
オーバーナイト発酵の前に、イーストを活性化させてあげるイメージです。冷蔵庫に入れる前に、しっかりと生地を育てておきます。
5

平たい容器に広げてラップを密着させて、オーバーナイト発酵させます。
オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。
野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。
発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探すトライアンドエラーが、オーバーナイト発酵と付き合っていくためには必要かもしれません。
6

生地を復温させます。生地温度が戻り、サイズもおよそ2倍になるまで室温で様子をみます。
慣れていらっしゃる方は、生地をこね台に出して復温させてあげてください。この場合は乾燥に気をつけてください。
復温
生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。
生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍近くまで膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。
7

4分割して、丸め直します。その後、乾燥を防ぐために濡れ布巾などで覆って、生地を20分、休ませます(ベンチタイム)。
ベンチタイム
生地は力を加えると締まります。締まった生地を無理に成形すると傷んでしまうので、生地を休めて緩めてあげるためにベンチタイムをとります。成形が簡単な場合は20分ほどでも充分ですし、成形が複雑で生地に負担をかけやすい場合は30分しっかりと休めてください。今回は簡単な成形なので、ここでのベンチタイムは短く設定しています。
8

成形します。


9

30分、最終発酵させます。
生地がゆるんで、ひと回りふっくらする程度で大丈夫です。ここでしっかりと発酵をとってしまうと、この後のケトリングで生地が縮むというか、ハリがなくなってしまうことがあります。
温度28℃前後/湿度はあまり気にせず
目安30分以内
10

ひとつひとつ、ラウゲン液にくぐらせます。

15〜30秒を目安に引き上げます。
ラウゲン液は水1500mlと重曹50gで作ります。水を軽くグラグラする程度に沸かしたら、重曹を静かにいれます。良く溶かして、生地をくぐらせます。重曹を溶かす際には火傷や吹きこぼれにご注意ください。
11

仕上げに、クープを引いて、岩塩を散らします。
12
焼成します。


■ラウゲン・シュタンゲ
ラウゲン・シュタンゲとは?
アルカリ性の水溶液、ラウゲン液に浸してから焼き上げるドイツの食事パンです。プレッツェルの生地を細長い棒状にして焼き上げます。
「stange / シュタンゲ」には「棒」という意味があるようです。シュタンゲは棒状のパンですが、成形の仕方は色々あります。クレセント成形したものを真直ぐな棒状に伸ばして焼いたり、今回のようにバゲットと同じように成形したりなどなど。
クープも、今回は飾りクープのように切り込みを入れましたが、バゲットと同じようにクープを入れて仕上げたものもよく見かけます。いずれにしても艶のある焼き色とクープのコントラストが綺麗なパンです。

ラウゲン液は、ご家庭では重曹で充分だと思います。色も艶もきれいに出ます。ちょっとだけ薄めですが。
ラウゲン液のケトリング(そもそもケトリングではないんですが)の温度についてはいろんな見解があって、私はベーグルのように(軽く沸いたお湯で)行っていますが、本来は煮る必要がないみたい。ただ、完全に冷めた重曹液でやってみたら、うまく色づきませんでした。ご参考までに。
ラウゲン・シュタンゲとラウゲン・ブロートヒェン
「Laugenstange / ラウゲン・シュタンゲ」はプレッツェルの棒状のパン。「Laugenbrötchen / ラウゲン・ブロートヒェン」はプレッツェルの小さめのパン。つまり今回のはラウゲンシュタンゲですが、成形を変えればラウゲンブロートヒェンになります。
本当は名前はなんでも良くて、小さいパンの方がもちもちむぎゅっとなりますし、大きい方がふわっとなりやすいような気がします。生地量はお好みで変えてみてください。
今回のラウゲンシュタンゲは100gに分割して成形しているのですが、私は80gくらいの食感が好みです。もしよかったら粉量180gで仕込んでみてください。ただかなり丸っこくなってしまうので、「ホットドッグとしてはどうかなー」ということで、今回はサイズを上げてみました。

■いつもの決まりごと
オーバーナイト法の生地
冷蔵庫から出したての生地はきちんと発酵していても冷たいままです。そのまま乾燥を防ぎながら、10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、さらに生地が期待する大きさに膨らんでくるのを待ちます。これが復温です。
このとき、発酵に利用した容器のまま復温させる場合は、生地の見極めがしやすいです。温度は測ってチェックできますし、大きさは膨らみを目視できます。ただ、この場合、容器が冷たいままですし、生地も広がっていないので復温に時間がかかるとともに、生地の発酵状態にムラが出やすいです。
慣れてきたら、生地をこね台に出して復温させてみてください。優しくパンチを入れて新しい呼吸を促してあげるとともに、そのまま乾燥を防ぎながら10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、また全体的にふっくらとしてくるのを待ちます。発酵倍率を確認しにくいんですが、何度か作って慣れてみてください。
オーバーナイト発酵で生地がうまく膨らまない場合
冷蔵庫内の温度が低すぎたり、予備発酵(一次発酵・フロアタイム)が短すぎたりして、生地が充分に膨らんでいなかった場合は、この復温の工程で発酵具合を調節します。
復温時間は室温にもよりますが、1〜2時間ほどかかることもあります。だから早めに生地を冷蔵庫から出して、その間は別の家事を……というように、ご自身の日常生活のもろもろのお仕事と平行でパン作りを行うのがベストです。
オーバーナイト法の利点は、ある程度の「ほったらかし」が許されるところです。

■食材
強力粉
このレシピではスーパーノヴァを使用しています。国産小麦にこだわりのある方にはキタノカオリをおすすめします。美味しいですよ。
薄力粉
ドルチェです。いつもこれ。
インスタントドライイースト
こちらは冷凍して保存しています。特に凍って固まったりしないので、そのまま必要量だけすくいだして使います。
ショートニング
ラードはママパンさんで購入しています。アマゾンではリンクがないので、愛用しているショートニングを載せておきますね。
■道具
ボウル
こねるときはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。
野田琺瑯のバット
オーバーナイト発酵で使用しているのは野田琺瑯のバットです。私が使用しているのはアイボリーです。ホワイトシリーズのリンクが見つかったので、そちらを載せておきますね。
上からキャビネサイズ、21枚取りサイズ、15枚取りサイズです。よく使用しているサイズは21枚取りです。
スケール
パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。

