初心者さんOK!【カンパーニュ・カマンベール】

本当に簡単だからぜひぜひ手作りしてみて。オーバーナイト発酵で焼く全粒粉の【カンパーニュ・カマンベール】の作り方。

カンパーニュとは?

フランス生まれの田舎パンです。日本では丸い形にうずまき模様のものをよく見かけるかもしれません。でも本当はもっと幅広く、いろんな形のものがあります。別名は「パン・グランメール」。おばあちゃんのパンという意味だそうです。かつてはパリ近郊の地域の人々が作り、パリに住む人々が買う、という歴史がありました。それぞれの家の自家製酵母でゆっくりと発酵させて作っていたそうですよ。素朴な味わいなのに粉の風味がしっかり活きており、毎日食べても食べ飽きないおいしいパンです。

型がなくても、特別な材料がなくても、時間さえかければ誰でも美味しく作れます。親子で、兄弟姉妹で、夫婦で。大事な人たちとお家時間を楽しんでください。パンづくりはぴったりのファンだと思う。

木琴堂チャンネルでは長野県【安曇野養蜂苑】のアカシアはちみつを使用しています。

■YouTube

■材料(%)
——18cm 丸型

・準強力粉 136g(80)
・全粒粉 34g(20)
・塩 3g(1.8)
・ルヴァンリキッド 34g(20)
・水 102g(60)
・はちみつ 3.4g(2)
・ドライイースト 0.6g(–)

・カマンベールチーズ

焼成
予熱300℃
生地をオーブンに入れたら5分間まつ
焼成250℃で25〜30分

インスタントドライイーストはサフ赤です。

焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。

ルヴァンリキッドを加えない場合

・準強力粉 136g(80)
・全粒粉 34g(20)
・塩 3g(1.8)
・ルヴァンリキッド 34g(20)
・水 102g(60)119g(70)
・はちみつ 3.4g(2)
・ドライイースト 0.6g(–)

工程も分量も大きな変更はありません。発酵具合など多少変わってくるかもしれませんが、生地の状態を見て判断してください。

■作り方

下準備

・水、はちみつ、ドライイーストをよく溶かしてイースト液を作ります
・粉類と塩を合わせてよく混ぜておきます

水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。

準強力粉
準強力粉はバゲットなどのハードパンを焼くのに適した小麦粉です。最近では様々な種類の粉が、割と手に入りやすくなってきているので、可能であればご用意ください。なければ強力粉8:薄力粉2(あるいは7:3)で代用します。今回の撮影では、準強力粉E65を使用しています。

1

粉類が入ったボウルの中身を片側によせて、反対側にルヴァンリキッドを入れます。ルヴァンリキッドめがけてイースト液を注ぎます。ルヴァンリキッドをよく溶かしてから、全体を軽く混ぜます。

2

粉っぽさがなくなったら、ボウルの中でこねます。初めは生地の伸びが悪いので、ボウルの中に生地を落として(軽く叩くようにして)、生地を伸ばして折りたたみます。3分ほどこの作業を繰り返してから、ラップなどで覆ってそのまま20分寝かせます。

こね方
特に何も考えず、(生地がかたすぎる場合は軽く叩いて)伸ばして折りたたみます。はじめに3分、その後はボウル1周分、この作業をくりかえして生地を鍛えます。テクニックとかはないので、お子さまや初心者の旦那さまとも楽しめます。お家時間を自家製パンで楽しんてみてください。

3

20分後には生地の伸びはだいぶよくなっているはずです。ボウルの際から生地の一端を持ち上げて伸ばし、ボウルの中央に向かって折りたたみます。この折りたたみの作業をボウルに沿って1周ほど行います。ラップなどで覆ってそのまま30分寝かせます。

4

30分後、ボウルの際から生地の一端を持ち上げて伸ばし、ボウルの中央に向かって折りたたみます。この折りたたみの作業をボウルに沿って1周ほど行います。生地の表面がつるんとしてキメが整ってきます。ラップなどで覆ってそのまま30分寝かせます。

5

30分後、ボウルの際から生地の一端を持ち上げて伸ばし、ボウルの中央に向かって折りたたみます。この折りたたみの作業をボウルに沿って1周ほど行います。ラップなどで覆ってそのまま生地が1.5倍になるまで発酵させます。

6

生地が1.5倍になったら、オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)に持ち込みます。その際は熱伝導性の高い容器に、生地をなるべく平たくして置き、密着ラップをして保存します。生地を冷蔵庫などの涼しい場所で18時間〜24時間熟成させてから、次の工程に入ります。

7

生地をこね台に出し、生地温度を約15℃に戻します。冷蔵発酵中に生地が2倍まで膨らみ切ってしまった場合は、温度が低めでも成型に入ります。

生地を麺棒などで伸ばして軽く広げます。そこに一口大にカットしたカマンベールチーズを散らします。手前から巻いていきます。巻き終わったら生地を縦に置いて、手前と奥からそれぞれ半分まで折ります。その折り込み部分をさらに内側に折りこむようにして、生地を前後半分に折りたたみ、しっかりと綴じます。

8

丸く形を整えて、発酵カゴ(今回はボウルに布巾を敷いて代用しました)に綴じ目を上にして入れます。そのまま生地が1.5倍になるまで最終発酵をとります。

発酵カゴ
バヌトンでなくても大丈夫です。今回はボウルに布巾を敷いて使用しています。このとき、粉はたっぷりとふってくださいね。動画でもたっぷりふっています。

9

生地が1.5倍に膨らんだら、生地をひっくり返して発酵カゴから出します。

軽く全粒粉をふりかけ、好みのクープを入れます。霧吹きで全体を湿らせてから焼成します。

■ポイントとコツ

ルヴァンリキッドとは

「Levain」ルヴァンというのはフランス語で発酵種、酵母のこと。主にライ麦などの野生酵母を育てて、リキッドや元種として、パンを焼くのに利用するものです。イーストのような単一酵母ではなく複合酵母なので、各家庭やお店ごとに風味が異なります。

バゲットやフォカッチャのように副材料の少ないリーンな生地の場合は、発酵種を加えたり、低温長時間発酵で小麦の芳香を深めてあげることで生まれ変わったようにおいしくなります。お試しください。

オーバーナイト発酵の基本の流れ

オーバーナイト発酵では、予備発酵(初日の発酵)ののち、生地に密着ラップをしてポリシートなどでくるんで冷蔵庫に入れます。今回は生地の膨らみが1.5倍になるのを目安に冷蔵庫に入れました。

このとき、生地は平たく伸ばして、熱伝導性の高い容器(ここでは野田琺瑯のバットを使用しています)に入れます。これは生地をすぐに芯まで冷やすことで発酵速度を緩やかにするためです。丸め直したまま冷やすと、中心部が冷えるのに時間がかかり、表面と中心とで発酵速度にムラが出やすいです。

オーバーナイト発酵では、予備発酵での時間を調節することで、冷蔵発酵の時間を調整することができます。発酵速度は温度、湿度、酵母の量、酸素の量、生地のハイドレーションや酸度などによって左右されます。それらの全てを完璧に調整することはなかなか難しいので、幾度か作ってみて、家庭で簡単に調節できそうな部分で調節してあげることが、低温長時間発酵とうまく付き合っていくコツだと思います。

今回はオーバーナイト発酵として18時間の熟成期間をとっています。生地の状態を見ながら、18時間から24時間、寝かせてみてください。

オーバーナイト発酵後の基本の流れ

生地をこね台に出し、生地温度が15℃に戻るまで待ちます。均一にムラなく復温したいので、ある程度は生地を薄く広げます。乾燥させないようにポリシートなどで覆って復温させます。

このとき、冷蔵発酵中にすでに生地が2倍に膨らんでいる場合は、復温の時間はとらずに丸め直し(今回は省いています)、あるいは成型に入ってください。

焼成

家庭のコンベクションオーブンでクープを開かせるのは難しいですよね……。私は銅板や小石は使っていないので、一応、どなたでもすぐにできる工夫だけ、書き留めておきます。パンは、基本的には250℃で25〜30分焼成することで美味しく仕上がります。スチーム機能がある場合は焼成のはじめ5〜10分だけ加湿してください。

1
オーブン庫内の上段と下段の両方に天板を入れて、庫内の底面にバットを置いて予熱する
(オーブンは最高温度で予熱してください)
(下の天板は逆向き・そこにオーブンシートごと生地をのせるので)

2
予熱完了後、手早く天板に生地を移したら霧吹きで生地のまわりを湿らせる
(水蒸気がたくさんあがるので火傷に注意してください)

3
庫内のバットに熱湯を(100cc強ほど)注ぎ、庫内にも満遍なく霧吹きをしてから、生地を庫内へ

4
そのまま庫内で5分放置してから焼成スタート

5
250℃で10分の焼成が終わったら、上段の天板を取り出し、下段の天板の前後を(生地の手前と奥を)入れ替えてから、15〜20分焼成する

*オーブン
ご家庭のオーブンの癖に合わせて温度や時間を調整してください