バゲットで作るチョコレートラスクの作り方。バゲットから手作りです。オーバーナイト発酵で焼きますよ。
バゲットはパン屋さんで購入したものでももちろん大丈夫です。
チョコレートラスクは簡単な上に大量生産が可能なお手軽レシピです。バレンタインの友チョコにももってこいです。ぜひ作ってみてください。
家庭で焼くバゲットについては、生涯を通して発展途上かもしれないと頭を抱えるくらいに悩みどころの多いパンですが、今のお気に入りを記録しました。こちらもぜひ作ってみてくださいね!
*
今回はかなり長めです>_<。少しでも見やすくなるように写真は随時、追加していく予定です。よろしくお付き合いくださいませ。
バゲットのラスクの作り方
材料
ミニバゲット(%)
2本分
・準強力粉 150g(100)
・塩 3g(2)
・ルヴァンリキッド 30g(20)
・水 90g(60)
・はちみつ 3g(2)
・ドライイースト 0.3g(0.2)
*予熱
300℃(スチーム有り)
*焼成
300℃で7分(スチーム有り)
230℃で5分(スチーム無し)
210℃で10分(スチーム無し)
オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

チョコレートラスク
・チョコレート 80g
・牛乳 80g
*予熱
150℃
*焼成
150℃で25〜30分
オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

フレーバーチョコレートラスク
・発酵バター
・はちみつ
お好みの分量をご用意ください
・ホワイトチョコレート 40g
・ココナッツオイル 4g
・ストロベリーチョコレート 40g
・ココナッツオイル 4g
*予熱
150℃
*焼成
150℃で15〜20分
オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

作り方
バゲット
1
はじめに粉、塩をボウルに入れ、よく混ぜます。粉類をボウルの片側によせて、反対側にルヴァンリキッドを入れます。

水、はちみつ、ドライイーストを溶かしてイースト液を作ります。

粉類の入ったボウルのルヴァンリキッドめがけてイースト液を注ぎます。

ルヴァンリキッドをよく溶かしてから、全体を軽く混ぜます。

粉っぽさがなくなったら、ラップなどで覆ってそのまま15分寝かせます。
2
15分後、ボウルの際から生地の一端を持ち上げて伸ばし、ボウルの中央に向かって折りたたみます。

この折りたたみの作業をボウルに沿って2周ほど行います。生地の弾力がだんだんと強くなり、伸びにくくなります。ラップなどで覆ってそのまま15分寝かせます。
3
15分後、ボウルの際から生地の一端を持ち上げて伸ばし、ボウルの中央に向かって折りたたみます。この折りたたみの作業をボウルに沿って2周ほど行います。生地の表面がつるんとしてキメが整ってきます。ラップなどで覆ってそのまま20分寝かせます。
4
20分後、生地を縦と横にそれぞれ三つ折りにします。両手でやさしく持ち上げて、生地の上に生地を重ねるようにして折りたたんでいきます。三つ折りが2回終わったら、ラップなどで覆ってそのまま20分寝かせます。

5
20分後、生地を縦と横にそれぞれ三つ折りにします。両手でやさしく持ち上げて、生地の上に生地を重ねるようにして折りたたんでいきます。三つ折りが2回終わったら、生地をオーバーナイト発酵(低温長時間発酵)に持ち込みます。

その際は熱伝導性の高い容器に、生地をなるべく平たくして置き、密着ラップをして保存します。生地を冷蔵庫などの涼しい場所で24時間以上熟成させてから、次の工程に入ります。
6
生地をこね台に出し、生地温度を10℃に戻します。

生地を2分割して、それぞれ手前から奥に向かって2回折り、表面を張らせるようにして形を整えます。




30分ほどベンチタイムをとります。

7
30分後、成形し、パンマットでガイドを取りながら常温で最終発酵をとります。発酵後は、焼成の直前に生地表面にクープを入れ、生地全体とオーブン庫内に水を霧吹きし、焼成します。

チョコレートラスク
1
バゲットを1cm幅にスライスし、充分に乾燥させます。乾燥が足りない場合は150℃で15分ほど焼いておきます。
2
牛乳を温め、チョコレートを加えて溶かします。

そこにバゲットを入れてチョコレート液を染み込ませます。

3
オーブンシートに並べて焼成します。

焼成後はオーブン庫内で冷まし、乾燥させます。
フレーバーチョコレートラスク
1
発酵バターとはちみつを合わせてよく混ぜ、はちみつバターを作ります。

バゲットにはちみつバターを塗り、オーブンシートに並べて焼成します。

焼成後はオーブン庫内で冷まし、乾燥させます。

2
ココナッツオイルとチョコレートを溶かします。




はちみつバターラスクをチョコレート液にくぐらせて冷やし、固めます。


ポイントとコツ
仕込み水の温度
サフのドライイーストは、イーストを溶かす液体の温度が低すぎると働きが鈍くなります。室温に合わせて、仕込み水の温度を20℃〜35℃くらいで調整してください。

使用する粉について
準強力粉はバゲットなどのハードパンを焼くのに適した小麦粉です。最近では様々な種類の粉が割と手に入りやすくなってきているので、可能であればご用意ください。なければ強力粉8:薄力粉2(あるいは7:3)で代用します。
今回の撮影では、準強力粉E65と国産薄力粉を7:3で配合しています。
パン生地はこねが軽ければ軽いほど粉の風味がダイレクトに出るのだそうです。バゲットやカンパーニュなど、副材料が少なく、生地そのものの旨味を味わうパンは、こねの作業を可能な限り軽く仕上げます。粉の風味や色を大切にするということみたいです。そこで粉にこだわるわけですね。もちろん塩やはちみつ(モルトシロップの代用として)、水にこだわることも大切かもしれません。できる範囲でこだわってみてください。
水と塩
今回は加水量はトータルでおおよそ72%弱です。ルヴァンリキッドが入っているので少しべたっとするかもしれませんが、割と成型しやすい生地になっているかと思います。ただ、私は生地を鍛える作業の中で水をたっぷり使っています。バシナージュ法とはちょっと違うのですが、この段階で、木琴堂の生地は加水量以上に水を吸っています。もし粉の吸水が思う通りにならずに生地がベタつく場合は、塩を3.2gに増やしてみてください。水の一部(20gほど)を硬水に変えてみるのもいいかもしれません。
ルヴァンリキッドとは
「Levain」ルヴァンというのはフランス語で発酵種、酵母のこと。主にライ麦などの野生酵母を育てて、リキッドや元種として、パンを焼くのに利用するものです。イーストのような単一酵母ではなく複合酵母なので、各家庭やお店ごとに風味が異なります。それによって仕上がりのパンの風味も各家庭、各お店で全く違うものになるので、大変面白いです。ルヴァンリキッドはパン屋さんやおうちパン職人さんの顔になっていたりします。
ルヴァンリキッドはルヴァンの中でも配合する水分を多めにした液体状の発酵種のことです。私が育てているのは、ライ麦から立ちあげたライ麦ルヴァンリキッドTA210(粉量に対して水分量110%のもの)です。水種とも呼ばれます。対して水の配合量が少ないものをルヴァンデュールと呼んで区別するようです。
ルヴァン種は定期的に種つぎ(育てている発酵種に新たな粉と水を追加して発酵種の中の酵母や乳酸菌が継続的に働くことができる環境を整えてあげること)をして、いい状態に保ち続ける必要があります。そうして育てた生地は乳酸菌優勢のものなので、発酵力はそれほど強くありません。発酵の力はイーストで補ってあげるといいと思います。
バゲットやフォカッチャのように副材料の少ないリーンな生地の場合は、発酵種を加えたり、低温長時間発酵で小麦の芳香を深めてあげることで生まれ変わったようにおいしくなります。お試しください。

バゲットのこね方(私の場合)
粉の風味を深く感じたい生地の場合はあまりこねません。バゲットはまさにそんな生地です。このレシピではさらに発酵種で複雑な風味を追加して、小麦の旨味を味わいます。
今回はオートリーズも短めにしてみました。15分寝かせてからこね始めます。1回目のこねは10回くらいの叩きごねで代用してもいいと思います。とにかく生地をよーく伸ばしてたたみます。こねすぎを防ぐために、今回はボウルの中でこねています。1回目も2回目も、生地の伸びが悪くなったらこねあがりということで次の工程に移行してください。

3回目、4回目のこねは、カンパーニュのときでもおなじみの生地を鍛える作業です。できるだけ触りたくない生地なのですが、仕上がるパンの香りや内層の口溶けのために生地を鍛える作業を入れています。この口どけはリーンな生地の美味しさの第二のポイントです。グルテンをある程度柔軟にして、香りをたくさん閉じ込めてあげることができる生地を作ります。この作業で生地にたくさんの気泡が入り、さらにこねすぎないようにして作った壊れやすいグルテン膜が、焼成中に所々で破けて、焼き上がりの内層が、大小の気泡がポコポコ入った軽い口どけのものになるのですね。

折りたたみ作業のやり方はたくさんあります。これは一例です。生地の上下(あるいは左右)をやさしく伸ばして上にたたんでいく方法ですね。逆でもまったく問題ありません(カンパーニュのときのこね方がこれですね!)。他にも生地を作る初期の段階で、生地を薄ーく伸ばしてたたんでいく方法(ラミネーション)なんかもあります。いずれの場合も、お水をたっぷり使ってあげてください。くりかえしの折りたたみ作業でも生地が傷みません。
オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵では、予備発酵(初日の発酵)ののち、生地に密着ラップをしてポリシートなどでくるんで冷蔵庫に入れます。今回は4回目の折りたたみ作業ののちに冷蔵庫に入れました。このとき、生地は平たく伸ばして、熱伝導性の高い容器(ここでは野田琺瑯のバットを使用しています)に入れます。これは生地をすぐに芯まで冷やすことで発酵速度を緩やかにするためです。丸め直したまま冷やすと、中心部が冷えるのに時間がかかり、表面と中心とで発酵速度にムラが出やすいです。
オーバーナイト発酵では、予備発酵での時間を調節することで、冷蔵発酵の時間を調整することができます。発酵速度は温度、湿度、酵母の量、酸素の量、生地のハイドレーションや酸度などによって左右されます。それらの全てを完璧に調整することはなかなか難しいので、幾度か作ってみて、家庭で簡単に調節できそうな部分で調節してあげることが、低温長時間発酵とうまく付き合っていくコツだと思います。
今回はオーバーナイト発酵として24時間の熟成期間をとっています。24時間以上寝かせてみてください。バゲットの内層が変わってくると思います。
オーバーナイト発酵後
生地をこね台に出し、生地温度が10℃に戻るまで待ちます。ガスは抜きません。小麦の香りを大切にする生地ですし、せっかくの気泡をあまり逃したくないですから。ただ均一にムラなく復温したいので、ある程度は生地を薄く広げます。乾燥させないようにポリシートなどで覆って復温させます。
今回はバゲットなので、生地温度はなるべく低めを心がけます。10℃に戻ったらすぐ分割し、表面を張らせるように手前から奥へと折りたたみます。ここでベンチタイムをとります。しっかり30分、休ませています。その後、成型し、最終発酵をとります。
成型
手前から奥に1/3折り、奥から手前に1/3折ります。



最後にそのとじめを内側に押し込むようにして、奥から生地を手前に持ってきます。奥の生地を上にかぶせて、かぶせた生地の端をパンマットに押し付けて綴じる感じです。


そうすると勝手に生地の表面が張ると思います。私もまだまだ下手くそですが、もしよかったら動画をご覧ください。

焼成
今回はコンベクションオーブンのスチーム機能を使って焼いてみました。なので設定が小刻みです。ちょっと手間はかかりますが、クープとある程度の気泡はおさえられると思います。うちの子はパナソニックのビストロです。ビストロをお持ちの方はお試しください。
私は銅板や小石は使っていないので、一応、どなたでもすぐにできる工夫だけ、こちらに書き留めておきますね。ここではプラスアルファでできる工夫を記しています。基本的には250℃で20〜25分焼成することでパンは美味しく仕上がります。
1
オーブンを最高温度で予熱する(私のオーブンは300℃です)。このとき、オーブンの上段と下段の両方に天板を入れて、下段の天板に耐熱容器(バットなど)を置いておく。(下の天板は逆向き・そこにオーブンシートごと生地をのせるため)
2
予熱完了後、時間があるようであれば、スチームを入れながら300℃で空焚きを10分ほどしておくとより良い。生地をオーブンに入れる準備ができたら、オーブン下段の耐熱容器に100ccほどの熱湯を注ぐ。(水蒸気がたくさんあがるので火傷に注意してください)
水が入った容器を天板の奥に押しこみ、天板の手前にバゲット生地をオーブンペーパーごと滑り込ませる。庫内全体に手早く霧吹きする。
3
300℃/スチーム有りで7分焼成する。(この間にクープが開き、生地が縦に伸びると思います)
4
上段の天板を外し、水の入った容器を取り除いて(水は残っていないと思いますが邪魔なので)250℃/スチームなしで5分焼成する。
5
210℃/スチームなしで10分の焼成する。
焼成率は測っていないのですが、これで動画のようなパチパチ音が聞こえるかと思います。
*
オーブンご家庭のオーブンの癖に合わせて温度や時間を調整してください
パンマット
ご家庭でバゲット作りに挑戦される方は、パンマットは用意された方がいいかと思います。生地の水分をちょうど良く抜いて(あるいは保って)くれますし、加水量の多い生地でも、成型後の形がだれませんし。

私はキャンバス生地を適当な大きさで裁断して、四方をかがって手作りしています。粉を払って洗濯もします(洗剤や柔軟剤の香りだけ気をつけてくださいね)。目が詰まるのでやめたほうが良いという方もいらしゃるのですが、洗ったほうが心の健康にいいので、4枚を洗い替えで使っています。
クープと気泡の考察
バゲット作りはいつだって発展途上なので、決して正解ではないのですが、現時点で考察して気づいたことを記しておきます(2020.1.31)。ほぼ独り言ですが、改善点などご指南くださる方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。よろしくお願いします>_<
クープを開かせ、エッジを立たせるには
・加水量65〜70%くらいの生地の方がよく開く
・生地の丸め直しと成型時に生地の表面をしっかりと張らせる
・ホイロは常温25℃で、乾燥気味に
・生地の表面を張らせた時に、より負荷がかかる側にクープを入れる
・コンベクションの風を直接当てない
・十分に蒸気を入れる
・必ずオーブンは最高温度で
・はじめの5分〜7分が勝負!勝負が終わったら水蒸気なしで乾燥焼き
大小のコポコポの気泡を入れるには
・こねすぎなければある程度はこねてもOK(小麦の香りを飛ばさないためにはこねない方が良いけれど)
・酵母はイーストよりも自家製の複合酵母の方が気泡が入りやすい(体感)
・生地の折りたたみをしっかりとする(薄く伸ばして重ねるラミネーションのイメージで)
・生地の熟成時間を長く取る(少なくとも18時間以上)
・熟成後、生地温度は低めを意識する
・成型時に気泡を抜かない
・ホイロは常温25℃で
・必ずオーブンは最高温度で、一緒に天板を熱しておく
・はじめの5分〜7分の下火が勝負!(冷たい生地がひと息に熱されて、この間に気泡が上に向かって膨らみ、グルテン膜が破けたり破けなかったりして大小の気泡ができる)
課題
クープが引きつる。乾燥させてもダメ、カンパーニュなどは全く引きつらないのに。どうしたらいいの。
