オーバーナイト発酵で焼く【プレーンベーグル】の作り方。
ベーグルとは?
かつてユダヤ人が日曜日の朝食に食べていた歴史の深いパン。ヨーロッパで生まれ、その後アメリカに持ち込まれました。今ではニューヨークで愛され親しまれて、朝食やブランチの定番になっています。日本でも食卓の定番になりつつあるベーグル。独特のもっちもちの食感とサンドイッチにぴったりのシンプルな生地の美味しさが、長く愛されるポイントでしょうか。
作り方は手順をたどるだけ、ベーグルはとてもシンプルで作りやすいパンです。生地はベタつきもなくこねやすいですし、本来は一次発酵も必要ないのでとっても簡単。本ごねも5分ほどで表面がつるんとしてきます。初心者さんに特におすすめのパンです。
木琴堂では、あえてオーバーナイト発酵で生地を熟成させています。小麦の旨味が深まりますし、予備発酵をとらないので食感は、もちもち、むぎゅむぎゅ。ベーグルのシンプルな美味しさをお楽しみください。
■基本のベーグルの作り方
■材料
—-4個分
・強力粉 250g(100)
・ドライイースト 1g(–)
・はちみつ 15g(6)
・水 150g(60)
・塩 5g(2)
*焼成
予熱200℃
焼成180℃で18〜20分
インスタントドライイーストはサフ赤です。
オーブンの癖等で焼成温度や時間はかなり変わってきますので、それぞれ調整してください。

■作り方
フローチャート
パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。
計量・下準備(5分)
↓
ミキシング(1分)
↓
オートリーズ(30分)
↓
塩入れ・ニーディング(5分)
↓
オーバーナイト発酵
↓
復温
↓
分割・丸め直し(3分)
↓
ベンチタイム(30分)
↓
成形(5分)
↓
最終発酵 / 2次発酵
↓
焼成(20分)
ベーグルの生地管理
こねあげ温度
25〜27℃
予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
なし
最終発酵(二次発酵/ホイロ)
30℃、湿度70%以上、1時間前後
あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。
■工程
下準備
イースト液の準備をします

水、はちみつ、インスタントドライイーストを合わせてよく溶かします。
水温生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。
1

強力粉にイースト液を加えて混ぜます。粉気がなくなったら、30分ほど寝かせます(オートリーズ)。
オートリーズ
粉に水分を十分に吸わせ、小麦粉の中のグルテンをある程度育てて、生地の伸びをよくするのに役立ちます。こねの時間を短縮できたり、生地への負荷を減らすことにもなります。乾燥は厳禁です。生地温度が下がりやすいので、温度管理に気を配ってください。
2

塩を加えてこねます。
ベーグルの生地は加水が少ないので少し固めです。体重をのせてこねます。5分ほどで生地がまとまり、表面がつるっとしてきます。
塩
本来は少しこねたのちに塩を加えるのが理想です。塩を加えると生地が締まりますし、粉の水和やグルテンの形成を邪魔するようです。その前にしっかりとこねて生地を育てておきたいものです。ただ、ここではオートリーズを充分にとっていますし、家庭製パンではそこまでデリケートに考える必要はないと思うので、手順を1つ減らすつもりで、ここで塩を加えています。
こねあげ温度
25〜27℃
3

平たい容器に広げてラップを密着させて、オーバーナイト発酵させます。
オーバーナイト発酵
ベーグルは一次発酵をとらないレシピも多数ありますが、ここで生地をゆっくり熟成させることで、小麦の水和が進み、もっちりとした食感や小麦の旨味が追加されます。発酵倍率は特に気にせず、8〜24時間を目安に寝かせてみてください。
4
生地をこね台に出して、やさしく薄く広げ、復温させます。乾燥厳禁です。必ず固く絞った濡れ布巾などで覆って休ませてください。
復温
生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。
生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍近くまで膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。
5

生地を4分割します。それぞれ丸め直し、綴じ目を下にして、乾燥を防ぐために濡れ布巾などで覆って、20分〜30分のベンチタイムをとります。
ベンチタイム生地は力を加えると締まります。締まった生地を無理に成形すると傷んでしまうので、生地を休めて緩めてあげるためにベンチタイムをとります。成形が簡単な場合は20分ほどでも充分ですし、成形が複雑で生地に負担をかけやすい場合は30分しっかりと休めてください。
6


生地を成形し、ひとまわりふっくらするまで発酵させます。
温度30℃/湿度70%以上
目安1時間
その間にケトリングの準備をします。鍋でお湯をたっぷり沸かします。お湯1リットルに対してはちみつ(あるいは黒糖やきび砂糖などでも可)大さじ1を溶かします。モルトシロップの場合ははちみつの半量を目安にして加えてください。
7

オーブンの余熱が完了してからケトリングの工程に入ります。表から茹でます。表30秒、裏30秒、茹で終えたらすぐにオーブンシートに並べます。
8
焼成します。

■ベーグル
ベーグルとは?
かつてユダヤ人が日曜日の朝食に食べていた歴史の深いパン。ヨーロッパで生まれ、その後、彼らがアメリカに移住する際に、共にベーグル文化が持ち込まれました。今ではニューヨークで愛され親しまれて、朝食やブランチの定番になっています。
日本でも食卓の定番になりつつありますね。専門店もたくさんあって、成形もいろいろ。生地をまっすぐにしたままつなぐ方法やねじる方法、結んでつなぐ方法もありますし、丸い生地に穴をあけてドーナツ型にする方法もあります。どれも少しずつ食感が変わるので、お好みの成形方法を探ってみるのも楽しそうです。
独特のもっちもちの食感とサンドイッチにぴったりのシンプルな生地の美味しさが、長く愛されるポイントでしょうか。低脂肪、低カロリー、と言われていますが、バターを配合したりいろいろトッピングして焼き上げるのも楽しいので、そこまで低カロリーではないような気もしています。いちごとあんことクリームを挟んで食べるのは最高です。これはもうヘルシーなパンではないですよね……笑。
ケトリングとは?
ベーグルの独特の食感は、ケトリングをすることで生まれます。焼成の前に生地の表面を高温で固めて糊化させてしまうので、その後、生地が膨らみたくても膨らむことができずに、あの身の詰まったむぎゅむぎゅした食感が生まれるのですね。ケトリングするお湯に糖分を加えることで綺麗な焼き色がつきますし、香りもupします。本場はモルトシロップを使うのだと思うのですが、木琴堂でははちみつを使用しています。お砂糖でももちろん大丈夫です。それぞれ色づき方や香りは微妙に違いますが、それほどの違いでもないと思います。好奇心のある方は作り比べて楽しむのも一興かもしれません。
ケトリングの温度や時間については、これまでも様々な提案がされてきています。押さえておきたいポイントは、表面をしっかり糊化させてあげるということと、糊化させた厚さがクラストの厚さになるということです。強力粉のデンプンの糊化する温度は65℃-75℃くらいでしょうか。生地の加水率でも変わってくるみたいです。だからケトリングのお湯の温度は80℃以上を推奨されているのですね。
茹でる時間については、表、裏それぞれ30秒で充分だと思います。あまり長いとクラストが厚めになるので、かなり歯応えのあるベーグルになります。お好みで加減なさってください。
ケトリングは必ずオーブンの余熱が完了してからにしましょう。ケトリングしたらすぐにオーブンに入れて焼成に入ります。表面がピンと張って綺麗に仕上がりますよ。

■材料
強力粉
よく使う国産小麦は「キタノカオリ」。カナダ産は「スーパーノヴァ」。強力粉はほとんどこのうちのどちらかです。特にキタノカオリは大好きな小麦です。
インスタントドライイースト
インスタントドライイーストは、サフ赤を使用しています。
こちらは冷凍して保存しています。特に凍って固まったりしないので、そのまま必要量だけすくいだして使います。
■道具
ボウルと計量カップ
こねるときはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。
本当はHarioも気になっているけど……。
次に欲しいのはこれ。形がかっこいいです。
計量カップは今は無印良品ですが、この頃はHarioです。いずれもガラス製です。品の良い感じでメモリが付いているのでお気に入り。それにやっぱりガラスの手触りが好きです。
野田琺瑯のバット
オーバーナイト発酵で使用しているのは野田琺瑯のバット(アイボリー)です。ホワイトシリーズよりも好きです。温かみがありますよ。
よく使用しているサイズは21枚取りです。他にキャビネサイズと15枚取りを愛用しています。キャビネサイズのリンクが見つかりません。探しておきますね。
スケール
パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。
