オーバーナイト発酵で焼く「ライ麦パン」の作り方。
ライ麦は控えめに20%配合して、食べやすいミニサイズに仕上げました。中にはクリームチーズとプルーンのドライフルーツをつめます。この組み合わせは、お食事にもデザートにもなれちゃう優秀な組み合わせなのですが、もちろんアレンジは自在です。お好きなものをつめて楽しんでください。
イーストを元気にするためにはちみつを配合しています。
また、保水性をほんの少しあげるために油脂を配合していますが、こちらはお好みで全カットしていただいても大丈夫です。クラストの仕上がりが非常にクリスピーになります。一方で冷めて時間がたつと少し固くなってしまいますので、そのときはトーストして召し上がってくださいね。
クリームチーズとプルーンのライ麦パンの作り方
材料(%)
6個分
・強力粉 128g(64)
・薄力粉 32g(32)
・ライ麦粉 40g(20)
・ルヴァンリキッド 40g(20)
・水 100g(50)
・ヨーグルト 40g(20)
・はちみつ 4g(2)
・ドライイースト 0.7g(–)
・塩 4g(2)
・ショートニング 4g(2)
・クリームチーズ 120g
・ドライプルーン 6個
*焼成
予熱300℃
生地をオーブンに入れたら5分間まつ
焼成200℃で15分、180℃で10分
ingredients(%)
・128g bread flour(64)
・32g cake flour(32)
・40g rye flour(20)
・40g liquid levain(20)
・100g water(50)
・40g yogurt(20)
・4g honey(2)
・0.7g dried yeast(–)
・4g salt(2)
・4g shortening(2)
・120g cream cheese
・6 dried prune
*bake
preheat 572℉
put the dough in the oven and wait 5 min
bake 392℉/15 min, and then 356℉/10 min


ポイントとコツ
仕込み水の温度
サフのドライイーストは、イーストを溶かす液体の温度が低すぎると働きが鈍くなります。室温に合わせて、仕込み水の温度を20℃〜35℃くらいで調整してください。
ルヴァンリキッド
「Levain」ルヴァンというのはフランス語で発酵種、酵母のこと。主にライ麦などの野生酵母を育てて、リキッドや元種としてパンを焼くのに使用するものです。イーストのような単一酵母ではなく複合酵母なので、各家庭やお店ごとに風味が異なり、パン屋さんやおうちパン職人さんの顔になっていたりします。
ルヴァンリキッドはルヴァンの中でも配合する水分を多めにした液体状の発酵種です。私が育てているのは、ライ麦から立ちあげたルヴァンリキッドTA210(粉量に対して水分量110%のもの)です。水種とも呼ばれます。対して水の配合量が少ないものをルヴァンデュールと呼んで区別するようです。
ルヴァン種は定期的に種つぎ(育てている発酵種に新たな粉と水を追加して発酵種の中の酵母が継続的に働くことができる環境を整えてあげること)をして、いい状態に保ち続ける必要があります。そうして育てた生地は乳酸菌優勢のものなので、発酵力はそれほど強くありません。発酵の力はイーストで補ってあげるといいと思います。
バゲットやフォカッチャのように副材料の少ないリーンな生地の場合は、発酵種や低温長時間発酵で小麦の芳香を深めてあげることで生まれ変わったようにおいしくなります。お試しください。
予備発酵
オーバーナイト発酵(8時間以上)させる前に予備発酵の時間をとることで、オーバーナイト発酵中も発酵速度が安定します。室温、湿度にもよりますので一概には言えませんが、30分〜1時間ほど予備発酵の時間をとってあげてください。目安は生地が1.5倍ほどに膨らんでいることです。私の場合は、ここで生地に軽くパンチを入れて新しい空気を入れ、呼吸をさせてあげてから、密着ラップをしてポリシートなどでくるんで、冷蔵庫内の野菜室に入れています。
一方で、予備発酵での時間を調節することで、冷蔵発酵の時間を調整することができます。発酵速度は温度、湿度、酵母の量、酸素の量、ハイドレーションや酸度などによって左右されます。それらの全てを完璧に調整することはなかなか難しいので、幾度か作ってみて、家庭で簡単に調節できそうな部分で調節してあげることが、低温長時間発酵とうまく付き合っていくコツだと思います。
*この生地の場合
熱伝導性の高い容器(ここでは野田琺瑯のバットを使用しています)に平たく伸ばして、折りたたんでから冷蔵発酵に持ち込みます。こねる時間が短い生地なので、折りたたみを入れることで少しグルテンを鍛えます。琺瑯のバットに平たくして入れるのは、生地をすぐに芯まで冷やすことで発酵速度を緩やかにするためです。丸め直したまま冷やすと、中心部が冷えるのに時間がかかり、表面と中心とで発酵速度にムラが出やすいです。
オーバーナイト発酵後
生地に軽くパンチを入れて新しい空気を吸わせてあげます。すぐに分割し、こね台に触れている部分を張らせるようにして、少しだけ形を整えます。丸め直しまではしません。乾燥させないようにポリシートなどで覆って、ベンチタイムをとります。ここではしっかり30分、休ませています。具材を包んでしっかりと綴じ、綴じ目を下にしてオーブンシートに並べます。
焼成
家庭のコンベクションオーブンでクープを開かせるのは難しいですよね……。私は銅板や小石は使っていないので、一応、どなたでもすぐにできる工夫だけ書き留めておきます。オーブンは最高温度で予熱してください(私のオーブンは300℃です)。
1
オーブン庫内の上段と下段の両方に天板を入れて、庫内の底面にバットを置いて予熱する(下の天板は逆向き・そこにオーブンシートごと生地をのせる)
2
予熱完了後、手早く天板に生地を移したら霧吹きで生地を湿らせる(水蒸気がたくさんあがるので火傷に注意してください)
3
庫内のバットに熱湯を(100cc強ほど)注ぎ、庫内にも満遍なく霧吹きをしてから、生地を庫内へ
4
そのまま庫内で5分放置してから焼成スタート
5
200℃で15分の焼成が終わったら、上段の天板を取り出し、下段の天板の前後を(生地の手前と奥を)入れ替えてから、温度を180℃に下げて10分焼成する
*オーブン
ご家庭のオーブンの癖に合わせて、温度や時間を調整してください


