ちぎりパン作りの楽しいところは、アレンジ自在で遊べるところ。いろんなちぎりパン職人さんたちがかわいいパンとそのアイディアを披露されていますよね。見ているだけでも充分に楽しめるのですが、やっぱり作ってみたい! 飾ってみたい! お家パンこねニストさんなら誰でもそう思うはず。
今回のパンは成形をアレンジしているだけで、生地は「基本のちぎりパン(白)」の生地そのままです。パーツのひとつひとつを王冠みたいに形作って、16個並べるだけ。クラウンパンは大きなサイズのものやセルクルに入れて焼くものはよく見かけますが、ちぎりパンにアレンジしたものを見かけなかったので、こちらで紹介させていただきます。35g前後の生地を成形するので一般的なクラウンパンよりかなり繊細な成形になっています。そこは根気でのりきってください!
私はかなり不器用かついい加減な性格なので、肝心の放射状の網目は太さも向きもまちまちです……でも16個並ぶとなんだかかわいい。ひとつひとつ丁寧に成形するから、16個すべて終えるころには、なんだかパンに愛着がわいてしまっているのです。ちょっとくらいへんてこでもかわいく思えてしまうんですよね。
「アーモンドクラウンパン」。
成形法の呼び名からそう名付けてみましたが、上から見るとお花畑みたいです。いろんな色の生地で焼いても可愛いかもしれませんね! 近いうちにトライしてみたいものです。
※
オーブンの事情で焼成具合にむらがあります。お見苦しくてすみません。
材料
18cm角皿1台分
・強力粉 232g
・薄力粉 58g
・スキムミルク 35g
・水(常温〜40℃) 203g+調整水
・はちみつ 20g
・イースト 1.1g
・塩 5.8g
・ショートニング(トランス脂肪酸フリー) 17.4g
・アーモンド 16粒
※
・強力粉の種類、室内の温度・湿度によって水の温度、分量を調整する
・ショートニングはバターでも可
※ 以下は気になる方だけどうぞ
・型容積比 3.3
・焼成率 10.0%〜(お好みで調整してください)
・使用型 iwaki 18cm角ガラス型(型容積1,880g強)
【おおよそのベイカーズ%】
・粉 100%
・スキムミルク 12%
・水 70%〜
・はちみつ 7%
・イースト 0.375%
・塩 2%
・ショートニング 6%
→197.4%〜(1.97〜)
作り方
1時間以上
下準備
・型にオーブンペーパーを敷く
・生地を寝かせる際に使用する器に油脂をぬる
・強力粉と薄力粉、スキムミルクを大ボウルの中で合わせ、しっかりと混ぜる
・仕込み水を適温に温める
イースト液を作る
小ボウルに仕込み水を入れ、はちみつ、イーストを加えてよく溶かす。
材料を合わせる
大ボウルの粉類にイースト液を加えて混ぜる。全体的に粉気がなくなるまで混ぜたら、30分ほど生地をやすませる。
※
本来のオートリーズ法ではイーストを加えずに生地の水和を行うのですが、今回はイーストがごく少量なので、先に混ぜてあります。
生地をこねる
こね時間の目安は15分〜20分
やすませた生地をひっぱったときに、つながって伸びるようになったら、生地をこね台の上に出す。広げて塩をふり入れ、生地を縦に長く引き伸ばしてはかきあつめる作業をくりかえしてこねていく。
はじめはベタつくので、こね台や手のひらについた生地をスケッパーで削ぎ落としながらこねる。こね台からの生地ばなれが良くなってきたら次の工程へ。(動画参照)
油脂を混ぜ、こねる
こね時間の目安は10分ほど
こね台に生地を広げ、ショートニングをぬりつける。スケッパーで切るようにして混ぜていく。だんだんと生地がゆるみ、やわらかくなっていく。ベタついていた生地がつるっとしてくるので、手のひらやこね台が綺麗になっていく。
全体に油脂が混ざったら、両手で生地を覆いながら左右に転がしていく。体重をかけながらころころと。手にも台にもつかなくなった生地が、再び手や台に吸いつくようになってきたらこねあがりのサイン。5分ほど生地を休ませてからグルテンチェックを。(動画参照)
オーバーナイト発酵させる
(低温長時間発酵させる)
油脂をぬった器に生地を入れる。ラップに薄く油脂をぬり、生地に落としラップをする。ついで固く絞った布巾、ラップを重ねてのせて涼しいところへ。
※
温度によって寝かせる時間はさまざまです。それぞれ調整してください。以下は目安です。
・冷蔵庫内野菜室→8時間〜
・15℃から20℃くらいの室温→5時間〜
・30℃の発酵機の中→2時間〜
分割、成形、型入れする
生地が2倍になっていることを確認する。発酵が足りていなければ常温に出してふくらむのを待つ。ふくらんだ生地に手のひらでやさしくパンチを入れる(余分なガスを抜く)。16分割してから丸め直す。(必要であれば10分ほど生地をやすませてください)
生地を伸ばし(目安:縦10cm✕横7cm)、半分より手前に、縦に均等に包丁を入れる。
奥の生地を1cmほど手前に向けて折りこみ、芯を作ったら、その芯を奥から手前に優しく転がして、切込みを入れた生地を巻き付ける。生地のとじ目をやさしく留め、そのとじ目を内側にして、生地をドーナツのように丸い輪にする。
ドーナツ型の生地の下になる部分を、全方位から引っ張るようにしてしっかりと留め、生地の上になる部分の真ん中にアーモンドを飾る。そのまま型に入れる。
2次発酵させる
濡れ布巾とラップをかけて2次発酵させる。35℃以下で保温する。生地がひとまわり大きく、2倍くらいにまでふくらむまで様子を見る。焼成する直前に、生地の表面にとき卵をぬる。
焼成する
180℃で10分。その後160℃に下げて20分焼成する。
※
・表面が焦げそうな場合は途中でアルミホイルをかぶせる
・焼成温度、時間は使用する型やオーブンの癖によって調整する
冷ます
焼き上がったらすぐに型を外側からがんがんとたたき、刺激を加える。熱いうちに型から外し、ケーキクーラーなどの上で冷ます。粗熱が取れたらビニール袋などに入れて保存する。

ポイントとコツ
→生地作りのポイントは「基本のちぎりパン(白)」を御覧ください
オーバーナイト発酵後の生地温度
基本のちぎりパンでは、生地温度がある程度あがるまで、生地を常温でねかせて待つのですが、アーモンドクラウンパンでは冷たい生地のまま分割・成形します。分割・成形にかなりの時間がかかることと、ある程度冷たい生地のほうが成形しやすいことがこの理由です。ガスを抜いてから手早く生地総量をはかり、16分割をしたら、できるだけ早く成形に入りましょう。もちろんグルテンが緩んでいなければ、ベンチタイムをとることも視野に入れてください。
クラウンの成形
不器用さんには難しいですよね。私もかなりへんてこなクラウンになってしまっていますが、ちぎりパンのいいところは、ヘンテコでも数がそろえばなんとなくかわいく見えるところだと思います。基本のちぎりパンでは打ち粉をしませんが、クラウンパンでは上手に打ち粉を利用しましょう。生地を伸ばすのも、クラウンの放射状のラインを広げるのも、ぐんと楽になりますよ。
アレンジ
生地の甘みとナッツの香ばしさが絶妙なこの「アーモンドクラウンパン」ですが、成形時にフィリングを入れて巻いても美味しそうです。あんこやシュガーバター、シナモンシュガーなど、想像するだけでお腹が空いてきます。シンプルな素材で作ったパンはアレンジ自在で楽しいですね!
