少しのイーストとはちみつで作るちぎりパン。発酵バターと生クリームでコクと風味をプラスして旨味アップ。
オーバーナイトでゆっくり発酵させてあげることで、生地の甘みがしっかり残り、焼成後はこんがりしたはちみつ色がいっそう鮮やかになります。見た目も食欲をそそりますが、それ以上に発酵バターの甘い香りがなんとも言えないひと品です。
バターと生クリームの量にはかなり悩まされます。たっぷり使いたいけれど、膨らみにくかったり、2日目からの香りの劣化具合に落ち込んだり。副材料が多いリッチなパンは特に劣化が著しいような気がしています。
焼いたらその日のうちに食べてほしい。
ただ、トーストするなら話は別です。
トーストした美味しさは、白パンよりも断然こちら!
油脂が多いからでしょうか。食感がさっくさくになりますよ。
1台焼くだけで食卓が可愛く華やかに。
基本のレシピとして、是非ストックしてください。
材料
18cm角皿1台分
・強力粉 280g
・スキムミルク 33g
・水(常温〜40℃) 185g+調整水
・生クリーム 33g
・はちみつ 17g
・イースト 1g
・塩 5g
・発酵バター 28g
※
・強力粉の種類、室内の温度・湿度によって水の温度、分量を調整する
※ 以下は気になる方だけどうぞ
・型容積比 3.3
・焼成率 8.0%〜(お好みで調整してください)
・使用型 iwaki 18cm角ガラス型(型容積1,880g強)
【おおよそのベイカーズ%】
・粉 100%
・スキムミルク 12%
・水 66%〜
・はちみつ 6%
・生クリーム 12%
・イースト 0.375%
・塩 2%
・発酵バター 10%
→208.4%〜(2.08〜)
作り方
1時間以上(寝かす時間、焼成時間などを除く)
下準備
・型にオーブンペーパーを敷く
・生地を寝かせる際に使用する器に油脂をぬる
・強力粉とスキムミルクを大ボウルの中で合わせ、しっかりと混ぜる
・仕込み水を適温に温める
イースト液を作る
小ボウルに仕込み水を入れ、生クリーム、はちみつ、イーストを加えてよく溶かす。
材料を合わせる
大ボウルの粉類にイースト液を加えて混ぜる。全体的に粉気がなくなるまで混ぜたら、30分ほど生地をやすませる。
※
本来のオートリーズ法ではイーストを加えずに生地の水和を行うのですが、今回はイーストがごく少量なので、先に混ぜてあります。
生地をこねる
こね時間の目安は15分〜20分
やすませた生地をひっぱったときに、つながって伸びるようになったら、生地をこね台の上に出す。広げて塩をふり入れ、生地を縦に長く引き伸ばしてはかきあつめる作業をくりかえしてこねていく。
はじめはベタつくので、こね台や手のひらについた生地をスケッパーで削ぎ落としながらこねる。こね台からの生地ばなれが良くなってきたら次の工程へ。(動画参照)
油脂を混ぜ、こねる
こね時間の目安は10分ほど
こね台に生地を広げ、ショートニングをぬりつける。スケッパーで切るようにして混ぜていく。だんだんと生地がゆるみ、やわらかくなっていく。ベタついていた生地がつるっとしてくるので、手のひらやこね台が綺麗になっていく。
全体に油脂が混ざったら、両手で生地を覆いながら左右に転がしていく。体重をかけながらころころと。手にも台にもつかなくなった生地が、再び手や台に吸いつくようになってきたらこねあがりのサイン。5分ほど生地を休ませてからグルテンチェックを。(動画参照)
オーバーナイト発酵させる
(低温長時間発酵させる)
油脂をぬった器に生地を入れる。ラップに薄く油脂をぬり、生地に落としラップをする。ついで固く絞った布巾、ラップを重ねてのせて涼しいところへ。
※
温度によって寝かせる時間はさまざまです。それぞれ調整してください。以下は目安です。
・冷蔵庫内野菜室→8時間〜
・15℃から20℃くらいの室温→5時間〜
・30℃の発酵機の中→2時間〜
分割、型入れする
生地が2倍になっていることを確認する。発酵が足りていなければ常温に出してふくらむのを待つ。
ふくらんだ生地に手のひらでやさしくパンチを入れる(余分なガスを抜く)。生地の温度が15℃前後に戻るのを待つ。
16分割してから丸め直し、型に入れる。
2次発酵させる
濡れ布巾とラップをかけて2次発酵させる。35℃以下で保温する。生地がひとまわり大きく、2倍くらいにふくらむまで様子を見る。
焼成する
スチームを入れながら190℃で40分焼成する。
※
・表面が焦げそうな場合は途中でアルミホイルをかぶせる
・焼成温度、時間は使用する型やオーブンの癖によって調整する
仕上げる
焼き上がったらすぐに型を外側からたたき、刺激を加える。熱いうちに型から外す。パンの表面に溶かしバター(分量外)をぬる。
ケーキクーラーなどの上で冷ます。粗熱が取れたらビニール袋などに入れて保存する。


ポイントとコツ
本ごねからの30分はこね台から離れない覚悟で
オートリーズ後に塩をふり入れてからの本ごね。この30分はパン生地と正面から向き合う時間。
はじめはベタついても、油脂入れ後は必ず綺麗な生地になります。だから途中で手を洗わない。これが私なりの重要ポイント。手のひらやこね台にくっついてしまった生地はスケッパーで削ぎ落としながらこねましょう。
手を洗い流して生地をたくさんロスしてしまうともったいないだけでなく、分量そのものが変わってしまいます。型に対する分量が変わってしまうと、パンがレシピ通りの大きさで膨らんでくれません。型入れして焼くパンの場合は特に気をつけたいものです。
オーバーナイト法の生地
冷蔵庫から出したての生地は充分に膨らんでいても冷たいままです。優しくパンチを入れて新しい呼吸を促してあげるとともに、そのまま乾燥を防ぎながら15℃前後にまで生地温度が戻ってくるのを待ちましょう。室温にもよりますが、1時間ほどかかります。だから生地を冷蔵庫から早めに出して、パンチだけ入れて、その間は別の家事を……とあなたの日常生活のもろもろのお仕事と平行で行うのがベスト。オーバーナイト法の利点は、ある程度の「ほったらかし」が許されるところです。
ちぎりパンの場合は、そこから分割、丸め直し、型入れまで一息に済ませます。
分割と型入れ
ちぎりパンを見栄え良く焼くためには、分割がとても大切です。必ずスケールを使って生地の総量をはかり、16分割します。ちょっと手間がかかるけれど、16個の丸いパン生地はたまらなく可愛いものです!