• レシピ作成時とオーブンが変わっていますので、焼成時間を見直しました(2020.8)
  • 発酵温度、湿度、時間の目安を追記しました(2020.8)
  • 手違いで削除してしまった写真を差し替えました(2020.8)

1台焼いて食卓に出すだけで、なんとなくテーブルが可愛く見えるちぎりパン。少しのイーストで、ふわふわもっちりと作ることができます。

ちぎりパンとは?
その名の通り、ちぎって食べるパン。しかもちぎりやすくガイド(切り込み)が入っているというのがまた面白いですよね。これは丸めたいくつものパン生地をひとつの型に押し込んで焼成するから。ぎゅうぎゅうした感じと粒の揃った感じがなぜだかすごく日本っぽいと思うんですが私だけかな?

海外ではpull-apart breadなどと紹介されますが、海外の場合は大きな切れ目のないパンに切り込みを入れて、豪快にいろいろ挟んだものを指します。それぞれちぎって食べるというなんともパーティっぽい感じのものです。日本のそれとはちょっと攻め具合が違うような気がしています。

日本のちぎりパンは家族みんなで手を伸ばせば美味しい主食になり、そのまま1台包んで持っていけば素敵なお土産にもなれちゃいます。成形を変えるだけで表情ががらっと変わるので、基本は同じでも、アレンジ自在な楽しいパンです。

真剣勝負の食パンとは少しちがって肩の力を抜いて楽しく焼くことができるのが、このちぎりパンのいいところ。だからこそ型に対する生地量と分割だけは慎重にしてください。それだけ守れば失敗なしです!

万能なパンだからこそ、基本的なレシピは身体に叩きこんでおきたいですよね。

何度も作って、是非、おはこにしてほしい。
そんな「基本のちぎりパン」をご紹介します。

■YouTube

■材料
—-18cm角ガラス型

・強力粉 232g(80%)
・薄力粉 58g(20%)
・スキムミルク 35g(12%)
・水 203g(70%)
・はちみつ 20g(7%)
・インスタントドライイースト 1.1g(–)
・塩 5g(1.7%)
・ショートニング 17g(6%)


焼成
予熱 200℃
焼成 180℃で10分、160℃で40分


オーブンを買い替えたところ、焼成時間の見直しが必要になりました。

焼成
予熱 180℃
焼成 160℃で8分、150℃で25〜30分

必要であれば後半はアルミホイルをかぶせてください。

インスタントドライイーストはサフ赤です。

焼成温度はお持ちのオーブンに合わせて調整してください。ご使用の型がガラス型でない場合は、焼成時間についても短めに設定してください。

以下は気になる方だけどうぞ
・型容積比 3.3
・焼成率 10.0%〜
・使用型 iwaki / 18cm角ガラス型 / 型容積1,900g

■作り方

フローチャート

パン作りの流れをざっとさらいます。おおよその時間割です。ここでの時間割は手ごねで作る場合のものです。ニーダーやスタンドミキサーを使用される場合は、生地の状態を確認しながら作ってください。油脂は少し早めに入れてあげてください。

計量・下準備((5分)

ミキシング(1分)

オートリーズ(30分)

塩追加+ミキシング(約15分)

油脂追加+ミキシング(約8分)

予備発酵

オーバーナイト発酵

復温

分割・成形(5分)

最終発酵

仕上げ(1分)

焼成(40分)


基本のちぎりパン(白)の生地管理

こねあげ温度
25〜27℃

予備発酵(一次発酵/フロアタイム)
28〜30℃、湿度70%以上、1時間前後

最終発酵(二次発酵/ホイロ)
28〜30℃、湿度70%以上、2時間前後

あくまでも目安です。要所、要所で、生地の温度や質感を見極めてください。

■工程

上記のフローチャートに沿って、具体的な工程やポイントを確認しながらパンを焼いていきます。

下準備

イースト液を準備します

水、はちみつ、インスタントドライイーストを合わせてよく溶かします。

水温
生地によりますが、水分の温度は25〜35℃(夏場の室温が高すぎる場合は冷水、冬場の室温が極端に低い場合や機械でこねる場合は40℃強まで)の範囲で調整します。*15℃以下の冷水を使用する場合はインスタントドライイーストは粉類の方に混ぜてあげてくださいね。

粉類の準備をします

強力粉、薄力粉、スキムミルクを合わせて、よく混ぜます。

スキムミルクはたいへんダマになりやすいので、必ずよく混ぜてください。

1

粉類にイースト液を加えて混ぜ合わせます。全体的に粉気がなくなるまで混ぜたら、30分ほど生地をやすませます(オートリーズ)。

オートリーズ
粉に水分を十分に吸わせ、小麦粉の中のグルテンをある程度育てて、生地の伸びをよくするのに役立ちます。こねの時間を短縮できたり、生地への負荷を減らすことにもなります。乾燥は厳禁です。生地温度が下がりやすいので、温度管理に気を配ってください。理想は25℃〜28℃くらい。はじめの15分だけオーブンの発酵機能を使用したり、濡れ布巾を温かめのお湯にくぐらせてから絞ってかけておいてあげると調整しやすいかと思います。

2

塩を加えてこねます。

はじめはベタつきます。こね台や手のひらについた生地をスケッパーで削ぎ落としながらこねてください。こね台からの生地ばなれが良くなってきたら次の工程へ移ります。


本来は少しこねたのちに塩を加えるのが理想です。塩を加えると生地が締まりますし、粉の水和やグルテンの形成を邪魔するようです。その前にしっかりとこねて生地を育てておきたいものです。ただ、ここではオートリーズを充分にとっていますし、家庭製パンではそこまでデリケートに考える必要はないと思うので、手順を1つ減らすつもりで、ここで塩を加えています。

3

油脂を加えてこねます。

油脂の混ぜ込み
油脂をグルテンの隙間に均等に入れこむのには少し時間がかかります。繋がってきたグルテンはちぎると傷んでしまうので、無理に伸ばしたりちぎったりしないように心がけます。その際、生地をある程度細かく切って揉み込むと入りやすいです。可塑性のある油脂も、液体油脂も同様です。液体油脂の方が少し入りにくいですが、10%未満の配合量で手ごねの場合はきちんと入りますので、丁寧に揉みこんで吸収させてあげてください。

生地が油脂を満遍なく吸って、はじめツルツルして台離れの良かった状態から、再びしっとりと手のひらやこね台にはりつくような感触になったら、こねあがりです。

こねあげ温度
25〜27℃

4

生地が1.5倍になるまで予備発酵(1次発酵)させます。

温度25〜28℃/湿度70%以上
1時間前後

予備発酵(1次発酵)
オーバーナイト発酵の前に、イーストを活性化させてあげるイメージです。冷蔵庫に入れる前に、しっかりと生地を育てておきます。

5

平たい容器に広げてラップを密着させて、オーバーナイト発酵させます。

オーバーナイト発酵
オーバーナイト発酵(低温長時間発酵)は、やり方は様々ですが、多くは10〜22℃くらいで、10時間保存、24時間保存、などというように指南されている講師さんや書籍が多いかと思います。これって家庭ではかなり難しいです。ですから家庭で行うオーバーナイト発酵は、冷蔵庫の野菜室5〜8℃を使用します。4℃以下の冷蔵庫内ですと酵母はほとんど働けないので、野菜室に入れる訳です。

野菜室ではなく普通の冷蔵庫内で熟成させることもできます。この場合はもっと時間がかかりますし、いくつかの工夫が必要です(イーストを増やしたり、復温時間を長めに取ったりなどなど)。

発酵速度というか、発酵の勢いみたいなものは、生地を冷蔵庫に入れる前の予備発酵や、生地保存中の温度や湿度の他、生地に加えるイーストの量や加水量、糖分、酸素の量や生地の酸度などでも変わってきます。それらを工夫すれば、発酵速度はある程度コントロールすることが可能です。これらをコントロールして、最も適したやり方を探すトライアンドエラーが、オーバーナイト発酵と付き合っていくためには必要かもしれません。

6

生地をこね台に出して、やさしく薄く広げ、復温させます。乾燥厳禁です。必ず固く絞った濡れ布巾などで覆って休ませてください。

復温
生地を室温近くに戻しながら、ゆるやかに酵母を活性化させてあげることです。温度が上がっていくのと、生地をこね台に出すことで軽いガス抜きになるので、新しい酸素が供給され、この間も発酵は進みます。冷たすぎると生地は伸びが悪かったりして傷みやすいので、軽く緩めてあげる意味もあると思います。

生地温度は15℃前後以上に戻るのを目安にしていますが、生地の状態によって対応は変わってきます。冷蔵庫での発酵が思うように進まなかった場合は、ここで時間調整をします。生地の膨らみが足りなければ復温時間を長めに、生地が冷蔵発酵中に2倍近くまで膨らんでいれば、過発酵になってしまうのですぐに分割・丸め直しに入ります。

7

生地を16分割し、表面を張らせるようにして丸め直します。そのまま型に入れます。

ベンチタイムはとりません
今回のパンは分割数が多く、全て計量しながら分割していくとそこそこ時間がかかるのと、成形自体も丸め直しだけで単純なので、ベンチタイムはとりません。そのまま型に入れてください。

8

生地が2倍くらいにふくらみ、型の8割に届くまで発酵させます。

温度28〜30℃/湿度70%以上
目安2時間前後

9

仕上げに強力粉(分量外)をふりかけ、焼成します。

焼成
予熱 180℃
焼成 160℃で8分、150℃で25〜30分

仕上げの強力粉は、生地の表層を熱から守る働きがあります。とにかく白く焼き上げたい生地なので、表面に焼き色がつきそうな場合は、焼成中盤以降、さらにアルミホイルなどで覆って熱から保護してください。

焼き上がったらすぐに型を外側からがんがんとたたき、刺激を加えます。熱いうちに型から外し、ケーキクーラーなどの上で冷ましてください。

■ポイントとコツ

手ごねの場合

オートリーズ後に塩をふり入れてからの本ごねですが、はじめは生地がベタついても、油脂入れ後には必ずツルツルの綺麗な生地になります。だから途中で手を洗ったりせずに、信じてこねてみてください。

手のひらやこね台にくっついてしまった生地はスケッパーで削ぎ落としながらこねます。手を洗い流して生地をたくさんロスしてしまうと、もったいないだけでなく、分量そのものが変わってしまいます。型に対する分量が変わってしまうと、パンがレシピ通りの大きさで膨らんでくれません。型入れして焼くパンの場合は、特に分量に気をつけます。

分割と型入れ

ちぎりパンを見栄え良く焼くためには、分割がとても大切です。必ずスケールを使って生地の総量をはかり、16分割します。ちょっと手間がかかるけれど、16個の丸いパン生地はたまらなく可愛いものです!

■いつもの決まりごと

オーバーナイト法の生地

冷蔵庫から出したての生地はきちんと発酵していても冷たいままです。そのまま乾燥を防ぎながら、10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、さらに生地が期待する大きさに膨らんでくるのを待ちます。これが復温です。

このとき、発酵に利用した容器のまま復温させる場合は、生地の見極めがしやすいです。温度は測ってチェックできますし、大きさは膨らみを目視できます。ただ、この場合、容器が冷たいままですし、生地も広がっていないので時間がかかるとともに、生地の発酵状態にムラが出やすいです。

慣れてきたら、生地をこね台に出して復温させてみてください。優しくパンチを入れて新しい呼吸を促してあげるとともに、そのまま乾燥を防ぎながら10℃〜15℃にまで生地温度が戻って、また全体的にふっくらとしてくるのを待ちます。発酵倍率を確認しにくいんですが、何度か作って慣れてみてください。

オーバーナイト発酵で生地がうまく膨らまない場合

冷蔵庫内の温度が低すぎたり、予備発酵(一次発酵・フロアタイム)が短すぎたりして、生地が充分に膨らんでいなかった場合は、この復温の工程で発酵具合を調節します。

復温時間は室温にもよりますが、1〜2時間ほどかかることもあります。だから早めに生地を冷蔵庫から出して、その間は別の家事を……というように、ご自身の日常生活のもろもろのお仕事と平行でパン作りを行うのがベストです。

オーバーナイト法の利点は、ある程度の「ほったらかし」が許されるところです。

■アレンジレシピ

■食材

粉とスキムミルク

よく使う国産小麦は「キタノカオリ」。カナダ産は「スーパーノヴァ」。強力粉はほとんどこのうちのどちらかです。特にキタノカオリは大好きな小麦です。


薄力粉はドルチェ。安定して手に入るので使い勝手がいいです。


スキムミルクはいつも変わらずこれです。


インスタントドライイーストとショートニング

最近ドライイーストとかイーストとか言わないように気をつけようと心に決めました(笑)。インスタントドライイーストは、サフ赤を使用しています。

こちらは冷凍して保存しています。特に凍って固まったりしないので、そのまま必要量だけすくいだして使います。


ショートニングは、必ずトランス脂肪酸フリーを選んでください。

■道具

ボウルと発酵容器

こねるときはガラスボウル。発酵の具合も全方向から確かめられます。経年劣化の濁りみたいなものも出にくいと思うので、長く使えるのではないでしょうか。私はiwakiのガラスボウルを使用しています。本当はHarioも気になっているけど……。


この頃の発酵容器はiwakiのショートケーキ型です。2台仕込んで冷蔵庫に入れたときに重ねられるのでとっても便利でした。ケーキやちぎりパンでも大活躍です。

ガラス製は冷蔵発酵の際に底面の生地の状態を確認できるのでおすすめ。慣れてきたら、もっと熱伝導性の高い琺瑯容器などに移行していくといいと思います。


焼き型

焼き型もiwakiのショートケーキ型。スコップケーキ、パン、グラタンなどのグリル料理、何にでも使えるたいへん優秀な耐熱容器です。


スケール

パン作りに欠かせないのはスケール。3kgまで、0.1g単位で計ることができるものをおすすめします。私が使用しているのはタニタのスケールです。

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